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トーハクの4月の常設展の充実っぷりが半端ないです!

東京国立博物館(トーハク)は、今週からというか今日から、本館2階の多くが展示替えとなっています。まずは来週から始まる特別展「法然と極楽浄土」に関連する書画が展示されます。また、東洋館4階8室では中国の15〜16世紀以降の「花鳥」をテーマとした展示品が集められていますが、それと呼応するように、本館8室の「書画の展開」の部屋にも、日本の16世紀から江戸時代までの花鳥&動物や虫などの作品が、集まります。

それではどんなものが見られるのか、チェックしていきます。

久隅守景・円山応挙・本阿弥光悦などのビッグネームが並ぶ!

本館2階の8室「書画の展開―安土桃山~江戸」は、以下のようなWow!なラインナップになります(主なものだけを抽出しています)。

久隅守景《鷹狩図屏風》《虎図》
渡辺始興《黄初平図》
円山応挙《写生帖 乙帖》
増山雪斎《虫豸帖 春 と 冬》

久隅守景は、同館所蔵の国宝《納涼図屏風》でよくしられる画家ですね。そんな画家の2作が惜しみなく展示されます。特に《鷹狩図屏風》は、8曲1双に江戸時代に行われた鷹狩の様子が描かれたもの。こういう人がいっぱい描かれている絵は好みなので、楽しみでしかないです。

円山応挙の《写生帖》については、昨年の同時期に鳥が描かれた《丁帖》が展示されていましたが、今回は主に植物が描かれた《乙帖》です(あと猿・亀・カモも描かれています)。すべてを展示するのは無理でしょうから、どこが見られるのか楽しみです。

円山応挙《写生帖 乙帖》
ここを見たい!

増山雪斎さんの《虫豸帖ちゅうちじょう 春 と 冬》は、すごく見たいと思っていた、まぁ虫の図譜ですね。この作品が見たいというか、増山雪斎さんの作品が見たかったのです。この方、増山正賢さんといって、伊勢長島藩の第5代藩主なのに……すごく虫が好きだった人。大田南畝とも交流があったということで、脚本家が出そうと思えば、来年の大河ドラマへの出演も可能です。トーハク1階にある図譜コーナーに展示されるものだと思っていましたが、2階の8室に登場します。

増山雪斎《虫豸帖 春》

さらに同じスペースに展示されるだろう三人が……

本阿弥光悦《和歌巻》
松花堂昭乗《和歌屏風》
烏丸光広《詠草 名石経幾年》

本阿弥光悦さんと松花堂弁当……ではなく昭乗さん。あと1人が、寛永の三筆のもう1人である近衛信尹さんではなく、烏丸光広さんにしているのは、なぜなのか? 3人の作品を見たら、分かるのかもしれませんし、もちろんわたしはパッと見て分かるはずもありませんし、単に昨年の特別展『本阿弥光悦の大宇宙』の会期前後に、展示したばかりのものが多いから、(昨年展示しなかった)このラインナップになっただけかもしれません。

本阿弥光悦《和歌巻》 画像:TNM

いちおう7室「屏風と襖絵」の部屋には、曾我蕭白と「伝」ですけど岩佐又兵衛さんも控えております。個人的には《蝦蟇鉄拐図屏風》は、それほど……なのですが、世間的な評価はものすごく高いと思われます。また岩佐又兵衛さんの《故事人物図屏風》は、またまた群像図ですしユーモア溢れた描き方なので、おそらく岩佐工房による作品なのでしょうけど、とても楽しみです。

曽我蕭白蝦蟇鉄拐図屏風
伝岩佐又兵衛
故事人物図屏風

時代を遡って、3室の「宮廷の美術」の部屋へ行くと、《為家本 時代不同 歌合絵》というのが展示されるそうです。歌合(うたあわせ)とは「歌人を左右にわけて、その歌を一首ずつたたかわせ、優劣を競う遊び」(Japan Search)です。しかも「時代不同」なので、時代が異なる(不同)人たちの歌で戦わせるという……いわば絶対に実現しない夢の頂上決戦! みたいなものですね。うちの息子も、トリケラトプスとマンモスが戦うとどうなる? 的な「最強王」シリーズが好きだし、「ジムにアムロが乗ったら、ザクに勝てるのか?」みたいな話が好きなのと一緒で、昔の日本人も、凡河内躬恒(859〜925?)と紫式部(970〜1031?)が歌合(決戦)したら、どっちが優れているのか? みたいな空想決戦をして面白がったんですね。

いろんなページがあるので、どこが展示されるか分かりませんが、東京国立博物館ニュースという冊子には「今年の大河ドラマの主人公・紫式部も描かれている白描歌合絵です」とキャプションがあるので、下画像のページは、確実にみられるはずです。

《為家本 時代不同 歌合絵》 画像:ColBase

さらに時代を遡って、3室「仏教の美術―平安~室町」の部屋では、来週からはじまる特別展「法然と極楽浄土」にちなみ、阿弥陀如来像および阿弥陀如来の浄土変相図である「当麻曼荼羅」が展示されています。

こういう、特別展に由来する、トーハク所蔵の作品が、常設展というか総合文化展で見られるのもトーハクの魅力ですね。「めちゃ混みの特別展を見るよりも、よっぽど有意義じゃね?」と思うような時もあるので、関連展示を探して巡るのも楽しいでしょう。

阿弥陀聖衆来迎図奈良・長谷寺蔵
阿弥陀如来像 
当麻曼荼羅図 A-3 鎌倉時代・14世紀
当麻曼荼羅図 A-6 鎌倉時代・14世紀
仏説観無量寿仏経断簡(蓮華王院切) 伝白河天皇
仮名観無量寿経切 伝後京極良経

さらに来週の4月16日からは、1階の近代美術の部屋で、今村紫紅の《熱国之巻(朝之巻)》という作品がまた見られるのも楽しみです。できれば、違う巻を見たかったんですけど……ないのかなぁ?……なんて思いつつ。

あとですね……平成館の入口入って右にある小さな部屋では「洛中洛外図屏風」の複製が、間近で見られるので、おすすめです。もしかすると今週いっぱいかもしれないので、お早めに。来週17日からはシアターで「VR 洛中洛外図屏風」が始まりますけど……別料金(たしか500円)です。

岩佐又兵衛《洛中洛外図屏風 右隻》画像:ColBase

ということで、個人的には増山雪斎さんの《虫豸帖 春 と 冬》だけは見逃さないようにしなくちゃ! と思っております。

それでは




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