映画「ブラック校則」

自分語りと言われればそうかもしれない。これはあくまでブラック校則を見て思い出したことや感想をまとめただけ。随分前に書いたものですが、Amazonに「ブラック校則」のDVDを勧められて思い出し、下書きから引っ張り出しました。

ブラック校則を見た。ドラマも見ているけれど脚本が此元和津也さんなだけあってセトウツミ感、というか此元さん感が私の好みだった。佐藤勝利は小野田創楽にハマっていたし、高橋海人の月岡中弥がとても良かった。ジャニーズ映画じゃなかったらな〜と思っている人は一回観てみるのもいいと思う。

ここに残しておきたいのはそんなんじゃなくて。ブラック校則を見て思い出した私自身の話。ブラック校則を見終えた後、泣いていた。こんな青春を送りたかったし、私はこんな風にあの子を救ってあげたかった。自分の青春を彼らの青春に重ねてしまっていたのだ。あの頃この映画を観ていたら変わっていただろうか。

中学時代、校則はとても厳しかった。まるで軍隊だと噂されるようなところで私は優等生で、先生からの人望も厚かった。部活動では部長を務めて、クラスでは学級委員。その他にも前に立つ仕事を山ほどした。息苦しかったけど卒業するまで耐えればいいと思っていた。早く卒業したかった。そんな学校に一人、異端児がいた。不登校気味で、学校に来たと思えば好きな時に帰るし、間違っていると思えば反抗するし、でも人一倍才能があって、好きだった。きっと当時の私は彼女が羨ましかったのだと思う。自由に反抗して生きようとする彼女は輝いていて眩しかった。同じ部活だった私は彼女と仲良くなって、教室を抜け出せば探したし、はたまた先生に私が探しておくと言いながら学校から抜け出す手伝いをしたり、探すフリをして一緒に脱走したりもした。私が彼女を輝かせたままでいるにはこれくらいしかできなかった。そしてある日彼女がリストカットしていることを知った。目の前で手首を切られた日だってある。
彼女が学校に足を運ぶ回数はどんどん少なくなった。彼女が学校に来れないのは校則だけが原因じゃなく、理不尽な教師たちも原因だった。劇中の手代木のような教師がわんさかいるような学校だったから。怒鳴り散らすし脅すし追いかけ回す。先生のご機嫌を取らないとあの小さな社会では生きにくく、見えないルールに馴染めず不登校になる生徒も多い。今思い返してみても異様な空間だった。
私は彼女を助けたかった。学校で彼女の愛した音楽を好きに演奏できるようにしたかった。何をどうすればいいのか分からなかった、子どもである自分の無力さばかり痛感させられた。一度も止めなかったけれど、できればリストカットしてほしくなかった、彼女が傷つかない世界を造りたかったし、学校で彼女の音楽が聴きたかった、一緒に学校生活を送りたい、ただそれだけだった。その気持ちは創楽の希央に対する気持ちに似ている。ただ一緒に勉強したり卒業したい、それだけ。結局のところ私も彼女が大好きで、守りたいだけだった。彼女のことが本当に好きだったんだな。
ブラック校則に毒された学生時代。私は創楽や中弥にはなれなかったけれど、今の学生が希望を持てる生きやすい世界になることを願っている。私は過去の私を救えるような大人になれるように頑張るからさ。

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