【読書録】日本再興戦略

日本再興戦略読了しました。

非常に読み応えのある本でした。News Picksで放送しているWeekly Ochiaiを毎週見ていますが、その内容が綺麗にまとまっていて良かったです。

落合さんの発しているメッセージは非常に情報量が圧縮されていて、裏で何度も推敲されているんだろうなぁと感じます。

本の中では、日本が追ってきた欧米とは何か、日本とは何か、政治、仮想通貨、教育などにどについて書かれています。ただ、各論を論じる上位概念として伝えたいメッセージは、

「計算機自然(デジタルネイチャー)による近代の終わり」

です。近代というのは標準化の時代でした。標準的な教育を受け、標準的な消費財を買い、標準的なライフスタイルを楽しみました。しかし、この標準化からはじかれれしまった人(例えば、高校を中退してしまったり、障害を持ってしまったりした人)は、近代の生産様式の中に入ることが出来ません。何故かと言えば、この標準化こそが高い生産性を保っていた秘訣だったからです。標準的でないものが生産過程に入ると、生産性が下がってしまいます。

しかし、これからは、計算機(AIと考えてもよい)が標準的な仕事を行ってくれます。そして計算機は24時間いつでも働いてくれて、いずれ人間がやるよりコストが低くなることは確実です。そのため人間は定型的な仕事よりもっとイノベイティブでクリエイティブな仕事をしなければなりません。そこで大切になってくるのが、今までに無い考え方、多様な考え方で、それには今まで標準化のルールから追い出した人達に帰って来てもらわねばなりません。そして、標準化の中に居る我々は、もっと異質な考え方を受け入れなければなりません。

テクノロジーの発展により、人が多様でも近代が回るようになるから、それに向けて準備しようというのがメッセージだと思います。この前提があって、
じゃあ仕事や教育や政治はどうなっていくべきか、という各論を論じていて、それぞれ非常に勉強になります。

ただ、一点、書かれていた内容に提案があります。

「ホワイトカラーおじさんの生かし方」という項についてです。上述の通り標準的な仕事は計算機がやってくれるので、大企業にいるホワイトカラーおじさんの仕事がなくなってしまいます。落合さんは複数のベンチャーで事務処理的な作業をやってもらうといいと書いていました。しっかりメールが打てて、電話の受け答えが出来て、お礼の手紙が書けて、事務作業を効率的に出来て、新人を育成できる、そんな人材はベンチャーに全然いないので、複数のベンチャーで兼業してベンチャーで働けば良い、という話を書いていました。

僕の提案は、ホワイトカラーおじさんはみんなデータサイエンティストになってみては、というものです。これは僕がデータサイエンティストなので完全なポジショントークになってしまいますが、理由はちゃんとあります。

・蓄積してきたビジネス知識を活かせる
データサイエンティストの仕事はデータが解析出来れば良いだけではなく、
現場の知見を拾う力が非常に重要です。研究をずっとやってきて、アルゴリズムへの理解力はすごいあるけれど、ビジネスの現場との折衝が出来ない、という人は会社でもよく見る光景です。

・エンジニアリング、統計学は1年あれば業務で使えるレベルになる
業務で使えるという点がポイントです。業務で使うアルゴリズムはほとんどオープンソースのもので、使い方を押さえれば誰でも使えるものです。数学的に完全に理解するのは難しいですが、概要であれば、こういうことをしているのか、と理解出来ます。ホワイトカラーおじさんって学歴高い人が多いと思うんです。数学も微分なんて勉強し直せばすぐ使えるようになると思うのです。

・何よりこれから需要がある

『今後「最も稼げる職業」に!?注目のデータサイエンティストとは』だってさ!

こちらの記事でも書きましたが、仕事の需要は増え、ホワイトカラーおじさんの高い給与をデータサイエンティストであれば、賄えると思います。
ただデータ解析の経験を積むこ機会を得るのが難しいのかな、と思います。

データ分析職に採用されるために必要な「実務経験」をいかにして積むべきか

こちらの方のブログでも触れられていますが、データコンペを受けるくらいしか経験が積めない。。この問題点を解決する新しいビジネスがどんどん出て来てくれると良いですが。無ければ、作ってやる、くらい言えるエンジニアになれたら良いのですが、その道は遠い。。

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