タンスの中に仕舞い込んだ
シルクのブラウスは
あの日の想いがビーズのように
散りばめられている
大きな桜の木の下で
会う約束をして
鏡の前ではやる気持ちを
抑えるように
ひとつ ひとつ
ボタンを留めた
少し口紅が赤くはないかと
気にしながら
スマホじゃない電話は
悲しみをより深く響かせ
あなたに二度と
会えないことを知らせた
5年の月日の中で
育つことのない恋を夢見て
増えることのない思い出を
棺に入れることもできずにいる
季節を生きる木や花を
なぜ恨めしく思うのだろうか
悲哀は夕陽のように
ただ のびてゆくばかり
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望星 選外佳作
講評 マーサ・ナカムラ氏
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