未来2018年8月詠草


燃料も心もとない県道が逃げ水でひたひたになっている
うす桃の薔薇は道路に咲きこぼれそういうものが今でも怖い
コピー機の中で非業の死を遂げた紙をしずかに取り上げている
夕暮れの扇風機らは隣人に呼びとめられたように振り向く
不審者の出る竹薮にさした陽は吸われて二度と戻ってこない
むら雲を染めて夕陽は降り注ぎすべてがほろぶ日もこうだろう
セブンティーンアイスクリームの自販機と並べば夜を染めて電車が
店先で端切れを選ぶ 曇り日の浅瀬で貝を拾う手つきで
チャコペンは布地の上でくだけ散り私の脆いところまで飛ぶ
思い出したように小雨の音がしてまたゆっくりと踏み間違える


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