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:読書記録「愛なのか恋なのか、どっちも違うかもだけどお互い一緒だとあったかい。って関係を見てみた」

2023/01/14「恋せぬふたり」吉田恵理香

ややネタバレあり。お気をつけて。

手書きな感じがかわいいタイトル。


あらすじ

この社会に生きる全ての人々がきっと笑顔になれる、唯一無二の“ラブでない”コメディ

「恋愛や性的な話を振られてもよくわからない。でも愛想笑いをしていれば大丈夫……」
咲子は、そんなもやもやとした気持ちを家族や友人、同僚に理解されないまま、恋愛や結婚を促され続け、居心地の悪さを感じていた。そんなある日、「アセクシュアル・アロマンティック」というセクシュアリティを自認する男性・高橋と出会い、驚くと同時にどこか救われた気持ちになる。
誰にも恋愛感情を抱かず、性的にも惹かれないふたりが、自分たちなりの生き方を模索すべく始めた共同生活は、家族、同僚、元彼、ご近所と周囲に波紋をひろげていく。その生活の先にある、それぞれの「幸せ」のあり方とは!?

NHKで話題沸騰のドラマ「恋せぬふたり」の小説版!
ドラマの脚本を手がける作家・吉田恵里香による完全書き下ろし!
https://www.amazon.co.jp/dp/4140057238/
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私の好きな言葉たち

私はいつも読書をするときに付箋を使います。好きな台詞、言葉、描写などを見つけると付箋をつけて、記録するんです。そしたら記録を見た時にその本のストーリーや好きだったところ。なんなら読んでいたころの自分のことまで思い出すことができるからね。ここから記録を始めるよ。

「ですよね!さっき野菜売り場見てて、明らかにキャベツの所にYG春風ってあって不思議で!」
「名前があるならきちんと呼びたいだけです。僕も一緒くたに人類とか呼ばれたくないので」
p.13


まず「ふふ」ってなったところから。


「周りと違うからって我慢するつもりなんてこれっぽっちもないんです。」
p.52
「頑張るのと無理するのは違いますから」
p.65
「しんどそうでつらそうで、分かってあげたいのに・・・でも何聞いても分からないから、何もできなくて」
「だから離れるんじゃないですか?」
「えっ?」
「それが、今咲子さんがしてあげられることかと」
p.189
「どんな気をつけたって、絶対傷つけないなんて無理だから!だからいちいち自分のせいで、とかへこむな!」
p.195
勝手に「考え近いな」ってなったのと、「大事にしたい人と私にぎゅって忘れんでほしいこと」
つらくてもしんどくても心がペチャンコでも、蟹は美味しい。
p.199
ほっこりさせてくれる美味しいものの描写はやっぱり大好き。
高橋さんの心遣いに胸のあたりが温かくなる。こういう素敵なことがあると、目の前の漠然とした不安に目を背けて、私は思ってしまうのだった。「きょうは素敵な日になりそう」と。
p.242
高橋さんがモテる理由がわかる。高橋さんのあったかい何かはすごい魅力だな。
「諦めるんじゃなくて両方取り!これが私たちの今の、ベターじゃなくてベストじゃないですか?」
p.292
「言葉にすると、それに縛られちゃうんですよ。周りが決めた普通に縛られたくない私たちでさえも。考え方や大事なものだってどんどん変わっていくんだから、その時のベストを考えればいいし、その時もし二人のベストが全く逆方向で、色々話し合って、それでも無理なら」
「無理なら?」
「無理に家族でいる必要もないんです」
p.294
ふたりがふたりらしい時間を作ろうと話す場面も素敵だった。

この本を読み終わって。

ここ最近はしっかりもんの恋愛小説ばかり読んでいたから。こういう割と軽くて、でもしっかり残るモノもあって。いろんな部分に満足感を得た小説だった。

ドラマ化されてて、W主演のお二人の演技もなんどか見たことがあったので、読み進めながら演じているふたりを脳内上映して、脳内ドラマでも楽しめた。

最初のほうの愛するがゆえの、大切な人とのぶつかり合いは切なかったけど。徐々に心を開いていく様子をみせる高橋さんもかわいらしく感じた。笑

咲子さんのわからないなりにも、大切な人をたくさん考えて想いを伝えていく姿にはじーんとしちゃうわ。

私はモノにも人にも場所にも適切な距離感がある。と思っている。

周りの人とは違うかもしれないけど、好きだからそばにいなきゃとか。愛着があるから今後もかかわっていかなきゃとか。

それよりも、自分がのびのびいられるように。

すなわち大切な人を大切だと思え続けられるように過ごすことのほうを優先したいと思うことが多くて。

その考えを維持するのは難しい。でも、ここの人達は少しづつそれを形にしていってて素直に素敵だと思った。カズ君もほんといい奴。


思えば、ずっと諦めの中で生きてきた。なぜ自分のほうが伝わるように努力しなければいけないんだ、理解してもらわなければいけないんだ、僕のことは放っておいてくれ。
そう思っていたし、この考えが間違ってるだなんて思わない、ただ僕は、この一年と少しの間の新しい出会いによって、ほんの少しだけ諦めの中から飛び出してみることにした・・・諦めをやめた分だけ、自分に返ってくるものがあって、多分今、生まれて初めて思っている。こんな人生も悪くないって。
p.307



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