未来2019年7月詠草


牛乳は気絶してゆく ゆっくりと紅茶のなかで渦を巻きつつ
くちもとをもの言いたげにひきむすぶ米津祐介のブルドッグ
しとやかにサニーレタスを食むがごと機密文書を吸うシュレッダー
ストローのなかを上がっていく泡のその安らかな孤独を思う
罵りに耐えているときやわらかな飛沫のあがる谷を思えり
もの欲しげに伸ばした指のような枝 蕾をびっしりとつけながら
欲望はしなやかな脚 自転車の浸かった川を飛び越えていく

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