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Let's BEnjoy vol.5 期間限定無料公開「名探偵コナンにおけるトイレ研究」


前書き

無料公開の理由

この記事をご覧いただきありがとうございます。
我々大阪大学トイレ研究会が毎年発行している「Let's BEnjoy」という会誌の一部記事を期間限定で無料公開いたします。

この時期は新歓や学祭の時期であり、阪大トイレ研究会がどのような活動を行っているのかを多くの方に知っていただくために公開する運びとなりました。
新入生の方はもちろん、2回生以上、大学関係者、あるいは外部の方すべての方に大阪大学トイレ研究会がどのような活動を行なうサークルなのか、その一端だけでも知っていただけますと幸いです。

もし、この記事や活動を見て興味を持った、あるいは入会したいと思っていただいた場合はX(旧Twitter)アカウントかメール( handaitoilet@gmail.com )にご連絡していただければと思います。
また、Let's BEnjoyをすべてご覧になりたい場合は以下のサイトで電子版を購入することができますので、ぜひそちらもよろしくお願いします。

また、この記事に対する感想や意見も募集しております。ぜひ質問箱にお願いします。

この記事の選定理由

記事の一部を公開するにあたって、この記事が選ばれた理由は主に3つあります。

1つ目は、トイレ研究の対象は現実のトイレだけではないということを知っていだたくためです。トイレ研の会誌を読んでいただければ分かると思いますが、一言に「トイレ研究」といっても、多様な研究対象があるのです。

2つ目は、この記事が読みやすくて面白いからです。「名探偵コナン」はかなり有名な作品なので、多くの人にこの記事に興味を持っていただけるのではないかと思いました。

3つ目は、この記事の公開の1週間後(4/12)が映画「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」の公開日で、メディアなどでコナンにスポットが当たるようになると予想したからです。コナンについて検索していてたまたまこの記事にたどり着いた方にも、ぜひ最後まで読んでいただきたいです!

※この記事は2022年11月に刊行したLet's BEnjoy vol.5に収録されているものです

名探偵コナンにおけるトイレ研究

冬山 枯樹

表・927話から980話のトイレ描写

アニメ「名探偵コナン」におけるトイレ描写

【1】
 長かった就活も漸く終わりを迎え、秋晴れのような清々しい気分に、時折吹き付ける卒論という名の冷たい風が、新たな冬の到来を予感させる。
 エピソードを盛る罪悪感は次第に薄れていったが、自分が社会に必要とされない悲しみは、御社から祈られるたびに深まっていった。数か月の間、プー太郎と社会人の境を彷徨うなかで憔悴しきった私の心を慰めてくれたのは、アニメ「名探偵コナン」であった。
 もともとはコナン君まわりのガバガバ設定と、予定調和を楽しむことを目的に始めた視聴だった。いかに面白いアニメであっても、ちょっとした絶望やすれ違いの描写が、就活中のメンタルには命取りとなる。登場人物の情緒に振り回されることなく、脳死で程よく笑える、気分転換になるようなアニメを選び取る必要があった。劇場版「メイドインアビス」などもってのほかである。
 ところが回を重ねてゆくうちに、ストーリー展開に魅了されてしまった。勿論、推理中のコナン君の雑な隠れ方や乱用される麻酔針、どれだけ記憶が飛んでも気にもとめない毛利小五郎には常に可笑しみを感じるのだが、約20話に1話、物語が大きく動く回が挟まれており、それが単純に面白い。邪道な楽しみ方とは思うが、黒の組織に関係する話をネットで調べ、夢中で視聴した。
 そんな中で、ふとある疑問が頭を掠めた。
 名探偵コナン、トイレの霊圧が強くないか…?

【2】
 あるときは凄惨な殺人の現場、またあるときは重要なメッセージの隠し場所として、他の作品では考えられないほどの脚光を浴びている。試しに、シーズン24と25の927話〜980話、計53話のうち、トイレの登場回と役割を列挙してみた。結果は表のとおりである。
 ざっくり言うと、4話に1回ぐらいは物語にトイレが登場する。絶対に多い。加えて、ただ数が多いだけではなく、濃度が高い。トイレ濃度が。
例えば、今期追いかけていたアニメ「リコリス・リコイル」では、全13話中、登場人物がトイレの洗面所で会話する描写が1回、主人公が便座に座りながら考え事をする描写が1回の、計2回トイレが登場した。
 フキとサクラの対話の場に洗面所が選ばれたのは、頬を怪我したフキの手当てをするためだが、千束のトイレでの考え事は、日常描写の一部であり、トイレそのものに明確な役割が与えられているわけではない、と思われる。一方でコナンにおけるトイレ描写は、その役割から4つのパターンに分類することができる。第一に、トイレが事件現場となるもの、第二に、トイレに行くついでに何かを発見するもの、第三に、コナン君を自由に行動させるための理由づけとなるもの、第四に、トイレがアリバイに関係するものである。
 稀代の犯罪都市・米花町においては、事件に無関係なトイレは存在を許されない。社会的役割から一時的に解放され、人々に安息を与えるはずのトイレの個室であっても、米花町にある以上、油断は禁物ということだろう。
 トイレという空間は、殺人や死体遺棄などに適しているだけでなく、人一倍秘密の多いコナン君がスムーズに事件を解決する手助けとなる。名脇役としてのトイレが輝く名探偵コナンを、是非新しい視点から観てみてほしい。

(予防線)
この原稿を執筆するにあたって、筆者なりに「名探偵コナン」の該当箇所と「リコリス・リコイル」を注意深く視聴し、全てのトイレ描写をピックアップしたつもりではありますが、漏れがある可能性も十二分に考えられます。何卒ご容赦くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

文責:大阪大学トイレ研究会 ナタデココ


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