【トップ出番不利の解消法】


キングオブコント、M-1グランプリ、R1ぐらんぷり、など、お笑いの世界にはさまざまな賞レースがある。

こういう大きい賞レース、つまりは、テレビサイズのでかい賞レースでなくても、舞台レベルでも、お笑いネタバトルは、日本全国で、日々行われているのである。

365日、日本の中でこうしたお笑いバトルが行われていない日はないのではなかろうか。

申し遅れたが、僕は、自身がハクション中西という名前でピン芸人をやっている者である。自身がこの世界にいながら感じたことから論じていくので、ご理解いただきたい。

お笑いバトルにおいて、いつもついてまわる問題のひとつが、この【トップ出番が不利になるという問題】なのである。

知りうる限りの唯一の例外は昔やっていたNHKのオンエアバトルだと聞くが、まあ、この話は後ほど。

とにかく、トップ出番は、基本的には、不利である。理由はお客さんが温まっていないからである。僕自身の体感としてもそうだし、これに異論を唱える芸人はいないだろう。

トップというのは、それほどイヤなものなのだ。

昔、よしもとにいた時、そのようなバトル形式のライブでは、公平を期すため、バトルライブ開演前に出番順を決めるクジが行われた。

そこで、トップ出番をひいた芸人に対する、謎の拍手が毎回あったのである。

他の事務所はどうなのか、この拍手のノリがあるのか、知ってる人は教えてほしい。

さておき、この、クジによる公平性というものは、確率的な公平性である。

仮定として、トップ出番はイヤだという人ばかりだとする。

そこで、クジにより、確率的に公平性を保つのだ。

しかし、この確率的な公平性の保ち方というものは、いざ決まってみると、公平ではない。

確率的な公平性、というものは、真の公平性からは遠い。

確率的な公平性の割合を極端に増やし、【確率的な公平性】: 【真の公平性】の割合を10:0にすればどうなるか?

MC「さて、今回のM-1ぐらんぷり、決勝に進んだメンバー全員で、ジャンケン大会をしてもらいます。そして、見事このジャンケン大会で優勝したコンビには、栄えある優勝の名誉と賞金1000万円が差し上げられます!」

…理論上、このようなことになる。

確率的な公平性というものは、ゼロに近い方が良いのだ。良い、という言葉は、抽象的なので、言い直すと、芸人側、そして観る側の納得感は上がるのだ。

そこで、僕が考えた改革案。多分、他にも同じアイデアを持っている人はいるとは思うが、ここで発表させてもらう。

準決勝で審査員が選んだ10組が決勝に上がるような大会だとする。

なら、点数的に次点になる11番目のコンビに、大会の優勝の権利とは関係なく、トップ出番として、前座的にネタをやらせれば良いのである。

※番組が始まる前に、前説でお客さんの空気を和らげることはやっていても、いざ生放送の番組が始まると、やはりトップ出番は空気が重たい。

11番目の人は、もともと決勝に惜しいところで出れなかったわけだから、トップで前説的な扱いでも、贅沢は言えない。

それどころか、審査されないことが分かっているので、のびのびできる可能性もあり、テレビの決勝なら、ハネる可能性すらある。

もし、本選の決勝メンバーより、ハネてしまった場合、準決勝の審査員のメンツが潰れる?

そんなもん、背負うのが審査員やろ。こっちは、一年に一回を命がけでやっとんねん、ボケ。

失礼しました。ここは、真面目な考察の場である。感情は抜きにしたい。

真面目な話、評価の点数的には次点に当たる11番目が跳ねたところで、審査員のブランドが下がることにはならないだろう。だって、次点なわけだから、充分に優秀なわけである。

この方法なら、確率的公平性の割合を減らすことに成功してると思うのだが、いかがだろうか?

敗者復活戦のことを思う方がいるかもしれないので、そこのところをひとつ補足しておこう。

当日に、敗者復活戦がある大会の場合。

そこでの敗者復活戦の一位は、本選出場させて、次点の二位をトップ出番にすれば良い。

ただ、くれぐれも、公平性のみに重きを置いた意見なので、番組としての趣旨がボヤける、など別の問題が生じる可能性はある。

もっと良いアイデアがある方は是非、頭の悪い僕に教えてほしい。


ちなみに前述したオンエアバトルでトップ出番に票が集まりやすいというのは出ていた芸人数人から聞いた話だが、お客さんがボールを流すあの行為を最初、楽しいからしたくなるからなんだそうだ。


ホンマかいな(笑)。



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