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わりに多くのことをした3日間のこと

金曜日

「金木犀(きんもくせい)が咲き出した」
朝、SNSを開けばそんな声が多く上がっていた。
うちのベランダではようやく白萩が咲き出す。萩はとにかくよく水を飲む。地植えならいいんだけど、鉢植えはまめな水やりがけっこう大変。今年も葉はわりに枯らしてしまったが、無事に咲いてくれてよかったな、とひとりしみじみ。

近所に住む友人が「休みを取ったので、車出しますよ」なんて言ってくれる。ありがたいね。このひととは大学時代からだから、もう古いつきあいだ。うちからはアクセスのよくない場所にあるカフェへ連れていってもらう。

近隣の農家さんから仕入れているらしい野菜たっぷりのバーニャカウダ+サラダのプレートを頼む。もともとは鋳物工場だった敷地を再利用しているらしい。

沼ノ上農園へ

一度行ってみたかった沼ノ上農園にも連れていってもらう。農園とあるが園芸店で、花の苗や観葉植物がそれはもういっぱい。ああ、園芸好きにはたまらない場所だった……!

チョコレートコスモス、秋明菊の白、藤袴、姫ばらと秋らしいところを衝動買い。いやーお手頃価格なんですよ、都内だったらそれぞれ+200~400円ぐらいはゆうにしそう。植木鉢も買ってくればよかったなとあとでプチ後悔した。でも、これでまたベランダに出るのが楽しい。今年は猛暑でゼラニウムうがやられてしまった。

ついでに沼ノ上農園のまあまあ近くにある『角上魚類』にも連れていってもらって、ドライブ終了。
Aちゃん本当にありがとう、いい時間になりました。

新潟の寺泊で揚がる魚がいっぱい。炙りだこやいか刺
、まぐろ切り落とし盛りにつぶ貝の刺身を購入。
赤羽にもありますね。
帰宅したら、たま子がこんな感じで待っていた。

夜、また別の友人が来訪。
10年以上暮らしたパートナーとの関係を解消した、とのこと。とことん話を聞く。角上で買った魚を食べてもらいつつ、痛飲。ほんの少しでも話すことで気が晴れていたらいいのだけれど。

土曜日

メゾンカイザーのパン&日舞&大久保さんと飲み

朝、メゾンカイザーで買ってきたパンを食べる。期間限定の「ごぼうと胡椒入りのバゲット」がとてもおいしい。ビーフシチューに合わせたくなる。また買おう。

日舞の稽古日、11時半に稽古場のある池袋へ。昨夜飲み過ぎたのでダメダメもいいとこだったが、行かないよりはいいと自分を励ます。清元『北州』、なんとか最後までいく。やっぱりすごいものだ、多くの流派で師範試験の演目になるだけあるなと。きちんと覚えられたら舞台にかけたい、そんな思いに初めてなる。20代のときからやってる習い事、とりあえずひと区切り付けたい。

『酒場 ふくろ』にて

稽古を終えてSNSを見たら、友人の漫画家大久保ニューさんが近くにいるよう。カルチャーセンターで「漫画の描き方講座」なんてのをやられているのだった。声をかけて一緒に飲む。楽しくて3軒はしご……帰り道、電車乗り過ごしもあったがなんとか帰宅する。

あきれた目で酔いつぶれた私を見つめるグジュ

日曜日

見本が来た!

10月25日に発売予定の『名前のない鍋、きょうの鍋』(光文社)、完成見本が届く。ああ、実物が来た……と感慨もひとしお。写真もきれいに印刷できたのを確認できてうれしかった。文京図案室さんのデザインがまた素敵なんです。日本各地に暮らす18人の「普段の鍋」と人生がこの中に。
どうぞよろしくお願いいたします。

映画『敵は本能寺にあり』

BSで録画していた1960年の松竹映画『敵は本能寺にあり』を見る。

明智光秀が主役で、演じるは八世松本幸四郎(いまの幸四郎さんのお祖父さん)。織田信長が田村高廣で、森蘭丸が八世幸四郎の息子である若き日の吉右衛門、なんてキャスティングだ。
悲壮で重厚なムードがずっと続くが、格調というまでに至らず無難に終始する感じ。信長はごくごくよくある感じの人物像、高廣さんはもっと良識のひとで見たい。目を引くのがお濃を演じる嵯峨三智子(山田五十鈴の娘)、スターとしかいいようのない輝きがすごい。光秀母を演じる名優、村瀬幸子もさすがの迫力……と、映画黄金時代の役者たちを見る楽しみを堪能。淡島千景に岸恵子も光秀一族で出てくる。森美樹は本作公開の年に亡くなってしまうのか。

小説『照子と瑠衣』

井上荒野さんの新刊『照子と瑠衣』(祥伝社)を読む。面白くてほぼ一気読み、これまでの日常と決別して新たな道を選ぶ70歳の女性ふたりの物語。映画好きならタイトルでピンと来るかもしれない、そうスーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスのあの映画に着想を得ているわけですね。

ラストがとてもよかった、(ネタバレを嫌う方はここから読まないで)映画とは全然違う方向にいきますよ。なんというのか……変な表現なんだけど「明るく温かいほうに向かうカウリスマキ」みたいな作品でした。

私は読んでるうち瑠衣を中尾ミエさん、照子を倍賞千恵子さんでイメージした。いや照子は音無美紀子さんも合いそうだな、なんて思いつつ。荒野さんは照子を八千草薫さん、瑠衣を木の実ナナさんの感じで思っていたらしいけれど。

大好きなミュージカル映画『ホワイトクリスマス』(1954年)のサントラが届く。アルバム買うのも久しぶりだ。メインキャストのひとり、ローズマリー・クルーニーという歌手が好きでねえ。50年代の彼女の歌唱はやわらかい光が降り注ぐようで本当にすばらしい。後年の渋みが加わった歌もいいんだけれども。別録音されたらしき独唱の『ホワイトクリスマス』、感動的だったな。日曜夜、じっくり聴きつつまた晩酌したのだった。

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