『エヴァ』感想文「第壱話:使徒、襲来」

今回は第1話なので、エピソードの構成と物語の基礎となる情報の収集を基本姿勢として視聴した。

舞台は(放送当時からみて約20年後の)近未来2015年の日本。物語の「ツカミ」は、巨大敵性行動体「使徒」への国連軍の抵抗が無に帰すこと。その視点は、国連の軍人以外として、父に呼び出された主人公である碇シンジ(と、彼を迎えにきた葛城ミサト)のものである。

シンジとミサトがネルフ本部へ向かう会話の中で、シンジが父親に対して複雑な(おそらくネガティヴな)心境を持っていることのみならず、ミサト自身にも似た境遇があることが示唆される。『エヴァンゲリオン』主人公の親子の対立は有名な題材であり、作中では今回のエピソードから描かれるが、ミサトについてはどういうものなのか、今エピソードでは描かれず、サスペンドされることとなっていたので、今後も見逃さずに留意したい。

ネルフ深部、エヴァ初号機の格納庫にて父親と対面するシークェンスは、シーンのジャンプがなく、ほぼ単一のシーンで描写されている。例外といえるのが父ゲンドウとの会話中におけるシンジの回想である。その中で泣く幼いシンジと、直前直後の「父さんは僕が要らないんじゃなかったの」「やっぱり僕は要らない人間なんだ」という独白は、主人公の抱えることになる葛藤の本質に近いものを表していると考えられる。

続き、使徒の攻撃で揺れる格納庫にて、落下物からシンジを守るためか、初号機はパイロットなしに右手を動かす。同一シーンの序盤でその存在を、「巨大ロボット?」というシンジの戸惑いを否定し「汎用人型決戦兵器:人造人間エヴァンゲリオン」として定義されていたが、ミサトの台詞から、動かすために本来はパイロットとの「インターフェイス」を要するものの、条件を満たせば自律行動を起こしうることが表現されており、これらの点から、一般的なロボットアニメにおける主役兵器との違いが注目されそうだ。(了)

それにしても、既に若干の分量を観進めていたTVシリーズのアニメを、改めて第1話から見直し、第1話の情報だけでその感想を書く、というのは、思いのほか難しいものだった。次回からは少しは楽になるかな……。

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