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おばちゃんのグダグダぶりがなんとも楽しい

 読書が趣味なので、映画・音楽・お笑いの類いにはほとんど食指が動かない。なによりも1本の映画に費やす2時間という長さが苦痛。それだけ本を読む時間が削られてしまうではないか。

 かといって、このところ話題になる「映画を早送りで観る」というタイパ(タイムパフォーマンス)をやるわけでもない。つまり「あまり好きではない」「無理に追いかけるつもりもない」ということだ。

 Amazonのオーディオブックサービスaudibleは自分にとっては“読書”のひとつだが、やはり時間を取られるのがかったるい。作品によっては、つい再生速度を1.5倍にしていることがあり、あら、それはしっかり「タイパ行動」なのだ。

 書物の森を逍遥するなかで、不思議な本がアンテナに引っかかった。

 「OVER THE SUN 公式互助会本」。コラムニストのジェーン・スーさんとTBSアナウンサー堀井美香さん(現在はフリーアナウンサー)によるpodcast番組からの「番組本」だ。

  いつもならば秒でスルーしそうな書籍。それがなぜか「ふーん、こんな本が出ちゃうほど人気のpodcastがあるのか」と思い、時間があったので聴いてみた。

 面白かった。
 
 番組タイトルは、名曲「OVER THE RAINBOW」を意識しながら“太陽の向こう側をめざす”という意味づけがなされているが、まあ、単純にカタカナ読みで「オバサン」である。

 ラジオのノリでおふたりが延々としゃべり続ける。ジェーン・スーさんはコラムニストならではのキレ味だし、ボケ役の美香さんが物おじせずに対応している丁々発止。スーさんのおばさん然とした貫禄声に対して、美香さんのアラフィフとは思えないような美声の対比もいい。

 そのふたりが、脱線しながらグダグダと盛り上がり続けるさまはまさに「おばちゃん居酒屋トーク」。過去のエピソードを簡単に聴けるPodcastなので、すべての回を追いかけようと思っているほどお気に入りになった。
 
 こうしたグダグダなトークはラジオ(この場合はpodcast)の独壇場かと思いがちだが、そういえばテレビでも磯野貴理子さんたちの「はやく起きた朝は」の世界観もこうしたノリだったのである。
 
まだまだ世の中には「面白いモノ」があるんだなあ。
(23/2/10)
 


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