夜更かしと帽子屋さん

生活時間が変化した。

まず早めに夕飯を作って食べるようになった。拠っていつもはぐずぐず起きているはずが早めに寝るようになった。早くに寝れば早くに目が覚める。

元来僕は夜型だった。夕飯を食べテレビを見たりシャワーを浴びたりとグズグズと日付が変わるまで起きている。風呂に入ると血行が良くなるからなのかさっぱりリラックスするからなのか何かを思いついて何かをやりたくなる。寝支度をしてから絵を描いたり音楽を聴いたりスマホで撮った風景写真などをいじくったりしてしまう。仕事が入ったら夜中の方が捗る。

そうして明け方まで起きている事が多かった。

母親と暮らすようになったら、そんな自堕落な生活スタイルをすると睨まれるようになった。「早く寝なさい!」…いい歳をした大人の僕にそれはないだろうと思ったが今住んでいるのは母が一所懸命働いて金を貯めて購入した終の住処である。流石に遠慮しなければならない。母の生活時間に合わせたら僕の創作時間および仕事の時間がとれなくなった。

夜はおとなしく寝るようになったのだ。

だからこの記事も消灯してベッドに入って、スマホでひっそり書いている。

昨夜の日曜日は、なんだか無性に気晴らしをしたくなって上野アメ横界隈へ行きブラブラ店を冷やかして歩いてきた。

コロナ禍で閉店を余儀なくされた飲食店がそのままになっているのを何件か目にした。可哀想にと勝手に同情する。

僕が社畜になっていた広告デザインの会社はもう10数年前に経営不振で解散してしまっている。だから仕事ができず稼げない辛さはものすごくわかるつもりでいるのだ。

上野へ行くと必ず立ち寄る帽子屋さんがある。店主のオニイサンは静かな人で、客が入ってきても黙って放っておいてくれる。「これ似合うかなぁ?変ですかどうですか」と話しかけると小さな声で静かにアドバイスをしてくれる。僕の好みの帽子が揃っているので大好きな店だ。

上野へ行って、さんざんブラブラした後、帽子ひとつだけを買って帰ってきた日曜日の夕方だった。

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