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ラバー

僕と彼女はホテル街の近辺の薬局に車を停めて夜空を見上げた。産まれる前に人は星だったらしい。そして、死んだら星に帰るのだという。おそらく今見えているのは何万年前に死んだ星の最後の光で同時に誰かがこの世に産まれたのだろう。そうでなくても僕らは何億の墓標の上に成り立つ既に汚れてしまった奇跡の一片だ。愛の前に壁がありこの世に生まれた生命は限りなく0に近い確率でしか意味を成す事が出来ない。ほぼ全ての生命はゴミ箱の中で息絶える。ティッシュやゴムの中で惨めに死に晒す。思い人に別の思い人が居ると知って落ち込んだりニキビ面同士の喧嘩に負けて自分を慰めたことがあったか。どうすることも出来ず無力で言葉にならなかった感情を淫楽に耽る事で体外に排泄した数を覚えているか。もし地獄があるとすれば生命になれなかった生命の阿鼻叫喚で満たされているだろう。もし輪廻があるとすればあなたの来世は高確率でゴミ箱行きだ。どちらも無くて良い。僕らは死んだら隣り合わせの星になると信じている。愚かにも何かの死を感じる事でしか僕らは悲しむということすら出来ない。何かの生を感じる事でしか僕らは喜ぶことすら出来ない。今夜、二人は此処ではない何処かへ行けると思う。二人の間に建つ愛の前の壁が二人の生と死を祝福してくれている。僅か数mmの生と死の狭間、其処に僕らを生命たらしめる何かがあるのだ。 BGM あかつき - パスピエ

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