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上野・国立博物館『やまと絵』展へ

火曜日
午前中に原稿を2本上げた。ペース快調、気持ちに余裕が出来たので外出する。国立博物館で開催中の『やまと絵』展、行きたかったのだ。

平安時代前期に成立したやまと絵は、以後さまざまな変化を遂げながら連綿と描き継がれてきました。優美、繊細といったイメージで語られることの多いやまと絵ですが、それぞれの時代の最先端のモードを貪欲に取り込み、人びとを驚かせ続けてきた、極めて開明的で野心的な主題でもありました。伝統の継承、そして革新。常に新たな創造を志向する美的な営みこそが、やまと絵の本質と言うことができるでしょう。本展は千年を超す歳月のなか、王朝美の精華を受け継ぎながらも、常に革新的であり続けてきたやまと絵を、特に平安時代から室町時代の優品を精選し、ご紹介するものです。これら「日本美術の教科書」と呼ぶに相応しい豪華な作品の数々により、やまと絵の壮大、かつ華麗な歴史を総覧し、振り返ります。

公式ホームページより

平家納経と紫式部日記絵巻断簡、百鬼夜行絵巻を間近に見られて興奮した。
百鬼夜行は土佐光信によるもの、すごいイラストレーターがいたものだなあ。そう、土佐一派を多く見られたのもうれしく。『吃又』を思い出しますね。

病草紙というイラスト集には驚かされた。嘲笑とセットで描かれることにショックも受けたけれど、マイノリティの受けてきた長い歴史の証拠でもある。

あと何より白描画にはやっぱり凄まじいものがあり、なんでこんな線が描けるのと不思議でしょうがなかったな。ペン画のよう、魔夜峰央さんは影響受けてるんだろうか。髪の表現だけでなく、秋草の繊細なラインとか本当にすごかった。

全体的に小さなサイズの紙に細かく描き込まれたものも多いので、オペラグラスなどを持ってきてる人が多いのにも納得。

毎度思うけど、11世紀とかに書かれた文字や絵が目の前にあるって不思議だね。よく残ったなあ……「残さなきゃ」と執念燃やした人がたくさんいたんだよね。それこそ、命に代えてもと。

人々が「創作物」に触れる機会が現代の何万分の1という時代に、どれだけの興奮や刺激を与えたんだろうと眺めつつ考える。土蜘蛛や鬼退治、地獄の様子を描いた絵をはじめて見たひとはの驚きとは。映画『エクソシスト』公開時に観衆に与えた恐怖とショック以上のものがあったのではないか。あるいは偉人や高位にある人々の肖像画などが民衆に与えた思いとは。そもそも民衆がそういう絵を見られる機会はどのくらいだったかもあるけど…。

描かれているものも興味深かったけれど、「絵」自体が見てきた「それを眺める人の顔々」を想像するのが何より、いい時間となった。


上野公園のいちょう、色づいて見事でしたよ。

帰りに御徒町の『老酒舗』に寄って、軽く一杯。おつまみ麻辣串、5本で200円!


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