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愛しさ

私は背が低い。
そんな私の子どもも背が低い。

特に、次男は私の遺伝子を色濃く受け継いでしまったようだ。
目に見える特徴のほとんど全てがわたしの遺伝である。
彼を見ていると、8割は私だな、と思う。

当然、背の低い遺伝子も完全に受け継いでいる。
生まれた時から小さい小さいと言われ続け、3年半。
ついに総合病院を紹介された。
背が低いばかりに、私も受診したことのない大きな病院にかかる羽目になってしまったのだ。

そして今日、初めての総合病院。
待ち時間が長いことを見越して、長男は保育園に預けたから、かなり珍しい次男との2人行動になった。

受診内容自体は、30分程度の問診と検尿、採血、手のレントゲン。
朝イチで受診したが、全て終わった頃にはお昼をとうに過ぎていた。

お腹すいちゃったーとしきりに次男が訴える。
何を食べたい?と問うと、
「からあげとー、ごはんとー、おみそしるとー、それでいじょう。」
「それで以上」なんて言葉を舌ったらずにいう彼は面白い。

からあげのキッズメニューがあるレストランに2人で入る。
大好きな唐揚げを目の前にして、「おいちちょーう!」と次男のテンションは爆上がり。
パクパク食べる彼を前にして、わたしは小さくない違和感を感じていた。

あまりに、平和すぎる。

母になってもうすぐ5年。
そのなかで、こんなに平和な外食があっただろうか?
すぐに大きくなって楽になるよと言われ続け5年。
一向に楽にならない育児を前に、先人たちの言葉にいちゃもんをつけ始めていた時だった。

私が手を貸さずとも自分で食べ、飲み、口を拭く。
普段あんなにふざけていて食事が遅いのに、美味しい美味しいとパクパク食べる。
なんて平和。
小さい彼氏とまではいかないけど、これなら小さな友人くらいに言っても良い。

どうやら、育児が一向に楽にならないのは、男子が2人いるためだったらしい。
男子が2人集まると、ろくなことにならないようだ。

よく育児書などでみかける、「一人っ子デーをつくりましょう!」というのはこのことだったのか。
別々な方向にダッシュする2人を追いかける必要もないし、お店でウルトラマンごっこをする2人を止める必要もない。
グルになって公園の男子トイレに立て篭もることだってない。

子1人母1人の時間は、こんなに平和だったのか…。

ウロコが落ちた目で次男を見つめる。
心なしかいつもより可愛い気がする。
まつ毛が長い。肌が綺麗。顔つきが整っている。割とイケメンじゃない?
もはやばあばレベルの贔屓目だ。

「産んでよかったな」
すごく自然にそう思った。

産んでよかった、なんてなんかおこがましいし、産まなきゃよかったなって思ったことは一度もないんだけど。

だけど、目の前にいる、確実に私の遺伝子を受け継ぐ彼を見て、その存在自体にある種の感情が芽生えた。
どうにも言葉にしにくい感情なんだけど、あえて言葉を当てはめるなら、「愛しい」。

日頃から愛しんではいるんだけど、今日は特に、そう感じた。
1対1の関わりって、本当に大事だ。


今度は長男と2人で過ごす時間を作りたい。
私にとって子どもたちはずっと宝物だけど、子どもたちにとって私が宝物である時間は、そう長くないから。
彼らが私を必要としてくれているうちに、それぞれとあたたかい時間を積み重ねたいと、強くそう思った。

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