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歯の金属を取ったら、ステロイドの副作用が治るかも

◆ステロイドの副作用

皮膚科で最も多く使われる薬は何でしょう。

答えは「ステロイドのぬり薬」です。

「ステロイド」とは、「副腎皮質ホルモン」の一種で、
副腎という臓器から作られる大切なホルモンです。

副腎皮質ホルモンより作られたぬり薬が「ステロイド外用剤」です。
大変よく効く薬であり、特効薬と言っていいでしょう。

反面、副作用もあり、その1つがしゅよう皮膚炎」です。

ステロイドのぬり薬を、長い間顔にぬっていると、
しゅよう皮膚炎」になることがあります。

お酒を飲んだ時のように顔が赤くなることより
「酒さ様皮膚炎」と名づけられています。

数カ月ぬっていただけで「酒さ様皮膚炎」になる人もあれば、
何十年もぬっていても副作用を起こさない人もあります。

その違いはどこにあるのか、謎でした。
その謎解きになるかもしれない報告があります。

◆歯のアマルガムを除去したら、ステロイドの副作用が良くなった

「酒さ様皮膚炎」の3例(32歳女性、33歳女性、63歳男性)の報告です。

いずれも水銀のパッチテストで陽性であり、
歯に詰めてあるアマルガム(水銀を含んだ金属)を取り除いたところ、
「酒さ様皮膚炎」が軽快しました

水銀が直接悪さをして「酒さ様皮膚炎」を起こしていたとも考えられます。
また、次の理屈も成り立つのではないでしょうか。

歯の水銀の影響で体内の亜鉛が欠乏した。
亜鉛不足で免疫の働きが弱くなった。
ステロイドをぬって皮膚の免疫がさらに低下して副作用を起こした。

いずれにせよ、アマルガムは取り除いた方がいいでしょう

また、ステロイドの副作用を予防するために、
亜鉛を摂るという選択肢もあるでしょう。

参考文献
角田孝彦,矢口順子:「アマルガム除去により顔の皮疹が軽快した酒さ様皮膚炎の3例」,Journal of Environmental Dermatology and Cutaneous Allergology 10(4): 458-458, 2016

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