炎心(セルフライナーノーツ)
昨年、10月26日に10thシングル「炎心」をリリースしましたが、ずっとバタバタしていた事もあり、ようやく心を落ち着けてのセルフライナーノーツです。(遅くなってしまいすみません)
こちらの曲は、およそ1年ぐらい前には既に完成しており、4月にドイツのベルリンで映像を撮って、タイミングを見計らって、ようやく10月にミュージックビデオの公開と音源のリリースを合わせて発表させていただきました。
既に聴いて下さった方はどういう風に思っていらっしゃるかはわかりませんが、僕の中では、前作「幻夏」と同じ路線のタイプの楽曲だと位置付けています。
元々HANCEの曲には、歌謡曲のエッセンスが散りばめられていたのですが、アレンジのベースとなるのは、ポップスよりも、ブラックミュージックなどの少し「ハネ」た「ノリ」がありました。
しかし、前作、「幻夏」から、その路線は様変わりし、どちらかと言えば、ブラックミュージックのような「黒人音楽」をベースにするのではなく、「ゴシック」「讃美歌」のような「白人音楽」をベースに、歌謡曲を消化したような感覚があります。
突然現れたその「要素」に対して、もしかすると少し驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも僕自身はクリスチャンの家庭に生まれ育ち、教会音楽をベースとして育ってきていましたので、このような音楽は、むしろルーツに近いと言いますか、体内から自然と湧き出てくるものだったように思います。
そして、次にリリースした「snow sonnet」ではよりその要素が、凝縮されたわけで、今回の撮影の舞台をベルリンに選んだというところは、何となく繋がって感じていただけるのではないでしょうか。
一方、サウンド面で注目すべき点は、激しいギターサウンドがのっかった部分かと思います。
僕自身、この手の音楽はたくさん聴いてきていますし、抵抗感は全然なかったのですが、HANCEの楽曲として、ここまで歪んだギターを入れても良いのだろうか?と、最初は少し葛藤もありました。
ただ、「炎心」という楽曲のテーマを考えた時に、情熱的でドラマチックな演出として、ギターサウンドは外す事は出来ないと考え、アレンジャーの石垣さんと相談しながら、必要な箇所に入れていきました。
また、歌い手として意識したのは、徐々に盛り上がっていく展開の中で、どのように感情を遷移させていくか?がポイントだったと感じています。
「炎」がテーマとしてあって、その炎の強度がそれぞれのセクションで異なるため、最適な感情や言葉を選んでいき、グラデーションを意図的に作っていきました。
これまでのHANCEの楽曲は、メロディやボーカルと、バックのサウンドの温度感はあえて、一致させず、異物感をぶつけあわせるような形で、サウンドを成立させていたのに対し、今回は、まるで二人三脚で歩幅をぴたりと合わせるように、全体のサウンド感を乖離させず、同じ感情の波を作っていきました。
このあたり、僕も石垣さんも、いつもと違ったアプローチだったため、少々の気恥ずかしさを感じつつも、リスナーのみなさんは、素直に出てきた音の世界に身を委ねて、楽しんでいただけたら幸いです。 HANCE
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