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ネガティブな経験をした時の処方箋

経験の「昇華」

文章を書くときは、内なる感覚に忠実になることを大切にしています。

私にとって満足する文章が書けるときは、決まって心のどこかに釈然としない気持ちがあるときです。通常、そのような感情は遠ざけたいものですが、最近では「お、”栄養” がきた」と少しだけ受け入れ姿勢でいる自分に気が付きました。

このようなスタンスは、実はアーティストの感覚に近いのかもしれません。

非常に多くのアート作品はアーティストの悲しみの「昇華」であり、鑑賞者の悲しみも作品を鑑賞することによって「昇華」する。昇華とはもともと化学用語で、固体が液体になることなく直接気体に変容することを意味する。アートにおける昇華とは心理的変容で、何の変哲もない経験が高尚で洗練されたものに変わることを指す。まさに悲しみがアートと出合ったときに起こる現象だ。
――  「美術は魂に語りかける」アラン・ド・ボトン、ジョン・アームストロング

理不尽な出来事に苛立つ
惨めで、悲しい気持ちになる
想定外の出来事に不安になる

例えば、このような心境をしたためて「昇華」させることで、無意識に心の浄化を図っているのだと思います。

辛い経験が世界的なアートへ

内田すずめ氏の「拒食と自爆」にも、それに通ずるところがあります。この妖艶、かつ衝撃的な作品は、彼女の拒食症の体験を元に描いた自画像です。

■ 「拒食と自爆」(2014年)

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死ぬほど食べたいのに太ることが怖くて食べられない。ならば小腸を食いちぎって栄養を吸収できない肉体にしよう。私があの頃死んでいたら、そんな幽霊になっていたはずだ。

体重減少という目に見える成果を求める背景には、ありのままでいることを許容できないストレスがあったのかもしれません。身体的な苦痛だけではなく、精神的な苦痛も伴う経験であったと想像します。

この出来事があった10年後、「拒食と自爆」は世界的に有名なヨウジヤマモトの服に採用され、多くの人に知られることになります。

経験を高尚で洗練されたアートに変えることで、彼女自身の心の浄化を図るとともに、人々に影響を与える「リソース」に昇華したのではないかと思います。

ネガティブすらワクワクする

● 心の内にあるものを吐き出す=「浄化」
● 吐き出したものを作品化する=「昇華」

この手段を知っていると、「ネガティブな経験をどのようにリソースにしようかな」とワクワクする自分に出会えるかもしれません。

コーチングには、「浄化」のスキルというものがあります。
クライアントの心の内側にひっかかっている感情や想いをあえてすべて吐き出させるといった関わりのことです。
そこで出てきたものは、自分を深く探求するためのリソースになることもしばしば。また、存分に吐き出すことで「エネルギーシフト」が起こり、次なるアクションに繋がっていくのです。

浄化・昇華の手段は、会話でも、文章でも、絵でも、何でも良いと思います(会話で出すのであれば、吐き出す相手にも一定の安定感が必要なので、信頼できる友人やコーチ・セラピストが良いかも)。

この処方箋は、きっとあなたを「ありのまま」で居させてくれると思うし、もっとしなやかに強くしてくれる気がします。

ここまで読んでくださってありがとうございます。
今日も素晴らしい1日を!


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