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やりたいことはなくていい

2月に突入してはや4日。世間ではコロナ関係の報道が多いが、職業柄、気になっているのは就活の動きだったりする。
学生は不安だよね…
ということで、今回は就活生を応援する記事を書いてみようと思う。

さて、就活の際、まず手こずるのは自己分析ではないだろうか。
ざっくり言うと「○○という体験から、○○と感じた(もしくは学んだ)ので、それを活かして○○になりたい・やりたい。」といったように、過去のエピソードが、自分の長所・短所、また目指す方向への”証明”になるようなイメージだ。
メリットは、働く軸が決まる、自己PRに説得力が出るなどが一般的かと思う。

確かに、ロジックとしてはきれいだ。きれいだが…
ここは思い切って言おう!

これ、意味あります?

特に最後の「●●になりたい・やりたい」の部分!!
定番のwill-can-mustでいうところのwillに違和感満載!職業を当てはめていると尚更だ。

というのも、実はキャリアコンサルティングでは、職業にこだわりすぎると、視野が狭いとみなされることが多い。
つまり、あまり良くない傾向とされるのだ。(もちろん、本人の意思を尊重するし、そのこだわりを良しとする場合もある)
理由は就職・転職のチャンスを増やすためだ。その人の可能性を広げるためとも言えるだろう。ですよね?!キャリコンの皆さん!(←心の大声)

さらに、某企業の人事として正直に言うと、「○○になりたい」「○○をやりたい」と言われても、それが叶えられる可能性はそう高くはない。
一旦は叶ったとしても、会社勤めには異動がつきもの。組織の一員になった以上、自分の目標や思いだけを優先することは、事実上、歓迎されないのだ。(専門職は別)

コロナにより、ますますジョブ型雇用の推進が叫ばれているが、推進が叫ばれている=現時点では、まだまだメンバーシップ型を脱却できていない企業が多いということだ。

ここで、もう一度言おう!
「○○になりたい」「○○をやりたい」って、意味あります?

もちろん、willを職業にしていないって人もいるだろう。
以前面談した学生は「人の役に立ちたい」と言っていた。素晴らしい!
でも、関心する一方で、「人の役に立つ」は、仕事が成立する基本なんだから、どの会社&職業でもいいんじゃない?と思ってしまったのも事実だ。
どんな仕事も誰かの役には立っている。そうじゃなければ、それは仕事ではなく趣味だろう。

「弱い立場の人を助けたい」ってのもあった。
これは対象が絞られているので、先の例ほどではないが、”弱い立場”の定義により、範囲はかなり広くなる。
例えば、病気の人とするなら、医者や看護師などが真っ先に思い浮かぶが、その医師や看護婦が自分の仕事に集中できるのは、バックヤード業務をこなす人(医療事務員など)がいてくれるからだ。
表に出てこなくても、間接的に弱い立場の人を助けている。

また、偏見や差別の対象になりやすいマイノリティとするなら、職業はもっと広がる。
カウンセラーや講演者、広報関係者…キャリアコンサルタントだってそうだ。調べてみると、なんと専門のコスメブランドもあった!どうやら私の想像よりも広いようだ。

もちろん、学生を否定しているのではない。
私が言いたいのは、「○○になりたい・やりたい」は、職業だとリスクが高く、職業じゃないなら、だいたいどの仕事にも当てはまる。だったら、無理に考える必要はないんじゃないか?ってことだ。

実際、このwillのせいでキャリア迷子になる学生も少なくないだろう。
ただでさえ考えたことないのに、求められるwillは、程よくオリジナリティに富んだwillだったりするから、余計にしんどい。

※ちなみに、オリジナリティは求めてない!なんて公言する採用担当は、ちょっと嘘くさいと思う。数十通、数百通のESを見れば、当たり前に飽きてくる。似通ったものには、心で「またこのパターンか」とつぶやいているはずだ。(もちろん、これだけで落選とすることはあってはならない)

私よりかなり若い相方はこんな記事を書いている。就活時代の心のうちがさらけ出されているので、一読していただくとリアル感が増すと思う。​

とはいえ、相方の記事にあるように、就職活動ではやりたいことを聞かれることが多い。

そこで、提案したい。

willは「○○でありたい」でいいじゃないか!

「2つの道があれば、あえて難しい方を選ぶ人でありたい」
「プライベートの充実のため、仕事は徹底的に効率化したい」
「どんなに困難な状況でも、最後まで最善を尽くす人でありたい」

…十分、その人の目指す方向になり得ていないだろうか?

だいたい、すでに世は、解のない予測不可能な世界に突入しているのだ。
「○○になりたい」「○○をやりたい」とゴールを決め、それを目指すような、山登り型キャリアを考えても、その通りにいかないことはわかりきっている。
今のご時世、突然思ってもみない場所に川ができたり、目の前で橋が壊れたりすることは普通に起こるのだ。

だったらいっそ、やりたいこと・なりたいものは、なくていいではないか。
そんなものなくても、「自分はどうありたいか」がわかっていて、転機のたびに考え、選択すればいい。

やりたいことがない就活生のみなさん、嘆く必要はない。

キャリアにゴールはなくてもいい。
(ゴールがある人は、もちろんそれでいい)

山登りではなく、のんびり景色を見ながら歩くトレッキングでもいいのだ。
その時々でリスクを乗り越えたり回避したりする川下りでもいいのだ。
そこに楽しみをみつけられさえすれば、それが自分のキャリアスタイルだと胸を張っていいのである。

(ねねっち)

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