〔介護を学ぶ29〕“赤い便”と“黒い便”は病院に行くサイン
介護の相手の様子がおかしい。
病院に連れていくべきか、様子をみてもいいのか。
その見きわめについてです。
結論は、“赤い便”と“黒い便”は、病院に行くサインです。
口から血を吐くのを吐血、肛門から血が出るのを下血と言います。
“赤い便”の場合、下血と分かるのですが、
下血は“黒い便”のことがあります。
◆赤い便
便に血が混じっていることもあれば、
いちごジャムのようなドロッとした便のこともあります。
肛門の近くで出血していると赤くなります。
“赤い便”で検索すると、下記の原因があがってきます。
大腸ポリープ
虚血性腸炎
大腸憩室出血
カンピロバクター
切れ痔(裂肛)
細菌性胃腸炎
〔緊急を要する病気〕
腸穿孔
急性糸球体腎炎
急性腸間膜虚血
腸重積症
いずれにせよ、“赤い便”はただ事ではありませんので、
病院にかかった方が無難です。
◆黒い便
食道や胃、十二指腸から出血している場合、
肛門から出るまでに時間がかかり、便と混じりあって黒い便になります。
「海苔の佃煮」や「黒いゼリー」みたいなこともあります。
“黒い便”で検索すると、下記の原因がヒットします。
鼻出血
食道静脈瘤、食道がん、食道破裂
胃潰瘍、胃がん、
十二指腸潰瘍、十二指腸がん、
小腸の潰瘍・がん、大腸がん
心筋梗塞・不安定狭心症
大動脈解離・大動脈瘤破裂
「血液はしばしば黒いことがある」ことを知っていれば、
見逃すことはないでしょう。
“黒い便”もただ事ではありませんので、病院に連れていくべきでしょう。
参考文献
1)和田忠志:『介護職・介護家族に役立つ やさしい医学知識』,技術評論社,2017
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