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長女がトーコーキョヒでして<15>

【”私だけ”ではない】
 登校拒否し始めの頃。
 長女は泣きながら言いました。
「みんなは楽しそうだけど、私だけ楽しくない」
 そうだよね、あなたは楽しくないもんね、苦しいよね、じゃあ行かなくていいんだよ。
 そう受け止めるべきだったかもしれません。
 でも。
 私にはできませんでした。
 私が彼女に返した言葉は、
「あなたは気づいていないかもしれないけれど、みんなが本当に楽しく学校に行っている訳じゃないんだよ」
だったのです。

 当時の彼女の心情としては、恐らく

給食が怖い(残す自分を責める視線を感じる)

給食までの時間ずっと緊張してる

昼休みは食後で具合が悪くなりそうで遊べない

休み時間も楽しくないから学校に居る時間がずっと辛い
といった感じでしょう。
 給食を楽しく残さず食べて、もちろん授業中も休み時間も元気に過ごすクラスメイトは、学校生活がさぞかし楽しいのだろう、と。
 そんなふうに見えていたようなのです。
 キモチはわからなくもないのです。
 でも、認めてはいけないと思いました。

 泣いて訴えるたびに、何度も何度も繰り返し伝えたのは。
・あなたが思い込んでいるように、他の全員が学校大好きとは限らない
・勉強がすごくイヤだけど、休み時間のためだけに頑張ってるかもしれない
・おうちのご飯より、給食のほうが美味しくてそれだけを楽しみに来てるかもしれない
・家に居るより学校の方がまだマシって思っているかもしれない
・習い事で寝不足でも休むことを許されなくて渋々来てるかもしれない
 とにかく、皆が意欲的に登校しているとは限らないんだ、ということを伝えたかったのです。

 頑固で思い込みが激しい長女には、なかなか届かない言葉だったと思います。
 でもとても大事なことだと、私は考えていました。
 ”私だけ”が辛い、だから避けたい、庇って欲しい。
 それではこの先、学校ではない選択をしたとしても。
 自分の足で歩いてゆけないと思ったのです。
 もちろんケースバイケースで、深刻なイジメなどは、”私だけ”という可能性もあります。
 でも、この当時のこの件に関しては、譲れませんでした。
 泣き暴れる長女相手にこうして向き合った時間は、当時ものすごく辛く苦しく、そして不安でしたが。
 今の姿を見ていると、少し彼女の中で納得できているのかなと感じることもあります。

道産子の津軽在住2児の母。登校拒否長女との日々雑感と、しあわせに生きる”ちょこぽじ”のススメ。