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モネ|ピンクと水色の使い手

ピンクと水色の使い手

わたしの中でのモネのキャッチコピーはこれになった。

モネが好きで、この展示は絶対見に行きたかった。上野の森美術館が混みすぎていて回りづらかった点をマイナスしても、結果は大満足。
100%モネ」の触れ込み通り、60点以上のモネ作品に囲まれるなんてなんて贅沢な休日だこと!

お気に入りランキングはこの3つ

  1. 睡蓮の池の片隅

  2. ヴェンティミーリアの眺め

  3. チャリングクロス橋、テムズ川

ピンクと水色

モネの絵をモネたらしめているのはこの2色だと思っている。初見のときに「なんでそこにピンクを置くんだろう」と思ったのを覚えている。特に空、雲、海にピンク/影や草木に水色が使われることが多いように思う。だから暖かいと感じるんだろうが、わたしか「この絵に暖かみを出したい」と思っても絶対にそこにピンクや水色を置くことは思いつかない。

光と雰囲気の画家

モネ=光という認識は広い。解説でも「光と大気」と書かれていたのでわたしの解釈はあながち的外れじゃないはず。どの作品を見ても、難しい解釈抜きで「光を描くのが上手!」と手放しで褒めてしまいたくなる。上記ランキング1ではキャンバス真ん中の植物に降り注ぐ光(ピンク)が、2では海から街に集中していく光が、3では真上の太陽から汽車の煙に反射するが、画面全体を明るくしていて絶妙だった。
それは印象派になってからだけでなく「昼食」でも現れていて、最初から光が得意だったんだなあと思った。窓辺からレースカーテンを通して部屋に入り込む光。それに向き合う子どもの輪郭は他の人のそれよりちょっとだけぼやけていて、眩しいほど可愛く思っていたんだろうか、なんて想像してみたり。

連作

この展覧会の見どころはなんといってもこれでしょう。ウォータールー橋、積みわらなどの連作を一か所で同時に見れる機会はそう多くない。隣同士で同じモチーフを見て、年代が経つごとに輪郭がぼやけてるな、と気づく。対象物だけでなく雲、影、水平線とかぜんぶ。解説では興味の対象が造形→気象に移行した、という表現だった。ぼやけにぼやけてぱっと見はほとんど抽象画みたいになってるけど、よーく見るとちゃんと対象物(船とか煙とか建物とか)が描かれているのもおもしろい。
連作は同じ時期に日や季節を変えて描いたのだと思ってたけど、キャプションを見ると10年以上離れていることにびっくり!そんなに時間が経ってから同じモチーフを描くのってどんな気持ちだろう。表したいのはこれじゃない、もっとよくできる、と思うんだろうか。


モネが好きだと言っても、美術に明るいわけではまったくない。学生時代にたまたまオランジュリー美術館に連れて行ってもらう機会があり、睡蓮がたくさんあって「きれーだなー」と軽い感想を抱き、それ以降美術館に行くとモネが目につくようになった程度。
今日年表を見て、モネは生前に睡蓮の連作をオランジュリーに飾る約束をしてたけど、完成前に亡くなってしまい見られなかったことを知った。そのことを知ったとき、作品ではなく彼自身のことを考えた。どんな気持ちだったか、悔しかっただろうか。画家自身に思いを馳せたのは初めてで自分でもびっくりした。

いつかまたオランジュリーでモネ作品を、というのを死ぬまでにやりたいことリストに追加しておこう。


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