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どこからどこまでが重いのか

「津田さんって見かけが軽そうだからな〜」
と、仲のいい担当美容師の男の人に言われたことがあった。
『私は愛するおじさまに軽んじられがちだ』と相談した時のことだ。


いやいやいや。
こんなにメンタルが激重なのに見かけが軽そうとか最悪じゃないか。
それとも見かけだけでも軽い方がいいか?
内面も見かけも重いよりはまし?
ウ──ム‥‥。
‥‥‥‥。
いやいや、そんな所で悩むこと自体が重いんだっつーの。



親戚のおチビが通う幼稚園の参観日みたいなものに、代理で行ったことがあった。
そこで、おチビ達がただ自由に園庭で遊んでいるところを我々大人が見学する、という時間があった。
走ったり登ったり転がったり全力ではしゃぐ様子が可愛すぎて、ついつい凝視してしまうため、おチビがこっちを振り向くたびに目が合う。


私はそのたびに手を振っていたのだが、途中で
(待てよ、こんなにずっと自分の方を見られてるのってひょっとして重いのでは‥‥?!)
と不安になった。
だから『なるほど、ブランコはこんな感じになってるのか〜』みたいな、遊具などもちゃんと観察してます的な雰囲気も醸し出しておいた。


でも、その自由時間が終わった時におチビが私のところに駆け寄ってきて、
「ねえ!花野ねえね!ぼくが○○やった時見ててくれた?!□□やってる時はちゃんと見てた?!」
と勢いよく聞いてくれた。
「(実は100%)見てたよ!すごい上手だったじゃん!」
(よかった〜〜!!重たがられてなかった!!)
内心で超・安堵した。



どうでもいいのだが、私は犬が大好きだ。
というか動物はすべて可愛いと思っている。人間以外‥‥。(←急な闇)
近所でお散歩している犬とすれ違う時、飼い主さんが優しそうな人だと、
「さわってもいいですか」
と話しかけて遊ばせてもらったりして幸せを感じている。


何度も会っている内に仲良くなった犬(ジャックラッセルテリア)がいる。
陽気な性格のやつで、私の顔を舐めた後はすぐその辺の植木に突っ込んで行ったり、道の落ち葉を食べようとしたり、道路を掘ろうとしたりと落ち着きゼロなのだが、そこが逆に可愛い。
飼い主の女の人とも世間話などするようになったので、たまに会えるとすごく嬉しくなり、遠くからでも
「アッ!!ののちゃん(犬の仮名)!!ののちゃ───ん!!」
と呼びながら駆け寄ったりしていた。


その後2、3ヶ月会えない日々が続いた。
近所を歩くたび、ののちゃんは元気かな、会いたいなと思っていたのだが、
(いや、待てよ。ひょっとして私がいつもグイグイ行くから重たいと思われたのでは‥‥?!)
私に会うと面倒だからお散歩のコースを変えたのでは?!
と思ったのである。


ところがある日、後ろの方から
「あれ?!のの、お姉さんじゃない?!」
という声が聞こえたので振り向いたら、飼い主の女の人が満面の笑みで挨拶してくれて、犬もグイグイ近づいて来てくれていた。
「お元気でしたか〜?最近お姉さんに会えないね〜ってののと話してたんですよ。ののはお姉さんのこと大好きなんだよね。‥あっ!こらやめなさい!」
最後のは、犬が私のバッグに顔を突っ込んだのを制止する台詞だ。
「私も、ののちゃんは元気かなっていつも思ってたんですよ〜!会えて嬉しい!」
(よかった〜!!重いと思われたんじゃなかった!!)
気が弱ってる時だったら泣きかねないぐらいホッとした。



おチビや犬(飼い主)相手にこれだけ重さを気にするのだ。
いわんや恋愛においてをや、である。
電話もメールも「したい!」と思ってもすぐに「いや、待てよ」が入る。
重いかどうかが気になりすぎて、まあ行動範囲が狭まること狭まること。
一体どこからどこまでが重いと思われるのか教えて欲しい。


ののちゃんみたいな明るい性格になれたらいいのだがな‥‥。
でも重さも暗さも私のアイデンティティだから仕方ないか‥‥。
(そういう所そういう所!)



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