2023秋の共産党⑤~10中総の大会決議案・田村報告を聞いて【1】~

今回の決議案は前回大会の綱領改定・第1決議・第2決議を再構築・補強したというのが正直なところだろう。気になった点についてのメモ。長いので分割してアップする。

国際情勢から入るあたり、世界の中の日本というグローバルな視点をもてるのはいいこと。特に、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ侵攻などの戦争や中国による覇権主義の具体的行動が目に見える時代。理想だけでいいのかというのが世間からの日本共産党への注文。それに対して相手に投票行動につながるような説得力をもつ答えになっているのだろうか。

自民党政治のゆきづまり、岸田・自公政権の末期ぶり。本当にその通り。そんな情勢の中、日本共産党が伸びないのはなぜか。90年代後半、自共対決と言われていた時代はなぜ長続きしなかったのか。共産党大会の決議案なのだから、そこに向き合わなくていいのか。その点は支配勢力の反共攻撃が原因と言い続けている限り、抜け出せないだろう。閉塞感のある社会における「既存政党」批判が党勢拡大と世代継承を妨げている。そのように感じてはいないのだろうか。現代政治の政党組織として、政治任務の分析と党建設の強化は密接にかかわっている。この視点が足りないように思うのである。これで多数者革命をめざす党となるのか。

日米安保をめぐる「二重の取り組み」。これは、党として日米安保廃棄だが、野党共闘では棚上げするという方針を、一元的にまとめた。叙述の仕方として、日米安保条約に対する是非を問わずに一致点における緊急的な問題を先に取り上げている。それは、従来の安保法制の廃止、敵基地攻撃能力保有や大軍拡反対、辺野古基地建設阻止、日米地位協定改定などを挙げた上で、核抜きの軍事同盟や外交ビジョンや日中打開提言も安保容認勢力との共同をめざすようである。これが、政権構想ではなく、決議案の外交政策の中で語られているのである。日常的に安保廃棄をめざす共産党らしさと、それを棚上げして運動の相手を広げるという事だ。これはいわゆる、ダブルスタンダードでなくて何なのか。決議案では、両方を真剣に取り組むことで、相乗的に進む関係だと言っている。つまり、共産党の本音は引っ込め、緊急の問題に取り組むが、それでも運動の限界を相手が感じたら、本音を出す番だよ。そういう指南書か。出向いた運動先で、すぐに自説を述べるのはやめようということか。結局、安保廃棄の政策的主張というのは前面に出ないという事になる。これを緊急的ではなく恒常的な政策にしようという松竹提言と本音は引っ込めるという大会決議案。どっちが人として誠実か。そういった意味では、随所に松竹氏への答えとなっており、この決議案の決定をもって松竹氏の再審査請求は却下もしくは除名から離党勧告への変更などの措置になることも考えられる。松竹氏は民主集中制容認派だからね。貴重な外野として扱いを柔らかくした方がいいという判断がされるのか。

安保政策と言えば、緊急時の自衛隊の活用論。これは2000年の党大会決議で決まり、その後、時々の討論で党幹部が使うも、一般党員の運動や意識の中では、あまり伝わり切れてないのではないか。それは、自衛隊の解消という将来的な目標が共産党の方針であり、その過程での党の立場は自衛隊の容認であり、その政権に入れば合憲とまで言うようになった。これは2000年の党大会で志位書記局長(当時)が、「社会党のようにならない」というっていたこととどう違ううのかがさっぱりわからない。この辺の整理を提言したのも松竹氏。でも、もう回答済みという事なのか、今回の大会決議案ではあえて自衛隊活用論には触れない。自衛隊批判は反感も多いと感じているのか。

9条改憲の「震源地」である対米従属の打破という点での障壁をみずからはがす姿勢を明らかにしたのが今回の決議案。松竹除名問題により、安保廃棄が絶対条件という硬直化した現場でもあったのだろうか。この問題に関していえば、支配勢力からの新たな反共攻撃である「都合いい話」という批判について、一方的な返答になったままだ。政権入りや日常的な運動で棚上げできるなら、綱領の一部凍結などを宣言することが、攻撃への反撃とならないか。そういったことができるのも党の最高機関である党大会ならではないだろうか。


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