見出し画像

自主上映会を開催して分かったこと~その3 それぞれのお金の価値

地方の端っこに住まう私にとって、映画はとても遠い。
気軽に行けるシネコンにやってくる映画はエンタメ映画などのメジャーなs区品ばかり。

社会に問いを立てるような映画や、いわゆるミニシアター系の映画は、自分で遠くまで足を延ばすしかない、と思っていた。
でも、その中には自主上映をさせてくれるものが結構あった。
そうだ!『ないものは作ろう』の精神で
『やってこないものは呼ぼう!』だ。
誰かが呼ばないなら自分で呼べばいい。
自分ひとりが観るのではなく、みんなで共有する方が楽しいんじゃないか?
そんな想いで始めた自主上映会、のシリーズ。


上映会の価格設定

上映会を開催するにあたり、入場料をどうしようか…。と。
運営チームが持ち出して、地域に貢献するというのもおかしな話である。
運営費に加えて、スタッフの日当も出したいし、なんなら次の運営費まで賄いたい。
そうしておかないと、次に続けられない。
一石を投じるのが、一回だけだと効果は薄い。
二石、三石、と投げ続けることで、多くの人に届けたい思いがある。
価格の設定についてはスタッフの中でも意見が分かれた。
他の会場では、大体大人が1000円だった。
私たちはそこを1500円で設定した。
「1000円だったから見に行った」という人もいる。
それも分かる。
価格ってなんだろう?あっちより高い、こっちより安いで済ます話なのか?
それがずっと引っかかっていた。

子どもの分を大人が負担する、という感覚

『夢みる小学校』はなるべくたくさんの子どもにも観てほしい映画で、だから入場料を子どもからは貰わない方針に。
入場料を見ない理由にしたくないなと思っていた。
ただ、捉え方を意識して欲しいという気持ちはあった。
『子ども、無料(タダ)なんだ~ラッキー』
ではなく
『子どもの分は大人が負担している』
『大人は子どもの未来のために、その機会を投資する』
と言う感覚を、大人が意識するといいな、と考えた。
他では1000円でやっているかもしれない。
でも、プラスの500円は、子どもたちの分を大人が負担していると認識してほしかった。
それはチラシにも書いたし、告知の時も記載した。
どれだけの人が意識したかは分からないけど。

ドネーション枠

それでも入場料1500円は、私たちの集客力を考えると運営費でぎりぎりだった。上映費やチラシ代、ほか諸々の経費などかかるものはかかる。
当初、黒字が出たらみんなで割ろう。赤字が出てもみんなで割ろう、と言ってたけど、すでに出費は嵩んでいる。
言い出しっぺとしては、赤字を出すわけにはいかない。
入場料とは別に、ドネーションも併せて募ることにした。
開催を決めたときから、私たちの活動に共感してくれる人はいるという自信があった。
応援してくれる人がきっといる。
その人たちの思いを受け止める皿としてドネーションがきっと生きる。
 その確信があった。

私たちも自主上映会に参加して、その活動にものすごく共感したし
だから自主開催を企画した。
その上映会にも応援の気持ちをドネーションとして置いてきた。
ドネーションは気持ちの良いお金の回し方だ。
『あなたに使ってほしい』と言う気持ちを表す方法だと思っている。

お金を頂くことにすごく引け目を感じる人が一定数いる。
同じように、お金を払うことに拒否感や嫌悪感を持っている人もいる。
お金をもらうことに、特にドネーションを募ることに抵抗があったスタッフもいた。
それは様々だ。

私たちが上映会を決め告知したときも
『え?お金取るの?』みたいな声もちらほら届いていた。
こっちこそ『え?』だ。
その感覚もぶち壊したかった。

あなたの1000円と私の1000円は違う

結果的に上映会終了後、かなりのドネーションが集まった。
入場料で集めた金額の半分以上の額だ。
ドネーションはできる人がしたいだけできるのがいいところだと思う。

3人幼児がいて働ける状態じゃなくて、出産を機に退職したお母さんにとって、1500円はキツイと思う。
事実、私はそうだった。それでも来てくれた人もいる。
そこには、子どもたち3人とゆっくりこの映画を観る、と言う価値を見出してきてくれたのだと思いたい。
もしかしたら、それでもドネーションしてくれてるかもしれない。
逆に、1500円がそこまで痛手じゃない人もいる。その人たちはきっとたくさん気持ちを寄せてくれた。

そうやって私たちは互いに支えあっていければいいと思う。
今しんどい人は甘えていいし、しんどくなくなった時に誰かを支えてあげられるといい。
あなたにとっての1000円と私にとっての1000円は同じではない。
価格だけを見て「高いから」「安いから」と判断するのはもったいない。

同じように感じてくれている人が少なからずいることが分かった会になった。
資金に余裕ができたので、集客に協力してくれた方々にもお礼ができたし
次の上映会の目途も立った。
これだけの支援が集まったこと、お金ではなく場所を提供してくれたり、告知の時点で応援してくれたり、とたくさんの方々が力を貸してくれた。
この実績は私たちの背中を強く押した。

自主上映会の話はいったんこれでお終い。

読んでくださってありがとうございした。
いいね!やコメント嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?