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『さとり世代探偵のゆるやかな日常』

【 おそらくネタバラシはありません 】

『さとり世代探偵のゆるやかな日常』

著者:九頭竜正志
出版社:新潮社(新潮文庫nex)
発行年:2015年5月1日


(内容紹介)
大学生になった僕はやりたいことが特にない。幼馴染の灯影院に流されてうっかり「探偵同好会」を始めたら、ヤツのもっともらしい無茶推理に振り回される日々がやってきた。所詮「休講の真相」を推理する程度の素人探偵だった僕らは、やがて招かれた孤島で殺人事件にまで巻き込まれ――。軽やかなタッチで紡がれる会話から、現代の空気感があふれ出すユル~い日常ミステリー登場!


 題名に騙されました。……いや、私の先入観のせいです。すみません。ライトなミステリかと思いきや、とあるタイミングでシリアスな展開があったりと、なかなか一筋縄ではいかない作品でした。
著者がほぼ同世代のため、登場人物の空気感に少し共感もしました。




以下、ネタバレです!
(悲しいかな、ミステリとしてのネタバレではありません!!)

 終盤、語り手である「僕」は、自分が友人の灯影院(ほかげいん)を崇拝している、灯影院の信者であると気づくシーンがあります。ここ、個人的にすごい共感してしまいました。なぜなら、こういうある種の依存と言いますか、そういう対象で友人を見る経験が私にもあった(ある)からです。高校時代に。そういう私も今はもう社会人になったのである程度は自立している自負はあるのですが、その友人に久しぶりに会うと昔を思い出しそういう感覚に戻るのです。

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