ちい

添乗員。旅行業勤務。専門は欧州。

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海外旅行と国内旅行

私の仕事は旅人を作ることですが、専門は海外、特に欧州などのキリスト教文化圏です。今はコロナ下なので国内を扱っていますが、正直、今ひとつしっくりきていません。 私にとって「旅」は知らない世界を見聞すること、ただしある程度の常識が通用する範囲で迷惑をかけずに、というイメージです。その範囲を超えると「冒険」「探検」になります。住んでいる都道府県内の外出は「お出かけ」、市区町村内なら「お散歩」。逆に言えば、特に新たな知見が得られそうもない移動、例えば業務出張は旅ではないし、いつもの

    • 【本】「つかれたときに読む海外旅日記3」五箇野人

      小学館/2022/110p/漫画 3巻が出たので買いました。手に入れられてとても嬉しい。1巻より2巻が、2巻より3巻がお気に入りで、Twitterでも読めるけれど、私は何度も読みたいし、これは五箇さんへの応援。 私は旅の仕事をしていて、旅先は選べません。行けと言われたところに行くし、何度も同じ場所に行きます。季節が同じこともあるし、今やたいていの場所は写真や動画で行った気になれます。 けれど、なにより新しい発見なのは、旅先より景色よりも、その地で出会う人たちの多様さで、「

      • 【本】「泉に聴く」東山魁夷

        講談社文芸文庫/1990/360p 画家の東山魁夷は1999年に90歳で亡くなっている。この本は1972年に刊行された本を下敷きにしており、戦前の話も出てくるので、文体も含めて古さは否めず、読みやすい本とは言えない。 内容はエッセイとされており、生い立ちや、制作や取材にまつわる話、国内外の旅行記、展覧会の感想などで、特に、青色に関する考察、川端康成との交友、代表作『道』『朝明の潮』の制作話などは興味深かった。渡り鳥を例にとって、自分は生かされているという感覚が常にある、とも

        • 初夢の話をする

          夢の話をするのが好きです。そんな話をしても役に立たないと思われがちですが、人の無意識の本能だと思っているので、現実と同じくらい興味深い。どうしてその夢をみたのか、どこがポイントだったのかを考えて、自分を観察します。 今年の初夢は、元旦の朝が家族の夢で、元旦の夜が眼鏡の夢でした。どちらを初夢と呼ぶかは諸説ありますが、どちらも今、実際自分が困っていることなので、数ある心配ごとの中でもその夢を見たということは、これらの不安を払うことが、自分にとって大事なようです。 わが家は姉と

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        海外旅行と国内旅行

          母の雑煮を再現する

          母が年をとって、おせちを作る気がなくなり、出来あいを買うようになってしまいました。お雑煮だけは作ってくれましたが、母も作り方が曖昧になっているようで、近年は味が安定しません。自分でも作れるようになっておかないと家族の味が廃れてしまうので、再現に挑戦しました。やったことがない人は、一人で作れるようになっておいた方がいいですよ。 わが家雑煮レシピ(父方の祖母伝来の仙台風らしい) 1.  ひと口大に切った鶏肉を弱火〜中火で旨味を出しながら煮る。沸騰して灰汁が出たら掬う。そこへダ

          母の雑煮を再現する

          心の水田を潤す旅

          旅はできれば一人で行きたい私ですが、高齢の母に希望され、急遽、青森ねぶた祭りと秋田竿燈祭りを見に行きました。 目的はお祭りでしたが、車窓を流れる野山や田畑の夏の緑、特に、青森ヒバや秋田杉の森林風景がすばらしく、日本の多様な美しさをなにか誇らしく思いました。 仙台平野や秋田平野のどこまでも続く稲田の風景を眺めていて、ふと、日本人には誰にも、自分だけの水田のようなものが心の中にあって、耕して種を蒔き、水を張り、様々な出来事に見舞われても枯れないようにこまめに手間をかけ、仲間と助け

          心の水田を潤す旅

          夏の旅はどこへ

          海外出張者が出はじめて、空があんまり夏めいて暑くて、この夏の旅について考えたくなりました。 コロナが明けたら行きたいと思っていたところがたくさんあります。何度行ってもいいパリ滞在(散歩するだけで楽しい)、ウィーンで小さな美術館巡り(特に家具博物館)、北欧(特にドロットニングホルム宮殿)、リスボン滞在(カフェ巡りとフェリー)、サントリーニ滞在の5択かな。航空料金や滞在費用によって決めようと思っていました。まあ真夏のエーゲ海は高すぎるので、永遠に行かない可能性もある。けれど、こ

          夏の旅はどこへ

          霊的体験をした

          「霊体験」と言えばオバケと出会うことだけれど、「霊的体験」といえばスピリチュアルな体験のことです。日本語は不思議。 昨日のnoteに書いた私の堅信について、堅信名の希望はあるかと母に聞かれました。どうせないんだろうから、私の母の堅信名にしておけば、と言うニュアンスのアドバイスつきで。 私は、キアラと答えました。 私の洗礼名はベルナデッタと言って、ルルドの泉ゆかりの聖女の名をいただいています。おうつくしい方の名前をいただいていることは光栄だけれど、彼女は神に選ばれて、故にふ

          霊的体験をした

          親子と宗教

          いい年をして親と喧嘩するのは恥ずかしいことだと思う。老い先短い人たちと諍ってどうするのか。だからと言って、全てを許せるほど人間ができているわけでもありません。先日は親と、私の堅信のことで揉めました。 私は幼児洗礼で、自分で宗教を選んだわけではありません。家族の文化ではあるけれど受け入れ難い部分もあり、心のどこかで、知ってはいても宗教的に中立であることが私のアイデンティティだとさえ思っています。きっと、マイノリティな信仰を持つ家庭に生まれてきた多くの人は、同じようなコンプレッ

          親子と宗教

          憂鬱と、北区さんぽ

          頭の中を悪い思念が占領してしまった時、静かに、時が解決するのを待つもよし、飲食で気晴らしするもよし。一番良いのは他のことに夢中になることだと思うけれど、今日の私は、どこかに逃避したかった。けれど、いくら遠くに行ったところで虚しいだけの時もある。それで、近場を散歩することを選んだ。 今日の散歩は東京都北区。飛鳥山は大学時代の通学路だったのに、有名なあじさいの小径を歩いた記憶がない。学生時代は部活で必死だったし、社会人になってからの6月は出張のピークだった。この季節に日本に居る

          憂鬱と、北区さんぽ

          ベトナム×イタリア=ポルトガル

          業務スーパーで買ったコーヒーが不味かった。ひどい誹謗中傷だけれど、結論から先に言えば、不味かったと思った私が愚かだった、という話をします。 私は毎日、自分でペーパードリップします。酸味が苦手で、あっさりと淹れたブラックが好き。産地はモカやブラジル、コナなどで、マイルドなもの。外出先では強すぎるものが多いので、もっぱらアメリカン。エスプレッソも飲みますが、イタリアやスペインの強いエスプレッソより、ポルトガルのマイルドなカフェが口に合いました。 ローストの違いや抽出時間までは

          ベトナム×イタリア=ポルトガル

          復活祭と宴会

          今年も微妙な気持ちになる復活祭がやってまいりました。 前日まで悲しくキリストの死を振り返っていたのに、いきなり祝えと言われても。厳かな除夜の鐘つきからの謹賀新年どころじゃない。イメージとしては東日本震災の記念日の翌日が海の日みたいな感じ。おめでとう!って、そんなに器用に気持ちの切り替えはできない。 でも、ここ数年わりと真面目に毎週のミサ配信を見て、かつてなく敬虔な気になっている私は、少しだけわかってきた気がする。 それこそが愛なのだとか、十字架につけた人に救いを求めるという不

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          朝の幸運さん

          信号待ちの連続、電車の遅延、ストッキングの伝染など、「今日はツイてない」と感じることはたくさんある。特に朝。人生の不幸を嘆くには絶好の時間帯です。 対して、信号で待たず、電車も順調で、ストッキングが滑らかだったとしても、その程度でツイてるとは思いません。だって当たり前だもの。 クジで当たったり、おまけがついてきたりした時に「ラッキー」と思うことがないわけではないけれど、営業戦略や還元率の方が気になって素直に喜べないサラリーマンの性よ。だけど、それでもし良い仕事のアイデアが浮か

          朝の幸運さん

          ルソーな怒り

          いいかげんな仕事を引き継いでおいて、こちらが直そうとすると、したり顔で意見してくる同僚に腹をたてました。 だからいって怒るのは自分の評価を下げると思う一方で、聞き流すには違和感が大きすぎて、慣れないアンガーマネジメントはなかなか難しいものです。 気分を変えようと努めたり、時間をあけてみたり、視点を変えてみたり。けれど、客観的になろう、怒ってはいけないと思うほどに、視界が狭まるように感じます。 そもそもわたしは怒りとともに育ってきました。理不尽な大人たちに対する怒り、世の中や

          ルソーな怒り

          【今どきの語釈】前世

          友人がVTuberのファンなのですが、VTuberの”中の人”が、そのVTuberになる前に活動していた事象のことを「前世」って呼ぶんですって。「VTuberのXちゃんの前世は声優」という感じですね。へえええ!転生の概念の変化がすごい。 アイドルが引退する時に「卒業」と言う言葉を使い始めた時も、思いきった使い方だな!と驚いたものですが、今やすっかり定着してしまいました。今どきは転職や離婚などの場合にも「卒業」は使われますよね。「母親業卒業」とか。幼稚園、小学校、中学校、高校

          【今どきの語釈】前世

          DD(誰でも大好き)

          「DD」という言葉があります。 DDの意味は前後の文脈でさまざまだと思いますが、今日は「誰でも大好き」というアイドルが好きなファンたちが使う用語のDDだと思ってください。特定の誰かを推すのではなく、そのグループやユニット、プロジェクトなどのアーティストなら誰でも好き、という意味のDDです。 DDの言葉の発祥はモーニング娘。を擁するハロプロあたりではないか、と友人は言うのですが定かではありません。ただし1990年代にはあった言葉だという説がありますから信憑性はあると思います。

          DD(誰でも大好き)