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新しい幕開けに寄せて|花の歳時記

季節の花をいけばなの視点を通じて、みなさまにご紹介する企画「花の歳時記」。いけばな作家の 新井 麻友さんが晩秋の花の空気をお届けします。

毎年12月になると今年を振り返り、この1年どんなことがあったかなと思い出しています。
世田谷に住んでいた頃は、この時期「ボロ市」という古着や雑貨などの露店が出る大きなお祭りがあって賑やかでした。今年はやはり中止の様ですね・・・。

心を温かくする花

2020年はこれまで想像もしなかった事が起こり、新年を迎えた頃に思い描いていたプランを大きく路線変更しなくてはいけなかった方も多かったのではないでしょうか。

私もその一人、毎月お教室を開催する事が1つの目標でした。そして毎月1回は都内に花をいけに行く、という目標もあったのに春から夏にかけてはそれも叶わず。

でも自分と向き合う時間が持てたのは良かったかもしれません。
当たり前だと思っていた事が出来なくなると、私はこんな事がしたかったんだ、と気づく事が出来た気がします。

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日本は幸いにも花屋まで閉まるような緊急事態にはならずに済んだので、日課の生け花だけはコロナの自粛期間に関係なく続ける事が出来ました。

私にとっては花をいける時間が、この世界的な不安の空気から守ってくれたように思います。
今回はホリデーシーズンに似合うような、暖かい色をチョイスしてみました。

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花数をおさえて、ガーベラ(サーモンピンク)とカンガルーポー(くすんだ黄色)の生け花から、ケイトウ(赤)を足して投げ入れの花へ生け替えを楽しみます。

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温かみがあって発色の良い花は心を温かくしてくれる様に思います。
ご時勢的に忘年会がない方も多いのではないでしょうか。今年は、賑やかな花をいけて家で寛ぐのなんて、いかがでしょうか?

来年に思いを馳せる

昔は12月13日が正月の事始めで、この頃から大掃除を始めていたそうです。12月中旬から半月かけてお掃除したらお家もピカピカ、爽やかな気持ちで年を越せそうです。

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足元にはアカシアで小さく茂みを作りました。

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白い水仙もアイリス(ブルー)もとても柔らかで甘い香りのする花、スッキリきれいなお部屋になったらいけたい花の1つです。

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それにしても、今年ほど年明けが待ち遠しい事はなかったように思います。

2021年になったからといってこの状況が良くなるとは限らないのですが、年が変わると何か変化があるのでは、と期待してしまいます。

終わりの見えないパンデミックの中、たくさんの決意や決断をして日々を過ごす必要がありますね。
心を強く持って新しい幕開けを待ちたいものです。

creator
新井 麻友 @mayuarai_flower
いけばな作家

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パリスタイルの生花店にて青山、六本木等のウェディング会場装飾、ディレクションを担当。
フリーランスとしてウェディングロケーションフォトのフラワー装飾に携わる。
その後いけばな小原流入門。
​現在は静岡のアトリエを拠点に教室開催、単発ワークショップ、出張レッスンも随時開催している。


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