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愛する人を抱くように演奏する

アルゼンチンに「アルパ」というハープがあります。むかし、知り合いにこのアルパ奏者がいて、彼がいうには「ボクは女性を抱くようにアルパを弾くんだ」と。

ハープ、日本語では竪琴というのでしょうか。椅子に腰かけた女性がサラサラと弦をはじいて演奏するイメージがあるかもしれません。

アルゼンチンハープ「アルパ」は西洋ハープに比べると大きくて、彼はいつも立った状態で弾いていました。アルパのボディを抱くように揺らしながら演奏する姿は、パートナーとゆっくりとダンスをしているようにも見え、また、けっこう激しく掻き鳴らす場面もあるので、いつもワルツを踊っているというわけでもありません。

私は演奏者ではありませんが、楽器を演奏する人は、愛用の楽器に対して恋人を想うような気持ちでもって付き合っている人は多いのかもしれません。いってみれば一種の伴侶ですよね。


子どもの頃、母親にいわれてピアノを習っていましたが、私はどうしても練習するのがおっくうで、ピアノを極めることはできませんでした。ちなみに、今はピアノの鍵盤ではなく、パソコンのキーボードをたたいています。
ピアノとハープ。姿形は全く違って見えますが、音源として弦を持っているという点からいうと、どちらも弦楽器といえないこともない。どっちも弦の数が多い点でも共通しています。

弦楽器というと、若いころ、ちょっとだけギターをやってみようと挑戦したことがありまして。でも、私は手が小さいのか、指の筋肉が発達していないのか(ピアノをやっていたくせに)、弦をおさえるのができなくて、挫折しました。

最も一般的なギターの弦は六本。バイオリンは四本ですね。三味線は三本。弦楽器をやってみたいという気持ちはあるものの、弦の数が少ない方がやりやすいのではないかと勝手に思っていたりします。ギターの六本で挫折しましたからね。

そうなると、中国の二胡なら弦は二本しかない!

ということで、もし今から楽器を始めるなら二胡かな、と想像したりするのです。そうはいっても、自分で積極的に探しているというわけでもないのですが。

楽器との出会いも恋愛といっしょで、しっくりとハマる人に巡り合えれば、長い付き合いになるのかもしれませんね。そんな「伴侶」にいつかばったり会うことができれば、理想的なタイミングなんですけどね。


Originally posted on Medium on Oct. 8th, 2019.

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