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執筆奮闘記

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医学情報の執筆を志したものの、生みの苦しみ、書く苦しみ、一日一日が奮闘の日々です。読んで下さる方があると思えば、励みになります。
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記事一覧

執筆奮闘記 1 執筆のタネ

『執筆奮闘記』は、医療系記事の執筆に、日々奮闘する私の体験記です。 同じく執筆活動されている皆さんは、同業者のように思え、 懐かしい方々です。 皆さんは、どのように執筆されているのでしょうか。 私の場合、まず、A4用紙を横にして、真ん中に線を入れ2分割します。 左上にタネを蒔きます。(タイトルを書く) すると不思議なことに、もう一人の私が出てきて、 なぐり書きが始まります。 短いもので用紙1枚、長いものは用紙3枚程度になります。 タネが芽を出し、茎をのばし、葉を広げま

執筆奮闘記 2 読者目線に立つ

執筆を依頼された時の私の率直な思いは、 「書くことがない」でした。 私の目標の一つが『子育てハッピーアドバイス』であり、 著者は心療内科医です。 「心療内科はいいな~。書くことが多くあって」と、 うらやましく思っていました。 「皮膚科はマイナーな科だからネタがない」 「自分の知っていることは、読者も知っているのではないか」 「大学で研究もしてないから、伝える情報を持っていない」 そんな思いでした。 ある日、ハッと気づきました。 心療内科医は多くあれど、本を書いている人は

執筆奮闘記 3 今日から実行できるお得情報

読者の求めているものは、明日から、 いや、「今日から実行できるお得情報」でしょう。 病気のメカニズムは分かったが有効な治療法はない、 という情報は読まれないのではないでしょうか。 ネガティブデータ(○○は効かない)でなく、 ポジティブデータ(○○が効く)を望んでいるのでしょう。 実用書は小説と異なり、過程より結論が命。 お金を出して本を買う読者の期待に応えるべく、 「今日から実行できるお得情報」を書かなければと意気込みます。 そんな私の前に立ちはだかったのが「エビデン

執筆奮闘記 4 経験で勝負

◆強みで勝負 執筆にあたり、強みで勝負しょうと思いました。 私の強みはなんだろう。 大学病院で研究にたずさわったわけでなく、 大病院で英才教育を受けたわけでもなく。 20年間、 外来、外来、外来、外来、外来、外来、外来、手術、外来、外来、 外来、外来、外来、外来、外来、手術、外来、外来、外来、外来、 外来、外来、外来、外来、外来、外来、外来、外来、外来、外来、 外来、外来、手術、外来、外来、外来、外来、外来、外来、外来、                  年がら年中、外来

執筆奮闘記 5 読者は誰か

◆3通りの読者 文章を書くにあたり、「読者は誰か」と考えてみたところ、 3通りの対象に気づきました。 1.医者 2.患者(病気で苦しんでいる人) 3.一般読者 人数で比較すると、医者 → 患者 → 一般読者の順に多くなります。 つまり、3段のピラミッド構造です。 ◆3通りの伝えたいこと 一方、私の持っている知識量はというと、逆ピラミッドです。 つまり、医者に発信したい情報はたくさん持っていますが、 患者や一般読者に伝えたいことは、それほど多くありません。 後輩の皮

〔執筆奮闘記6〕書けない2つの理由

筆が進まない理由に2つあると思われます。 ●発表の場がハッキリしてない 一つは、「発表の場がハッキリしていない」ことです。 ブログに書くのか、雑誌に載せるのか。 それとも本にするのか。 それがハッキリしていないと書く気が起きません。 まずは、それを決めたいものです。 「ゆくゆくは本にしたい」 それが、執筆を志す人の夢でしょう。 書いたからといって本になる保証はありません。 編集者の目に止まらなければなりません。 編集側からすると、沢山ある中から良いものを選びたいのが

〔執筆奮闘記7〕良い本の条件

◆企画が大切 「企画しだいで本は売れる」:杉山隆 著『初めて本を創る人へ』 杉山氏曰く。 本を出す上で一番大切なことは? 最先端の情報?  名文美文? 「一番大切なことは企画である」と杉山氏は述べています。 普通の主婦でも、企画が良ければ売れる本が書けるとのことです。 例、「1食100円でできる豪華料理」   「1ヶ月に5万円貯める節約の奥の手」 専門的な「技術」と「情報」を一般の人に分かりやすく提供すれば、 極めて本になりやすい。 特に、プチ断食、ウオーキングダイ

〔執筆奮闘記8〕「フレーズ」で文章を分かりやすく、面白く

「光陰矢の如し」…① あっと言う間に過ぎてゆく日々。 「ペンは剣よりも強し」…② 文章には人を動かす力があります。 「年老い易く、学成り難し」…③ とはいえ、なかなか執筆が進みません。 専門家が素人さんに物事を伝える時の心がけは、 「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを楽しく」…④ ◆フレーズとは 文章を分かりやすく、楽しいものにする手段の一つが「フレーズ」でしょう。 フレーズとは、ことわざ、名言、格言、川柳、慣用句、気の利いた言い回し、のことです。

〔執筆奮闘記9〕「たとえ」で文章を楽しく

◆「たとえ」とは 難しいことを易しく、       易しいことを深く、             深いことを楽しく 今回は「たとえ」について考察しました。 「たとえ」とは、ある事柄を「まるで○○みたい」と、 別の言葉で言い換えたものです。 「分かりやすい」 「インパクトがある」 「特徴をよく表している」 そんなたとえが理想です。 ◆たとえの実例 皮膚の記事で用いたたとえです。 「表皮の厚さは0.1mm」     ➡「表皮の厚さはコピー用紙と同じ」 「表皮細胞のす

〔執筆奮闘記10〕クイズ

◆テレビにあって論文にないもの質問です。 テレビの健康番組では定番なのに、 医学論文に出てこないものは何でしょうか。 ①個人的な意見 ②仮説 ③クイズ 正解はクイズです。 医学論文では、読者に対して正解を問いかけることはありません。 一方、テレビの健康番組には、必ずといっていいほど、 クイズが盛り込まれています。 質問されると脳が刺激され、疑問を持って番組を見るようになるからです。 ◆クイズの種類どのようなクイズがあるのでしょうか。 3つのパターンを挙げてみましょう。

〔執筆奮闘記11〕セルフチェック

~執筆奮闘記は、日々の執筆の試行錯誤の跡です~ ★セルフチェックしてください。 ①月に3冊以上、読書している。 ②自宅の本棚に100冊以上の本(漫画、雑誌を除く)がある。 ③本を読んで、この表現はいいな~と思うことがよくある。 ④使ってみたい言葉がある。 ⑤原稿用紙をクシャクシャと丸めて、後ろにポンと捨ててみたい。 3つ以上当てはまる方。 執筆に興味がありますね。 今回は「セルフチェック」について考察します。 セルフチェックは健康番組の定番です。 病院では診断のために

〔執筆奮闘記12〕統計・データ

…医学情報の執筆に際しての孤軍奮闘記です… ★統計の力 統計には、人の心を動かす力があります。 年間1000万人がかかり、1万人が死亡している疾患は? 答え:インフルエンザ。 こんな文章を読むと、インフルエンザは恐いなと思います。 「たくさんの人がかかり、多くの死者が出ている」という言い方よりも、 具体的に数字は説得力があります。 「ノロウイルスの感染力はインフルエンザの1000倍」 「日本人の10人に1人が爪の水虫」 「高齢者の3人に1人が難聴」 「アニサキスの患

〔執筆奮闘記13〕体験談は強し

…医学情報の執筆に際しての孤軍奮闘記です… ◆統計と体験談 前回、統計について考察しました。 統計が左脳を刺激するならば、右脳を魅了するのは体験談です。 理論の好きな読者は理詰めで、情緒豊かな読者は感情に訴えて、 引っ張ってゆきたいものです。 「体験は統計より強し」 10人に1人しか効かない薬。有効率10%。 通常、そんな薬は見向きもされません。 ところが、劇的に効いたその一人の生々しい体験を聞くと、 「駄目でもともと、飲んでみよう」と心が動きます。 統計を説明して心

〔執筆奮闘記14〕ファイナルメッセージは「doメッセージ」

◆医学書には結論がない 健康に詳しい一般人が医学書を読んで感じることは 「結局、何をすればいいのか分からない」です。 「健康番組や健康雑誌」と、「医学書」の大きな違いは何でしょうか。 一般向けの医学情報のファイナルメッセージは「doメッセージ」です。 つまり、「○○を食べましょう」「こんな体操をしましょう」 と、結論に「行動」を訴えています。 逆に、doメッセージでないものに下記があります。 ・これがアトピー性皮膚炎の発症の仕組みです。 ・糖尿病は大変恐ろしい病気です。