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最近よく「壁打ち」という言葉を目にします。テニス部だった私は、ラリーする相手がいない時など壁打ちをしたことがありますが、最近の壁打ちはどうも人が相手らしく、違和感がありました。

調べるとビジネスの世界では、信頼できる人に話を聞いてもらって、意見やアイディアをもらう行為のことを言うようです。信頼できる人を壁にして、言葉をぶつけていくのですね……でもそれは「対話」とどう違うのでしょうか。

相手がAIならわかるのです。機械ですから、壁みたいなものとして。

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と感じていたところ、壁打ちと言えそうな出来事がありました。

カウンセリング中、私の問い(別に哲学的な問いではなく)に対してクライエントが、こうかな、いや違うか……と呟きながら深い思考に入ったので、ほほぉと思いつつ見守っていると、ハッと我に返って
「あ、壁打ちみたいになっちゃってすみません」

この壁打ちはアリだな、と思いました。というのも、カウンセラーはクライエントを映す鏡であれと言われるからです。自己主張せず、クライエントが自身の姿を見ることができるよう、応答していくのだ、と。

カウンセラーは確かにそこにいて寄り添っているのですが、まるでいないかのようにクライエントが洞察を深めていく ── まだ全然その域ではありませんが、その入口を見たような出来事でした。

それでもやはり、信頼できる人にアイディア等を話して意見をもらう時に、その信頼できる人を「壁」と言うのは、私には抵抗があります。

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「カウンセラーなんて、辛い話ばかり聞いて辛くならないの?」
なんて言われますが、辛い話ばかりでもありませんし、こういう体験をクライエントと一緒にしていけるのは嬉しいものです。

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