未来2018年12月詠草



もう長く親しいような 透明なひかりがコップをつらぬいて射す
後ろから来た自転車を避けている木漏れ陽のなかからうながされ
ひからない川でひらめく鯉だろうか飛沫をあびたような気がした
ゆきすぎた景色に体をよじるとき背中を滑る汗のひと粒
教養を畏れていたい肌ざむい参道で端を歩いたように
ひんやりとレジの向こうに手をやれば第二関節から昏くなる
傍らの森から吹いてくる風のあなたが受けそこなったひとすじ
ひとの目をひさびさにみた軒先に出来かけた巣を見上げるように
われものをつつむ柔さで手を繋ぎいいのかなこんなにまぶしくて
地下鉄へ階段を降りてゆくときの視界にあおいひかりが残る


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