つめたいひがんばな
「おじさん、どうやってんのそれ」
声、瞬間、刺す。
目の前の若者、口の白い息、蔑みの声。
私の中で何かが立ち上がり、冷たい青に濡れ固まった絵筆を振りかざす。
若者の目で青と赤が混じると、淀むシアンの河流が流れた。
「ぐふ」とだけ鳴いた若者は目を抑えて倒れた。
観光地の中心で地べたに尻をつき、段ボールの机に向かって闇雲に絵を描いていた。
眼前に聳える銀紙を固めたような下品な塔や、この地で生まれ育った昭和のスター達、街を縦断する川に浮かぶ屋台船の温かい明り、ここにゆかりのあるもの