足跡日記👣§10

 人が交錯し、物が横溢し、情報が錯綜する日本の心臓:東京。夜行バスはその大動脈の一環を担う東北道を走り、東京駅に到着した。たくさんの人たちとは真逆の方向の電車に乗って実家に帰る。交差する電車を眺めながら、目に隈を浮かべ、虚ろな目をしたサラリーマンを見て、何とも言えない気持になる。

 東京に来るといつも心に浮かぶこと。それはノイズが多いことだ。特に情報のノイズ。華奢なモデルさんが決め顔で、紅い口紅を強調している。僕の司会に移る情報の9割は必要ないのではないか?とつい感じてしまう。

 一方で、東京にも魅力はある。それは出逢いの場が集中していることだ。ぼくは仙台の雰囲気が大好きで、何事も考えなくてよいなら仙台で余生を過ごしたいとも思うぐらい気に入っているが、やはりたくさんの出逢いや機会がある東京には羨望の念が湧く。日々のノイズに苛まれながらも、新たな出逢いや旧友と出会えるのであれば辛抱するか、と思うぐらい、東京は魅力的だ。

 という訳で帰京するとできるだけたくさんの人に会おう/逢おうとするのだが、今回は特に嬉しかった。4年近く会えていなかった仲間に会うことができたからだ。4年前も、会ったとはいえ二言三言しか話さず、以降幾ど連絡を取ったこともなかった。けれどお互いそれぞれの道で気候変動や社会問題に挑戦し、研磨し合ってきた。一抹の緊張を携えながらも、ぼくたちはカフェに入った。

 本旨は彼の研究に付き合うためだったが、前後で今までを回顧/懐古しながら近況報告をした。彼は一見凪を擬人化したような人で、安らかな雰囲気を漂わせているが、心の内は闘志を滾らせ、常に自分を磨こうとする人だった。つまるは自分と共通点の多い人だなと、昔から勝手に親近感を抱いていたのだった。彼との時はあっという間に流れ、手を振って離別した時には、とても心が清々し、前を向くエネルギーを貰った気がした。この他にも、旧友や仲間と一緒に気候変動に対するアクションをしたり、反戦行動のオンラインアクションなどを通して、たくさんの輝きを心に補充することができた。

 好きで嫌いな東京。次に帰るときは、ぼくはどんな気持に駆られるのだろうか。


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