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コミュニケーションに悩むあなたに。まずは、仕組みの理解からはじめてみよう

「コミュ障」なんて言葉を使う人は、たぶんコミュニケーションを理解していない。

コミュニケーションが上手な人、下手な人という概念はちょっとおかしいのである。

上手や下手、苦手...
そういった言葉は何らかの”行動”に対して使われるものだ。例えば、自転車に乗るのが下手とか、眼を合わせるのが苦手とか、緊張するとどうしても声が震えてしまうとか。

もちろん、上記の例の中にもあるように人とコミュニケーションする際に使われる”行動”を苦手とする人はたくさんいる。

でも、”コミュニケーション”は、人と人の間に生まれる”概念”である。

概念に上手いも下手もないのである。

あるのは結果としての「うまくいった」などという印象に基づいたプラスの感情や「いまいちだったな」などの印象に基づいたマイナスの感情だけである。

「コミュニケーション上手」というポジションを取りたい人は、うまくいったときには自分のおかげだと考え、いまいちだったときには相手のせいにする

「コミュニケーション障害」を自認する人はその反対を考える。うまくいったときは相手を話し上手だなと考え、いまいちだったときは「自分がうまい返しを言えなかったから、うまくいかなかったのだ」などと責任をわざわざ引き受けるのである。

もっと言えば、本質的には良いコミュニケーションも悪いコミュニケーションも存在しない。お互いが身勝手に居心地が良いと感じていたり、身の置き場に困るように感じていたりするだけだ。

相手に向かって「コミュニケーション障害」などのレッテルを貼る人間は、「あなたと私の関係性に私は満足できません。でも私は変わるつもりはありません。だからあなたが変わるべきです」と主張しているのだ。「私が楽しめないものはコミュニケーションとは認めません。」と主張しているのだ。ずいぶんと偉いご身分である。(この”身分”というのは大事な概念だ。後で政治家の例がでてくるが、エスタブリッシュメントがとる常套手段を覚えておこう。)

「コミュニケーション=楽しめるもの」この定義は間違いではないが、積極的に他者を害する意思を持たない相手であれば、程度の差はあれ楽しみ方は様々にあり、楽しいと感じることはできる。例えば、話下手を自称する人の多くが選ぶ「優しくて丁寧なしゃべり方」が私は好きで、聞いているだけで優しい気持ちになる。

あまり楽しくなければその2人のコミュニケーションは今後起こりづらくなるだけだ。楽しくないことを何度もする必要はない。何の問題もない。

でも、「いま悩んでいるのだ。なんとかしたいのだ」というあなたに。

悩みごとを解決するためいくつか手段がある。

簡単なのは原因を取り除くことだ。

まずは悩みが生まれる原因を理解しよう。

「キャバクラでおじさんにお金を支払ってもらうために望ましい話し方」は存在する。新入社員が初めに教わるようなビジネスマナーにのっとった話し方をマスターしていれば社内外での初期の評価はグンと上がる。

つまりは、シチュエーションによって異なるようだが、「居心地が良かった」と感じてもらう話し方の方針くらいは存在する。(この方針の具体例は後で説明する。)

「これが普段できないのだ」とあなたはきっと考えているのではないだろうか。

しかし、一度立ち止まって考えておこう。お金をもらうために「仕事」として行うならともかく、必要もないのに相手の居心地の良さまであなたが気遣い、保証する必要はない。

もしあなたの方が「居心地が悪い」と感じていて、尚且つその状態を自分の意志で改善したいと考えているならば、まず行うべきは自分が感じている「居心地の悪さ」を許容することである。

常に快適でいることは叶わないのだから、「居心地が悪い」ことも当然あるのだという事実をまずは受け入れよう。世界はあなただけのために存在するわけではないのだから、仕方がない。

この事実が受け入れられないと、「居心地が悪い」思いをしたときに、相手のことを「あいつはコミュ障だから」などと非難することで自分の感情の安定と外面的な体裁を保とうとすることになる。

あなたの悩みを生み出すのはこういうことをする”他者”ではないだろうか。非難しているのは隣のクラスのあいつかもしれないし、上司かもしれないし、自分自身かもしれない。

悪くない人を非難するような人にはなりたくないと思う。非難する人であり続けたくないと思う。

そんな私たちはどうすれば良いか?

あなたが行うのは、問題を引き起こしている「非難による方法」と、問題を引き起こさない「非難せずに解決する方法」を学ぶことだ。悪手と良手を学び、良手を選ぼう。

まずはあなたの抱えている問題を引き起こしている「非難による方法」から。

これをnoteを書いた理由は、今悩みを持つ人が理解をより深めて改善に向けて歩き出す指針を示すことにあるが、これから悪手を選ぶ人が少なくなり、悩む人が少しでも減ることを願ってでもある。

非難による方法

「コミュニケーション上手」を自称する人が乱用している「非難による方法」を知っておこう。(※コミュニケーションに使われる行動が優れている尊敬するような人はたくさん存在します。しゃべり上手な方や笑顔が素敵な人とかも。そうした人を非難する意図はないので悪しからず。)

仕組みは非常に単純だ。

あなたがこれから「コミュニケーション上手」を自称する人物を目指すと想定して説明する。

手法は「見せかけの数」による暴力である。数の暴力ですらない。

「見せかけの数」による暴力とは、「特定のコミュニティ」=「世界の片隅に存在している小さなコミュニティ」による、特定人物の否定のことだ。

小さなコミュニティは、狭い視野では一見多数派に見えるが、学校や会社を出れば、「圧倒的に少数派な偏った意見を持つ変人集団」、であったなんて可能性は十分にある。

例えば、同性愛などを理由にいじめを行う集団などは、社会から見れば明らかに「敵」であり、社会的に孤立した少数派であることを理解しよう。

あなたがどのような人物であるかは大した問題ではない。少なくとも「うまくやりたい」と感じる環境において、多数派となるコミュニティを作ればよいのだ。

あなたはより新しくて強いコミュニティを作ればよい。

そのために、よりたくさんの味方を身近につくろう。コミュニティに集まる目的はそれぞれなんでも良い。趣味が合う仲間とつるんだり、他校や外部の人間との関係をつくり積極的に関係をもつ。

高収入とか、喧嘩が強いとか、人数が多いとか、タレントの○○もこれが好きだとか、そういうくだらないところで勝っていればなおのこと良い。

そうして、コミュニティに合わない人が現れたら「私の好きな仲間といるときは私は楽しいけれど、あなたといるときは居心地が悪いです。」と言えばよい。

「あなたと私の関係性に私は満足できません。でも私は変わるつもりはありません。だからあなたが変わるべきです」と伝えればよい。

見せかけの数は、「コミュニケーションが生まれている関係」の枠外から「私は正しい」と攻撃することができるのだ。

言い換えるなら、

「私とあなた」というコミュニケーションが生まれている2者関係で考えるのではなく、「正しい集団に属する私」と「正しくないあなたという個人」という図式を作ることで他者を攻撃しているのだ。

・・・やりたいかどうか&やれるかどうかはともかく、もしあなたが「コミュニケーション下手」なんてズレた悩みを抱いていたのだとしたら、あなたがはまっている問題の発生原因は上記のようなシステムだろう。

一度はまると自己否定という抜け出しずらい考え方に陥る。でも、仕組みが分かった今はもう大丈夫。敵は自分が正しいことを前提にしている。

<・・・余談ここから・・・>

ちなみに政治家が時に相手(記者など)を馬鹿にした態度で話すのも同様である。

彼らは、「自分の発言が正しい」ことの理由を会話の内容や論理的説明に求めず、「持っている情報量や論理的思考力は私の方が優れている」と主張する態度(相手を馬鹿にする態度)をとることで証明しようとしているのだ。

いかにもうんざりしたように「だからね...」「あのね、」とか言っているのをよく記者会見などで見るだろう。「情報を持っている私(政治家)が考えの浅い人たち(記者)に仕方なく教えてあげる」という構図を作ろうと努力しているのだ。

もちろん、政治家同士の討論でも同様である。どれだけうんざりしているように見せられるかの勝負になっている。「私」が正しいことを前提に会話をしようとお互いに努力している。

悲しいが人間はこうした態度には騙されやすい仕様である。

正しそうな人にどうしても組したくなってしまうのである。

<・・・余談ここまで・・・>

もし「新しくて強いコミュニティ」を作りたいなら、彼らの真似をすればよい。まずはどこかに属して(属するふりをして)派閥を構成して、合わない他者を批判して、仲間を引き連れて独立と言う流れが自然だろう。

もし「新しくて強いコミュニティ」をつくるのが難しいと感じるなら、無理をする必要はない。むしろしないでほしい。先にも述べたように、見せかけの数に頼った「自称コミュニケーション上手」なんて存在自体がばかげているのだから。

次に問題を引き起こさない「非難せずに解決する方法」を学んでいこう。

非難せずに解決する方法

すでに存在しているコミュニティ(学校のクラスのグループや会社の飲み会仲間)などの文化にこちらが合わせてあげよう。お金を稼ぐためとか、大学に行くためとか、そういう目的があればなんとか乗り越えられるだろう。

それができないんだって?

解決策はある。

先に少し触れた、仕事として「居心地が良かった」と感じてもらう話し方の方針をベースに、マウントの取り合いや騙し合いではない「人との誠実な関係性づくり」を考えよう。

以下は、仕事の話題や最低限の会話ならできるが、それ以外の話ができない人を想定している。

求められるのは

・メタコミュニケーションの理解
・勉強の継続

の2点である。

メタコミュニケーションの理解

メタコミュニケーションとは「コミュニケーションを生み出すコミュニケーション」のことである。

さらっと書いたが、これは重要な概念だ。

相手がしゃべりやすい・しゃべりたくなる、反応したくなるコミュニケーションのことである。

メタコミュニケーションの方法は様々あるが、その一つは「相手が関心を抱いている対象への敬意」を表現することである。(敬意は別に持っていなくても、持っているように見せられるから大丈夫!ほら、キャバクラとかね!)

◆相手が関心を抱いているものとは何か?

一番は相手自身である。誰だって自分のことが一番なのである。ほかに好きなもの・趣味など、一緒にいて観察すればだんだんとわかってくる。直接聞いてみてもいい。「○○が好きなんですか?」とか「そのキーホルダー可愛いですね」とか。

◆敬意とは何か?

通常は、否定せずに認識することである。(時には否認することも求められる。余談:街ですれ違う他人の顔を覗き込んで歩く人はいない。存在を否認すること・何もしないことがコミュニケーションにおいて大事になることもあるのだ。)

具体的なやり方を3つに分けて説明する。

◆質問
◆リアクション
◆話題の提供(いつか書く)

これができれば友人がたくさんできるとか、そういうものではないけれど、まずはこれだけできれば十分に人と仲良くなれると思う。

質問の仕方

「髪切った?」とか「今日暑くない?」とか。

もう少し会話らしい会話をしたいのならば、人がものごとを認識する・行動するまでのレイヤーを意識しよう。

事実・選択・意味・推論・結論・確信・行動

髪切った?という質問は上記レイヤーの「選択」どまりである。目で認識した事実の中から、髪が短くなったという相手の見た目の変化を選択し発言したのだ。

この選択した内容に

◆文化的・個人的な「意味」づけを行ったり、
◆「意味」づけからさらに「推論」したり、
◆「結論」づけて「確信」に満ちた思い込みを付け加える

ことで相手はもっと言葉を返しやすくなる。コミュニケーションを誘発するメタコミュニケーションとして有効に働いてくれるのだ。

踏み込むのならまずは「意味」から

「髪切った?失恋でもした?(文化的意味づけ※マンガ的な文化なのでジョークとして)」

「推論」

「髪切った?もしかして前言ってたバイトの面接?(切る理由があったのでは?という推論)」

「結論」「確信」

「髪切った?なんだかさっぱりしたんじゃない(見た目が良くなったという結論づけ)」

「髪切った?前髪長くてじゃまそうだったもんね(じゃまだったから切ったのであろうという確信=思い込み)」

「髪切った?あれ、切ってない?(認識間違いという思い込み)」

「意味・推論・結論・確信」の4つは明確に分けられるものではない。どちらかというと内容よりも表現の仕方によって分けられる。

「失恋した?」は意味づけ的であるし、「失恋したんでしょ」は確信に近い。「やっぱ前髪じゃまだった?」は推論に近い。

この分類は、

・相手によって言葉の表現を変えるバリエーションとなったり、
・他者同士のコミュニケーションから学び、自分がコミュニケーションを行う際に応用するための参考

になる。

意味づけなどを行うと、なぜ相手は返しやすくなるのか?

人は基本的に自分のことをしゃべりたい生き物なのだ。

間違った意味づけであれば訂正したくなるし、合っていれば「わかってくれている」とうれしくなる。

確信的な表現に対してはノリつっこっみをするなど、返し方のバリエーションが増える。(髪切った?に対する純粋な反応はYes or Noである。こうした質問をクローズドクエスチョンと呼ぶ)。また、面白く返せるかも、という相手の認識は相手の行動を促す。

さらに単なる認識を述べるだけでなく、意味づけしてみせることで、あの人は「私に対して関心を持っている」と思わせることができる。

本当でも、時には見せかけが多少混じっても、あなたが悪意なく相手と仲良くなることを望むのならばそれはきっと良いことだ。

リアクションの学び方

「えっ、本当?」「やったじゃん♪」「怖っ」など。

リアクションを理解するために考えたいことが2つある。

・リアクションとは文化的に典型化された発言である
・リアクションには2種類存在する

リアクションとは文化的に典型化された発言である

リアクション芸などを想像してみよう。あの芸能人のあのリアクションは、毎回同じだから・前回と似ているから良いのだ。あなたの周りの人々もいつも同じようなリアクションばかりしている。

短い表現で、想定の範囲内に収まる、お決まりの言葉を発言する、のがリアクションなのだ。

さらに、いちいち深く考えないからこそリアクションはメタコミュニケーションとして有効なものとなっていることも理解しよう。

深く考えて発言されると、話相手も深く考える必要がでてくる。具体例を見てみる。

「怖っ、あれこれこういう演出だからかな?」

「なんだろう、好きというか...尊みがあるというか...伝えるのが難しいんだけれど...」

はリアクションではない。説明に近いと思う。(※別に「説明」は悪くはない。しかし相手が特に関心を持っている話題 or 相手があなたへ強い関心を持っているのでない限りは、メタコミュニケーションとしてあまり強く働いてくれない。)

しかし、ここに問題がある「深く考えるな」という指示は実行が難しいのだ。

あるがままに感じたことをしゃべりなさい。なんてアホなコミュニケーション指導を行う人もいるが、無理をおっしゃる。「考えることをやめなさい」なんて指示は人間には実行不可能なことだ。

ではどうするか?

すでにテンプレートとして存在しているリアクションをひとつずつマスターしていこう。

すでにある表現をひとつずつパクっていけば良い。実際みんなそうしている。観察していると、同じグループや同じ会社に属している人は、まったく同じリアクションをすることが多いと気づくはずだ。

リアクションは、テンプレートを覚えればすぐに使うことができる。コミュニケーションに使う行動の中では習得しやすく、汎用的で、使っているうちにほかの行動も覚えていくきっかけとなる便利な存在である。

周りの人の発言からリアクションを拾ってパクれば、あなたもだんだんとリアクションが上手になる。(アドバイス:習得にゴールは存在しないから、タイミングなんて考えないでじゃんじゃん使っていった方が良い。失敗から学ぼう。)

リアクションのパターンを覚えていくために参考となるのが分類だ。

リアクションには2種類存在する

◆相手へのフィードバック
「頑張ったね」や「やったじゃん♪」は相手へのフィードバックである。相手が求めているであろうリアクションを返すことである。

◆自分の感情の表現
「怖っ」や「超楽しみにしてた」「かわいそうだね」などは自分の感情の表現である。

この分類は、私のただの思いつきだから明確ではない。しかし、リアクションをこれから覚えていこうという人には役立つと思う。

おそらくコミュニケーション行動を得意と感じていない人は、「相手へのフィードバック」からはじめるのが簡単だ。大体が肯定的なものになるから、受け入れられないことは滅多にないだろうし、社会的背景から「褒めとけばいいのかな」などというのは比較的わかりやすいからだ。

褒めたり、認めたりといった内容は自分自身の感情とは別ものであるから、これまで上記のような「あるがまま」的な指導をする本などに悩んでいた人も言葉にしやすいだろう。

いわゆる「お世辞」のように思うかもしれないが、世の中は結構お世辞で成り立っているところもあるから大丈夫。

みんながみんな「頑張ったね」「すごい!」などと本心から強く思って発言しているわけではない。「私にはよくわからないけれど、夢中でむちゃくちゃ喜んでいるみたいだし、とりあえず褒めておこう」とか、そういう場面はたくさんある。

もう1種類のリアクション「自分の感情の表現」を見ていこう。

「自分の感情の表現」に使う言葉を、自分で考えることは結構難しい。

なぜなら、いわゆる「かわいそうな動物の写真」を見て人が想起するのは「かわいそう」という言葉ではなく、「もやっとした不快感やいたたまれない、もどかしいようなふわっとした感覚」だけである。(極論、なんらかの化学物質が脳内で放出されたりしているだけなのだ。)

それを誰かが「かわいそう」と言ったあとに、そうそうこれは「かわいそう」と表現できる気持ちだった、とわかる。これが「自分の感情の表現」に使う言葉である。

人は、必要がなければ言語化なんて面倒なことはしない「人に伝えよう」という意欲があるから言語化するのである。「じゃあ、意欲を持とう」と決心すれば良いのかというと、残念ながらそうではない。

いちいち会話のたびに「どの感情を伝えるか」を考えたり、その「感情を言語化する」ことは慣れないうちはつらいし、時間がかかるのだ。「決心すればすぐにできる」なんて夢はもたないことだ。

そのうちきっと、気を許している相手に対しては、ぽろっと口からついついでてしまうようになる。

それまでは「リツイートする」つもりで、誰かが言語化した感情に同調していこう。つまりは「自分の感情の表現」においても「相手へのフィードバック」を参考にした「リツイート戦略」をとろう。

単に「だよね~」とか「わかる~」とか。
「ほんと~、超かわいそうだね」とか強調したり、繰り返したり。

だんだんと、「見てられないよね...」などという言い換え表現を誰かが言ったりするだろう。その時に「いいな」と思ったら覚えておく。そうした経験の積み重ねがあなたの持つリアクションのバリエーションを増やしてくれる。

ちなみに、普段「面白い」とか「かわいそう」とかみんなが口にしている対象は「それほど面白く」はないし「そこまでかわいそう」でもない。

爆笑をかっさらう世界的お笑い芸人の飛び切りのネタと比べてみよう。

時間をかけて大人数で作りあげられた映画や演劇、小説と比べてみよう。

日常生活で出会う物事は「それほど」や「そこそこ」「まぁまぁ」なものがほとんどなのだ。さらに、むしろ大したことないものを話題として扱える関係の方が、親密であることを知っておこう。

距離がある人間に対しては、より誰もが納得する対象を選ぶ
例えば、話題のホラー映画がやっぱり怖いとか、テレビで話題の話、天気とか。社交辞令をイメージ。

距離が近い人間には、より身近で素朴な対象を選ぶ
ボールペンのインクがちょうど切れた、タイミングが悪いとか。相手の持ち物についてとか。
日常エッセイのようなユーモアや、芸人のようなトークづくりは必要ない。相手の関心がありそうなものであれば十分である。

あなたの身の回りの事柄によく注意を払おう。そして「リツイート戦略」に慣れてきたら、リアクションが得られそうな小さな話題を自分から取り上げてみよう。

表現は大げさであれば、より相手の反応を誘発するメタコミュニケーションとして有効に働くが、無理はしないのが良い。仕事でもないのに、相手のためにそこまで一生懸命になる必要はない

話すほどのことではないんだけれど」という内容をほんの少しだけ日常から見つけてみよう。できれば今現在のものがよい。相手の持ち物やPCの壁紙、この前相手が話していた話題のものなど、現在の相手が関連するものだと良い。ちょっと無理に「今」と結びつけるために「今気づいたんだけど」「さっき知ったんですが」「ずっと気になってたんだけど」から話し始めるなんて手法もある。もちろん、天気でもいいし、相手の住んでいる場所、通勤方法などでもいい。

相手の返答に対しては、リアクションで返す。もちろん、意味づけできるとより相手のコミュニケーションを促進する。話題を選ばずいつでも使いやすいのは「えっー、そうなんですか」といった驚きや、思い込みによる「えっー、○○じゃないんですか?」である。よく聞くでしょう?

「感じたままに発言」を本当に実行していたら、感情表現が少なめなちょっと冷たい人として評価されるだろう。そういう人もかっこよくて素敵だが、「感じたままに発言」をする必要はないのだ、ということは覚えておいてほしい。

勉強の継続

当たり前のことだが、質問もリアクションも今日明日すぐにうまくなるものではない。

あなたがもし、いま、コミュニケーション行動が下手だと感じているのなら、たぶん、明日も明後日も下手だろう。来月も下手だろう。もしかしたら、一生下手かもしれない。

でも大丈夫。

コミュニケーション行動が下手なことが直接的な理由で死んだ人はいない。

話が大きすぎるだろうか?しかし、悩みのいくつかは決して得られない「不可能な夢」を抱くことから始まっている。目標とする到達地点がぼんやりとしているから、間違った努力を重ねていつまでも進まないのだ。

今周りにいる人と楽しく過ごしたいという望みですら、全員とは無理であろうし、そのうちの1人は時間がかかるかもしれない(死ぬ間際にやっと仲良くなれるかもしれない)。

すべてを解決してくれる魔法は存在しない。無理な希望は抱かずに、いま持っている道具と周囲の環境を認識し、それを少しずつ自分にとって良いものに変えていこう。

ファーストステップは、現実の、日々の”周り”にいる人たちを認めてあげることだ。隣の席のあいつや家族、取引先のおじさん。

中には、肯定できないような極悪非道な人物もいるかもしれないが、たぶんあなたが「肯定できない」と感じる対象を、同じく「肯定できない」と感じる人はたくさんいる。大丈夫。そういう人を肯定してあげればいい。きっと相手も肯定してくれる。

コミュニケーション行動が活発な人の方が一緒にいて楽しいと感じる人もいるし、あまりない方が気楽な人もいる。少しずつ同じような人が見つかっていくはずだ。

そうしてつくられていく「あなたの世界」がどうか幸せな空間でありますように。

参考図書

問題解決大全

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Have a nice day^^