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与えることができる人

私は、小さいころから…物心ついたころから、良い情報は「独り占めしたい人」だった。

良い情報、誰かから教えてもらった良い情報、お得な情報も、自分の中だけで留めておきたい。

多分20代中盤を過ぎた辺りまで、何とも思わずにそうやって過ごしていた。

…これを書いていても、「自分はなんてケチな人間なんだろう」と改めて恥ずかしくなる。

厳密に言うと、自分から発信することが苦手だったのだ。億劫に感じて。

自分が言ったことを否定されるのが怖い。
…きっと良い情報なら否定されることはあまりないだろうけど、これはネガティブ思考が強かったころの尾を引いていて、発信する気持ちにロックが掛かってしまうのだ。

そんな私だったが、最初に働いた職場で、母親と同じくらいの方々と一緒に働くことになる。

自分も若かったし年代も違うから、考え方も違うので、共感出来ない部分も多かった。私のことも、皆からはそう思われていただろう。

しかし、自分の先をゆく人生の先輩達、家事や料理、子育てのことなど、昼休みや休憩中に話す中で、いつの間にかたくさんのことを学ばせてもらっていた。
これは結婚して子育てをしていて初めて気付いたこと。

中でもAさんは、ハッキリした口調、いつも元気、自分に自信がある、よく笑って楽しそう。
フルタイムで仕事をして子育てをしながらも、ちゃんとご飯を作って、自分の趣味の時間を確保して毎日を楽しんでいる。

話を聞いていても、生活、お金など「豊かな人」という印象。
だから、「自分とは別のステージを生きる人だな」(=自分はそんなふうにはなれないな) と思って過ごしていた。

長く一緒に過ごし、私が結婚する頃だっただろうか。
改めてAさんの生き方が気になり、Aさんのことを分析していた。

そこで気が付いたのが、

「自分が良いと思ったモノやことを惜しげなくシェアしてくれる人、与えることが出来る人」

だということ。

そうやって教えてもらってよかったこと、たくさんあったなぁ、って。

例えば、質の良いものを買って長く使うこと。

20代前半に泊まり掛けで忘年会へ出掛けた帰りがけに、皆で立ち寄ったシルク製品を扱うお店。
Aさんがこちらで何度か購入しているということで、行くことになった。

「高いけれど、一度買ったら長く着られるし、すごく薄いけれど暖かいよ」と教えていただいたのが、薄手のシルクインナー。

当時はヒートテックなど、今みたいに暖かいインナーが充実していなかった。
確か1万円近かったから、正直、「インナーなのにこんなに高いの⁉︎ これを買うなら洋服を買いたい‼︎」と購入を躊躇した。

しかし、皆、悩まず購入しているのを見て、結局流されるように購入してしまった。

結果、とても薄いから体型にも響かない上に、真冬でもポカポカと暖かい。
それまで着ていたインナーとは格段に違う。
繰り返し洗濯しながら、大切に、3年くらいボロボロになるくらい愛用していた。
もう1枚買えばよかった、と思うほど、よい買い物をした…と満足した。

その経験がその後買い物するときの指針となったと思う。

その時初めて購入した他の方々も、皆笑顔で「いい製品を教えてくれてありがとう」とAさんに感謝していた。

自分が良いと思うものを惜しげなく伝えて、周りも笑顔になる。

今度は周りの人がAさんに良い情報を教えてあげている。

…常に良い波動、運気みたいなものが循環しているのだ。

息を吸って吐くのと同じように、自然にそれが出来る人。

この原理がわかったときに周りを見渡すと、これが出来ている友達、何人もいた‼︎

皆、当たり前の感覚なのか⁉︎
これが当たり前じゃなかった私からしたら、目から鱗。随分遠回りして知ることが出来た。

ここから「私もそうなりたい」って思い、少しずつだけど心のロックを外して
伝えるようになった。

しかし、まだまだ修行が足りないので、昨年から始めた読書記録のインスタグラムも、こちらのnoteでも、自分が握り締めていた大好きな本のことを、たくさんの人に伝えてみよう、と勇気を出してみたのだ。

いつの間にか、Aさんのようになりたい、憧れの人となっていた。
そして今でも「こんな時、Aさんだったら…」と無意識で考えていた。

私が退職してからはお会いすることが無くなってしまったが、何気なく目にした地元の広報紙の、とある募金に個人で寄付した方々の名簿の中に、Aさんの名前が目に留まった。
やはりAさんとはそういう方なんだな、と納得し、改めて私の目指す人だと確信した。

自分の中に留めておきたい、握り締めていたい…というマインドは、片付けにも通じている。

モノを手放すことが出来なかったのも、情報をシェアしようと思えたところから変わったと思う。
この話はまた別の機会に書けたら。

この話をここで書けたことも、皆にシェアすることが出来たということ。
まだまだ投稿に時間が掛かるインスタグラムだけれど、良い情報は軽やかにシェアして、笑顔になれることを広げる人になりたい。





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