未来2018年10月詠草
わたしではなくなりたいな足指にタオルケットが湿って絡む
液状の肉と思えりひややかな乳房を指でまるく掬えば
前傾で胸を下着に収めれば縁やわらかなひかりがさして
さわられているかのような シャツの中をこぼした水がゆっくり伝う
ジュニア版カラー図説を開きおり木漏れ日を受けるようなかたちで
始祖鳥は霧雨に身を低くしてその空想の雨はやわらか
油染みが点々と残る白亜紀の口絵をすべて染める夕焼け
蜂が来てのけぞった後何事もなかったようにまた歩きだす
死んだ蛾は小川に浮かびその水を鱗粉であおくひからせている
言わなくていいことを言う轢死した蜥蜴をそれと知らず跨いで
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?