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【追悼】人狼オンラインXと私

この記事は…
私の青春を彩った『人狼オンラインX』へ…

今日、2023年9月末日、
サービスを終了する『人狼オンラインX』へ…

最後に捧げるレクイエムである。


人狼オンラインXとの出会い

私の身に起きたこと

少し遡ること、2014年の春
当時大学3年生だった私は、完治することのない難病を発症し、それまでずっと続けていたスポーツの夢を諦めた。
大学もスポーツの推薦で入学したため、周囲から寄せられるものは「お見舞い」「同情」だけでなく、
人間から発せられるものとは思えないものも多かった。

2014年の春から、治療計画は1年以上もあった。
夏に退院した後も、大量のステロイドを服薬していたため、"易感染"という状態であり、様々な感染症にも気を付けなければいけない日々。

ステロイドの副作用でうつになった。
うつのせいで映画も漫画も集中して楽しめない、毎日ただ漬物石のように重く、ボーッと過ごした。
当時、最高の仲間と思っていた人間たちには「大学やめないの?」とまで言われ、ほとんどスポーツに関する友人しかいなかった私は、ハッキリと分かりやすく、孤立したのだった。

人狼ゲームとの出会い

ステロイド治療が始まってから1年間は、本当に地獄のような日々だった。
何も楽しめず、食事の味も分からなくなり、睡眠もまともに取れない。
52キロあった体重は、38キロまで減った。

それでも時間や慣れと言うものは偉大であり、
発症してから1年を過ぎ、治療が終わる頃。
少しずつ、新たな繋がりや出会いを求める気力がわいてきた。

そんな時、闘病中にやる事がなく、何となく始めたmixiで出会った男性と仲良くなった。

2015年の冬の出来事。

彼は少しオタクで、彼の友人もまたオタクだった。

何かのキッカケで、彼らと食事をしていた時に
『人狼って知ってる?』
と、人狼ゲームに誘われたのだ。

その時に誘われた人狼ゲームは、
対面式で行われるもので…
友人同士で軽くお遊びのように遊ぶものだった。

しかし、この出会いは、
後に私の人生を変える出会いとなる。
謂わば、私の第二の人生の始まりだった。

映画も漫画も楽しめなくなっていた私が、
唯一論破を通じて、久方ぶりの情熱と、
スリルを味わうことが出来た日。

そして『人狼オンラインX』へ

あまりの楽しさに…
その日が終わってすぐに、
Apple storeで『人狼ゲーム』を検索し、
『人狼オンラインX』をインストールした。

希望のはじまり

最初に入った村では、やる事が分からず、すぐに処刑された。
次に入った村では、私以外何だか仲が良さそうで、馴染めずに処刑された。

最初の5戦は、まともなプレイが出来なくて、
「なんだこのクソゲーは!!」と思った記憶がある。

それでも、スポーツが出来なくなったことで失った『情熱』や『自分の感情』を取り戻すかのように…
人狼オンラインXをひたすら続けた。

1週間経つ頃には、Twitterでアカウントを作り、
村で出会った人達と連絡を取り合うようになった。

「何も楽しめない」という日々はガラッと変わった。
「ステロイドの副作用による不眠で辛い日々」は、徹夜人狼で楽しい思い出となった。

人狼に出会ってからのこと

最高の思い出たち

2015年12月。
人生で一番楽しかった12月…と言っても過言ではない。

何も予定が無かったクリスマスは一晩中人狼ゲームをして、
お正月は人狼ゲームをプレイしながら年を越した。

今も繋がりのある、
べーやん、イザヤ、ラノベ…
共にクリスマスの夜、一晩中遊んだことを覚えているだろうか。
中には消息不明となったメンバーもいる。
アテム、女神、寺田、ぱにーちゃん、バッド…元気だろうか。

翌年2016年の春、
スポーツは出来ないのに無理矢理「協調性」という名で参加させられた合宿中に遊んでくれた、
御坂、ことり、あと誰だっけ…今も心から感謝している。

村を建てれば、
るちるとラノベに必ず初日に噛まれ…
初日に狼暴露されたり、
"自爆テロ"というアカウントに凸されたり、
まともなプレイが出来ない日もたくさんあった。

そして、ポテト、寺田、根暗、さざん…
3~5窓を行い、5GJを出す、よく分からない遊びをした日もあった。

でも、それでも、
全てが私にとって、かけがえのない、
何よりも幸せで楽しく、そして刺激的な日々だった。

『幸せ』とは何か

人狼を始めてから、
このことを度々考えるようになった。

人狼ゲームに出会うまでは、
ネットゲームなどせずに、現実の世界で友人や恋人を作り、騒がしく楽しく生きることが幸せであると…
そして自分はその円の中に居ると、そう考えていた。

でも、ある日突然、その考えは崩れた。

身体が十分に使えなくなり、
生活に制限ができ、
自分の考える”規定路線”から、
自分はすっかり外れてしまった。

そんな中で、人狼ゲームは、
ベッドの上でも片腕さえ使えれば、楽しむことが出来る唯一のツールだった。

人狼ゲーム…いや、
人狼オンラインX】に出会えたおかげで、
もう一度『幸せ』と思う事が出来た。
それも一回ではない。

人狼オンラインXは、
涙が出るほどの感動や、震えるほどの喜びを、
何度も私に与えてくれた。

人狼オンラインXのおかげで出来た友人。
今はもう連絡が取れなくなってしまった友人もたくさんいるけれど、間違いなくあの時、
"最高の友達"であり、
"私を救ってくれた人達”だった。

心の底から「ありがとう」と言いたい。
そして「永遠に、幸せで、元気に暮らしてほしい」そう願っている。

これからの世界

今もなお、人狼で出来た友人と続き、
さらに新しく増え続けている。

人狼オンラインXで遊ばなくなってからも、
私の『人狼人生』は緩やかに続き、
未だに「新たな発見」や「緊張感」を多く与えてくれているのだ。

一方で、
私の生まれ故郷である人狼オンラインXは、
今日の24時、10年の歴史に幕を下ろす。

私自身はというと、そんなことには左右されず、
これからも他のサーバーで、時々人狼ゲームをプレイしていくだろう。

しかし、今のハンサムを作ったのは間違いなく
人狼オンラインXだ。

"動物園"
"スラム"
"掃き溜め"
"ゴミ箱"
"陰キャの巣窟"

いくら酷い罵詈雑言を浴びせられたとしても、
私の故郷は人狼オンラインXであり、
私に希望を与えてくれた存在であることは、
未来永劫変わる事のない事実である。

いつか、私の命が尽きる時。
身体の痛みや悩みが全て無くなるその時。

あの世で『人狼オンラインX』をプレイしたい
あの頃のまま、ジェットコースターのような感情を抱いて。

その日まで、今はしばらくのお別れだ。

人狼オンラインXへ、愛を込めて。
最後にこの言葉を送ります。

また会おう。

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