見出し画像

横山大観、観山、未醒、紫紅が旅して写生していった『東海道五十三次絵巻』を観てきました……@東京国立博物館

東京国立博物館トーハクの本館1階の近代絵画に興味が出てきました。特に好きなのが、長い長いケースにいつも展示されている、絵巻や小品集です。

東京国立博物館の本館1階
近代美術の部屋「18室」

2023年1月21日現在、展示されているのは、横山大観や下村観山、今村紫紅、小杉未醒の4人が、東海道を旅して描いた『東海道五十三次絵巻 巻1の1巻』です。(2月12日まで展示)

『東海道五十三次絵巻 巻1の1巻』

この絵巻は、第2回再興院展があった1915(大正4)年に、横山大観、今村紫紅、小杉未醒、下村観山の幹部4人が東海道行脚をして、泊まりをかさね宿場の風光を写生していったものです。

『五十三次絵巻』は、全八巻を二組完成させ、そのうちの一組を大阪高島屋で展観して、評判になったそうです。その大坂高島屋には複製のみが伝わり、原本は所在が不明です。そして、もう一組を、実業家であり美術品収集家、茶人でもあった原三渓さんけい(原富太郎)が入手。原三渓から、東京国立博物館トーハクへと渡りました。(この原三渓さん……ものすごく価値の高い物をたくさん持っていました。トーハク所蔵品では、国宝『孔雀明王像』、伝雪舟等楊『四季山水図巻』、庭園の春草廬しゅんそうろうなど。横浜の三渓園さんけいえんでも有名)

横山大観は『五十三次絵巻』について、昭和35年に発行された『髙島屋美術部50年史』で、次のように語っています。

「観山、未醒、紫紅とわたしの四人で東海道五十三次の絵巻を描く道中をした。四日市まで来たら金が尽きてどうにもならなくなった。そこで大阪の髙島屋へ電報を打ったところが、谷上君が早速金を持って駆けつけてくれてホッとした。そして最後が嵐山だったか三軒家までたどりつくことが出来た。」

『髙島屋美術部50年史』(昭和35年)より

また同書では、同じく近代絵画の(わたしは最近知りましたが)巨匠、前田青邨も語っています(なぜメンバー外の青邨が述懐しているんでしょうね? 最初は一緒に出発したのかもしれません)。

「振り出しはお決まりの日本橋です。藤沢の駅の前に粗末な宿が最初の泊まりです。旅装を解く、一風呂浴びる。すぐ日本橋からこっち藤沢まで描かなくちゃならない。クジをこしらえてね、いの一番に振り出しの日本橋が小杉さんに当った。小杉さんは弱った弱ったと、しきりに頭を掻いていましたっけ。

今村君は若くもあったけれど、とにかく横山さんやなんかと一緒の美術院の創立者であるでしょう。横山さん、下村さんに負けないでぐんぐん描いて行くんだ。品川のお台場のところなど見ていてとてもおもしろかった。筆をつけると見るみるお台場が出来ていく。うまいもんだと思った。」

『髙島屋美術部50年史』より

ということで、ここからは写真のみで御覧ください。


■OLYMPUS PEN Fで一巡目

日本橋 小杉未醒
品川 今村紫紅
大森 下村観山
川崎 横山大観
川崎 横山大観
神奈川 今村紫紅
神奈川 今村紫紅
保土ヶ谷 下村観山
戸塚 小林未醒
戸塚 小林未醒
藤沢 横山大観
藤沢 横山大観

■気に入ったので、iPhone 13で2巡目

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?