榛見あきる

ゲンロンSF講座4期受講生。第四回ゲンロンSF新人賞受賞。 小説以外のだいたいのものが…

榛見あきる

ゲンロンSF講座4期受講生。第四回ゲンロンSF新人賞受賞。 小説以外のだいたいのものがここにあります。

最近の記事

活動履歴(2023)

作家二年目。2022年と比べ、勝手がわかってきたようなきてないような。 【小説・文章】『ハチ子、熒に吠ゆ!』 小説すばる2023年2月号掲載(中篇) 2022年の『【加藤直人×榛見あきる 創作会議】起業家と小説家が本気でメタバースSFを考えてみた』で作成した二つのプロットの内、もう一つの方。『メタバース』に存在する一つの限界として〝光速〟がある。メタバースの理念の内にあるのは全地球的な共時性だと思うのだけど、それを地球外(今作ではもっとも身近な惑星として火星)まで拡張した

    • 活動履歴(2022)

      デビュー作が出版された年。作家一年目の活動記録です。 【小説・文章】『虹霓《こうげい》のかたがわ』 第4回ゲンロンSF新人賞受賞作(中編小説) Kindle版 ゲンロンショップ版 ゲンロンSF新人賞の受賞作を改稿したデビュー作 チベット仏教ダンスSF。今年のお仕事はすべてここから始まっています。 『【加藤直人×榛見あきる 創作会議】起業家と小説家が本気でメタバースSFを考えてみた』小説すばる2022年4月号掲載(対談記事) 後によみタイにも掲載 メタバースプラッ

      • お遍路キャノンボール

         僕が四国を訪れるのは、第60回SF大会で二度目である。  一度目は大学四年生の夏だ。僕は小説家になりたかったが、なりたいだけだった。大学のサークルで身内向けの同人誌を出しているだけで、公募も持ち込みもしていなかったのだから、まあ小説家になれるわけも、書いた小説がどこか商業の舞台に乗るわけもない。  それでも大学は卒業する時期は決まっている。一念発起して、企業説明会にでも行けばよかったのだが、大学四年生の頃の僕が向かったのは阿波の国とお遍路だった。夜行バスでの強行である。  

        • 第3回梗概『闇同人誌を追え、ゴスロリで』

          【梗概】 ヲタロポリスはヲタクの街。当然ヲタク警察がいるし、ヲタクマフィアもいる。その間には探偵も。  ヲタク探偵ジローの前には、古なじみの顔があった。ジローがかつてヲタク警察だったころに世話になった刑事だ。そいつがジローの事務所に持ち込んだのは、大量の同人誌。企業が定める二次創作規約に大いに抵触した“無許可二次創作《アポクリファ》”の代物だ。  刑事は言う。  最近、規約違反の闇同人誌が増えている。このままだとせっかく緩和された二次創作規約がかつてのように二次創作の完全禁止

        活動履歴(2023)

          放課後のプレアデスと宮沢賢治/みなとの星宙の感想

          2020/12/20追記:『みなとの星宙』を手に取りやすいよう、参考文献に一冊追加しました。 2022/8/24追記:『みなとの星宙: 放課後のプレアデス (Maia) Kindle版』を参考文献に追加。待望の復刊! これを、可能な限り言語化したいと思って今回の記事を書くに至りました。というのも『放課後のプレアデス』のノベライズ版である『みなとの星宙』を読んだことによって、放課後のプレアデスの背景にひそむ宮沢賢治という詩人の存在に気づかされたからですね。  少々長い文書なの

          放課後のプレアデスと宮沢賢治/みなとの星宙の感想

          「〈文字〉の生存可能性」榛見あきる(遠野よあけ『十二所じあみ全集』感想)

           東京に向かうバスの中で遠野さんの『十二所じあみ全集』を読んだ。  難しかった。読み手にとても高度な知性を要求する小説な気がする。  それは作品内で読み手の視点となる人物がとても希薄だから。 『視点人物』と物語の構造について  そもそもアピール文に書いてある通り、その視点人物の存在を登場させるかどうかを悩まれていたようだ。  結論としては『登場』が選ばれた。のだが、この人物の役割は、作品を通して二つしかなかったと思う。『小説として、形式的な時間軸をつくる』ことと『十二所じ

          「〈文字〉の生存可能性」榛見あきる(遠野よあけ『十二所じあみ全集』感想)

          『無何有の位』についての解説などエトセトラ、および返答のようななにか

          これ↑について、色々なところで色々な意見をもらったので、忘れないうちに色々書き留めておこうと思う。ネタバレどころの騒ぎではないので、ご注意を。 まず僕が考える『無何有の位』の面白さ(=優位性)は三つあって、 ・『三蔵法師』と言う誰もが知っているキャラクターが、『ブラフマグプタ』という知らないキャラクターと出会うことで、誰もが知っている西遊記という物語がゼロの発見という物語に、新たな接点を見出す。 ・その具体的な表現として、西遊記的な派手なキャラクターと問題解決の物語に、

          『無何有の位』についての解説などエトセトラ、および返答のようななにか

          第5回梗概感想 4/4

          前4人の分に関しては、11月3日には終わっていたのです。なのに、なぜ…… 式『BIG MOTHER IS WATCHING YOU』前半と後半の落差が面白さを決める作品。『おかんAI』という発想がそもそも面白いので、そこから上手く組み立てていけば当然面白くなるはず。その反面、主人公がどうしても弱い。いや、面白さの主体が『おかんAI』なのだから、ある程度テンプレなキャラクターを持ってきた方が短編としては締まりが良くなる(そもそも『J( 'ー`)し「タカシ」』だし)のだが、本当

          第5回梗概感想 4/4

          第5回梗概感想 3/4

          自分の感想を失わないよう大森先生をはじめとした講師陣の意見をいったん洗い流すために、時間を空けてみました(本当の因果関係は逆で、だらだらしてたら時間が空いて講義内容が頭から抜けた……) なので純粋に梗概を読んだ感想になります。 九きゅあ『アニメキャラは辞められない』虚と実を扱った作品。これもある種『構造』が意味を持つ作品であるように読めるので、どこまでメタな推察を始めるかで面白味が変わってくるし、読者をそのメタな推察にどれだけ誘導できるかに作者の技量が問われる。 梗概から読

          第5回梗概感想 3/4

          第5回梗概感想 2/4

          東京ニトロ『隧道奇譚』自分が知らなかったものを教えてもらえるというのは面白いのだ。オチである『メアリーセレスト号』については調べて初めて知ったし、隧道(ずいどう)という単語も初めて知った……僕の無学をさらしてもよいことはないな。 気になった点は話の主軸が『隧道』なのか『石』なのか『メアリーセレスト号』なのかが読み取れなかった。タイトルと話の展開とオチと(オチはある種しょうがないことではあるのだが)で、焦点がズレている気がしてしまった。 書いている途中で思ったのだが、オチは石の

          第5回梗概感想 2/4

          第5回梗概感想 1/4

          今回のポイント ・順番のランダム化は継続 ・一人当たりの『読み解く時間』を均等化 品川必需『仮想現実の彼女』VRラブプラス的な感じ、僕もやりたいし、やったら帰れなくなる自信もある。あとADVにおける謎シナリオはよく聞く、TKOYとかで。 品川さんのナンセンスギャグは個人的にとても好きなのだが、今回はギャグへの振り切り方が弱い気がする。ヒニョラを見た後だったり、またみたみたみを読んだ後だったりすると、特に(ヒニョラの印象に引きずられてホラーなのかと身構えてしまう)。 仮想現

          第5回梗概感想 1/4

          ゲンロンSF講座第3回梗概感想に対する反省

          半分言い訳、半分戒め 第3回梗概全感想失敗 これに関しては本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。 事前に指摘されていた通り、どう考えても時間が足りなかった。が、『何かやらなくては』という気持ちに駆られてスタートしてしまったというところが大きな問題点。 その中にある小さな問題点を見ていくと、『①一作品にかける時間を決めていない』『②感想なのか分析なのかはっきりさせていない』『③自身の生産性への過信』がある。 ①に関して、全員に同じ分量のものを返すのがフェアである正当であるとい

          ゲンロンSF講座第3回梗概感想に対する反省

          第3回梗概感想②

          【注意】こちらの前書きを読んでからご覧ください。 4.黒田渚 オール・ワールド・イズ・ア・ヒーロー  物語が終焉を迎えたディストピアに至るSF、主題は『正しさの定義について』だろうか。  一見して、キャラクターや概念の類似性が読者を混乱させる。『物語全体を調整するAI』と『キャラクターAI』と『視聴者AI』と。『ミューズ』も最初は『映像ストーリー自動生成エンジン(器官)』だったのが、二行目から『ストーリーAI』になっている。中盤の劇中劇でも『アンドロイド』と『ロボット』

          第3回梗概感想②

          第3回梗概感想①

          【注意】こちらの前書きを読んでからご覧ください。 1.武見 倉森 ゲームマスタ 『玉ねぎ状に積層されたゲーム世界』で、脱出を目指していた主人公が、少女ショットと出会い『自身を撃つことによって、本来脱出するはずだった世界とは逆方向へ移動することが出来る』と分かるところが転換点であり、物語的なキモであり、面白いポイント。 個人的に、一回自分を撃つだけでゲームマスターの部屋に行くよりは、『玉ねぎ状のゲーム世界』なので何度も『自分を撃つ』ことを繰り返して、世界の中心に迫っ

          第3回梗概感想①

          感想についての前書き

          【免責】 すべて榛見個人の感想です。皆さんの鼻息で吹き飛ぶような軽薄なものですので、受講生の方々はこんな記事なんかで 『書くモチベーション』 を失わないでください。 (言われるまでもない方々は、その頼もしさのまま書き続けてください) ネット上で一方的な批判をすることにならないよう最大限配慮しますが、人間の感情なんて理屈では納得出来ないものが多々あるので、何かあれば榛見本人にぶつけてください。 皆さんの書く物語は、必ず誰かに届きますし、必要とされています。 榛見なんかのせいで筆

          感想についての前書き