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Youは何しにHameeへ? ~デザインリサーチャー・堀尚史の挑戦~

ドイツ留学を経て小田原へ。異色キャリアのデザインリサーチャー

Hameeには、一風変わったキャリアを持つ男がいます。その男の名は「堀 尚史(ほり たかふみ)」
堀さんは大学卒業後、日本を代表するリゾートホテルである星野リゾートのホテルマンとして働き、その中でデザイン思考に出会い、本気で学びたいと一念発起してドイツへ留学しました。
2年間の留学を終え、現在はデザインリサーチャーとしてHameeで働いています。
彼はなぜ、言わずと知れた超有名企業ではなく、小田原という小さな町の企業を選んだのでしょうか。
今回はそんな堀さんのことをインタビューして深掘りしていきたいと思います。

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新卒として星野リゾートをファーストキャリアに選んだ理由は何だったんですか?
「社長が『日本の観光をヤバくする』というミッションを掲げていて、面白そうな会社だなと思い興味を持ちました。調べていくうちに、フラットな組織体系であること、似たような考えや価値観を持った人が集まった会社であることがわかりました。それが星野リゾートを選んだ一番の理由です。

社長がどういう人なのか、どういう考えを持っているのか、どういうビジョン・ミッションを持っているのか、思想と価値観への共感を大事にしているか。そういう社長の考えや動き方が社員の行動(アウトプット)に出ると考えています。WEBサイトであったり、面接してくれる人であったり、オフィスの雰囲気であったりと。
それは今も会社選びの基準にもなっているし、Hameeもそれで決めました」

筆者の人生では考えられないのですが、なぜ星野リゾートからドイツへ行こうと考えたんですか?
「顧客満足度調査から拾ってきたインサイトをベースに新しいサービスを作る・サービスを改善するという一連のプロセスを見直して、体系化の再構築を行うプロジェクトをやっていて、それに関連した本を読んでいました。その中でデザイン思考プロセスに出会いました。このプロセスはまさに星野リゾートでやっていきたいことだと思い、リサーチの手法やアイディエーションの手法を部分的に取り入れていましたが、やればやるほど、本を読んでいるだけでは本当の意味ではマインドセットとスキルが身につかない、実践が必要だと感じ始めました。ビジネススキル的にもデザイン思考は今後必要になってくるスキルだと思ったのと、個人的にもデザイン思考はライフデザインとしても役に立つと思い、それを体系的に実践して修得できる大学院がヨーロッパにいっぱいあるということで留学を決意しました」

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とてつもない決断ですね!!その当時の周囲の反応はいかがでしたか?
「二極化しました。大まかに言うと『いい会社にいるのにもったいない、リスクじゃないか』と『いいじゃん、行ってみなよ!』という意見でした。多くの人に話を聞くうちに、過去に似たような挑戦をしてこなかった人は前者の意見、積極的に新しいことに挑戦してきた人は後者に分かれるなと思いました。自分の中にも『会社を辞めてもキャリアが途切れる訳ではなくキャリアは経験の積み重ねだからリスクではない』という気持ちがありました。最終的に行って良かったと決めるのは自分だと思います。少し迷いはしましたが結果的に行って良かったです」

あなたにとってのデザイン思考とは?

デザイン思考を学んだことで良かったことは何ですか?
「デザイン思考のプロセスを進めていく上でのマインドセットとして、『Be Optimistic(楽観的であれ)』『Embrace Ambiguity(不確実性を楽しむ)』『Collaborate(協働する)』『Learn From Failure(失敗から学ぶ)』などの価値観があるのですが、メソッドだけでなくそういったマインドセットを実践しながら考え方が身についたこともデザイン思考に出会う前と後との良いギャップだと思います」

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某番組のような質問になってしまいますが、あなたにとってのデザイン思考とは?
人間(誰か)の生活を、今よりも少しでも良い状況にする為のサービス、プロダクト、仕組み、環境などをデザインしていく為の体系的なプロセスがデザイン思考だと考えています。それがデザイン思考=人間中心設計(HCD:Human-Centered Design)と言われている理由で、常に人(の潜在的なニーズ)を基点に何かをデザイン(設計)すること、既存の「問い」や「課題」を再定義(Reframing)することにその価値があると思います。

これを自身のライフデザインの文脈で考えると、自分(人)を人生の中心に据えて、自分は何を大事にしてどんな人生にしていきたいのか、その為に何をするのかという解を自分で模索しながら生きていくということ。その上で、先程のマインドセットを大切にしてライフデザインのプロセスを回していくという点で、個人的に繋がりを見出しています」

Youは何しにHameeへ?

神奈川県小田原市という意外な場所にあるHameeとの出会いは?
「Wantedlyでデザイン部のマネージャーの本間さんから声かけてもらったのがきっかけです。HameeのWEBサイトを見てみたら、クリエイティブ魂の説明文や雰囲気から面白そうな会社だなと感じました。デザインリサーチャーのポジションを広く探していたのですが、日本の会社でデザインリサーチを理解して、ポジションとして設けている会社は少なく、どうしてデザインリサーチャーを募集しているんだろう?何をしようとしている会社なんだろう?と興味を持ちました」

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筆者は新卒で入社しているのでHameeしか知らないのですが、堀さんが感じたHameeの魅力とはなんでしたか?
「デザイン部がやろうとしていることと自分がやろうとしていることとが合っていました。またマネジメント層がデザイン思考の推進を後押ししており、Hameeの本気度が感じられました。
Hameeの社員は人柄が良さそうと感じたし、そのイメージとの入社後のギャップはありませんでした。Hameeの一人ひとりとのタッチポイント(UI)がひとつひとつ良かった。入社後のUXも良かったです。Hameeは会社としてのUI/UX向上に注力していきたいんだと思います。WEBとかの話ではなく、本質的に。
『デザイン思考で発想したアイデアを実装して、それを使ってくれるエンドユーザーの反応まで追ってまた改善し、新しいものを作る』というサイクルを、自社サービスや商品を使う顧客に近いところでまわせる事が、事業会社でデザイン思考を実践できる魅力だと個人的に感じています。
デザイン思考を活用したビジネス展開をしている事業会社は他にもある中で、デザイン思考の使い所については熟考しています。
デザイン思考はあくまでツールなので、それをなぜ、何の為に使いたいのか、ということをじっくり考える中でカルチャーデザインという領域にも興味を持っていました。

そんな中Hameeでは
・全社的にデザイン思考を推進している
元IDEOの石川さん(現KESIKI代表取締役)と組んでカルチャーデザインに焦点を当てたクリ魂プロジェクトを本気で取り組んでいる
・デザイン部でデザインリサーチャーを探している

という条件が諸々重なり、自分が今後取り組んで行きたい方向性への土壌が整っていたことが個人的なHameeの魅力です」

なかなかいないタイプだと個人的に思うのですが、Hameeの社長・樋口はいかがでしたか?
「面接のときに僕がネクストエンジンをネクストステージと言い間違えた時も『惜しい!ネクストエンジンね!笑』とフォローしてもらいました。その後『次のミーティングがあるから』と30分くらいでいなくなっちゃいました(笑)。
お話ししたのは少しの時間でしたが『可愛らしいな、あのキャラクターはずっと変わってないんだろうな』と思いました。
多くは語らないが謙虚でオープンな雰囲気・なんでも吸収しよう・なんでも聞いてみようという印象で好感を持ちました。樋口社長には周りに支えられつつ自身の信念を元に発揮するリーダーシップを感じましたね。
星野社長にはカリスマ性やゴリゴリなリーダーシップを感じていて、また違う面白さを感じました」

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油絵ではなく、水彩画のようなデザイン思考の浸透を目指して

これから堀さんがHameeで目指すことは何ですか?
「Hameeが作りだす商品やサービスが、人の生活を今よりもちょっと良くすることに繋がって、それを好んで使ってくれる人が増える。ひいてはHameeという会社のファンが増え、会社が存在意義を体感できて、世の中により良い顧客体験価値を提供できるというサイクルになれば良いなと考えてます。

そして、デザインリサーチのマインドとスキルを基本スキルとして持っている人が社内にじわじわ増えたら嬉しいです。得意不得意ありますし、Hamee全員ができる必要はないなと思いますが、デザイン思考自体が会社の自然な価値観や思考法として浸透すれば良いなと考えています。やっていく中で自然と『これがデザイン思考なんだな』というような環境になっていけばよいなと考えています。そうして出来上がった絵が、強制に近いやり方で社員たちへ手法を押し付ける、例えば絵画で言うと油絵ではなく水彩画のように、これまでの社内の色に馴染むよう、徐々にデザイン思考が浸透していけば良いと思っています

デザイン思考はあくまでツール(手段)で、『人間(誰か)の生活を、今よりも少しでも良い状況にする為のサービス、プロダクト、仕組み、環境などをデザインしていく為の体系的なプロセス』です。Hameeでの取り組みが他の多くの企業にも広がっていけば、よりクリエイティブな人であふれる世の中になるんじゃないかと思います
 
堀さんに声をかけたデザイン部本間さんにもこのようなお話を聞けました。

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「社内ミーティングなどでワークショップとして行なってみてもなかなかゴールにたどり着けないことが課題でした。その解決のためにデザイン思考について勉強していたもののなかなか実践するのは難しいと感じていました。
また、Hameeはデザインから商品開発・販売まで一貫して行っていますが、リサーチの部分が弱いと感じていてテコ入れをしていかなくてはいけないとも感じていました。
その背景からデザイン思考を体現できてデザインリサーチについて専門的な人材を探している中で堀さんを見つけました。
堀さんは今までデザイン部になかったモノを持ち合わせていて絶対にプラスになると確信しました。めちゃくちゃ良いタイミングでした」

今回はデザインリサーチャーの堀さんを紹介させていただきました。
Hameeには皆さんに紹介したくなるような異色な経歴を持っている人や面白い人がまだまだたくさんいます。
その中に堀さんがHameeに入社した今、どんな化学反応を起こしていくのでしょうか。
水彩画のようにどんどんHamee全体にデザイン思考が広がって、それが追い風となり今よりももっと面白い会社になっていく未来を想像すると、今からワクワクします! 
ぜひ今後のHameeに注目していただければ幸いです。


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堀 尚史
1989年生まれ。新卒で大手リゾート運営企業に就職後、デザイン思考に出会いドイツ・ミュンヘンへ留学。デザインコンサルティングファームにてデザインリサーチを経験した後、Hameeに入社。
現在はその知識と経験と屈託のない笑顔をもって、Hameeの燃えたぎっているクリエイティブ魂に関わるプロジェクトのデザインリサーチを担当。誠に勝手ながら筆者の師匠の一人。

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