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梅雨こそ、ブルーコレクション。

壁の一か所に、水色コーナーを作ってみた。

日常生活の中で水色のものに触れる機会はたくさんあって、事務封筒(ねんきん定期便やNHKからの書類など)だったり、洗濯物を干すピンチハンガーやバケツ、水撒き用ホース、現場で働く方の作業着、Twitterのアイコンだとかアイスのガリガリ君とか、あげるとキリがない。
どんな色でもそうなのだけど、その色をまとう何か(誰か)が素敵に見える場合と、そうでなくてただ「これは○色だ」と感じるだけで終わる場合があって、水色の場合は特に、ポリバケツや公共機関から届く封筒、事務用品(ハサミやセロハンテープ)など、「フツーに水色だなぁ、これは」というだけのものが多いのではなかろうか。

それなのに街で淡いブルーのシャツを着て颯爽と歩く人を見て「わぁ、清潔感ある」とか、「ワンピースさわやかだなぁ〜」と、好感を抱くことが多い。仕事で雑貨などの絵柄やデザインなどを担当している私にとって、「何も感じない水色」と「心が動く水色」の違いはなんだろうかと、結構気になってしまう。

それで、というのでもないけれど、時々私は色彩感覚のレッスンを兼ねて、世の中に溢れる色の中から特定の色だけを探して散歩することがある。
今回はそんな色コレクションの3回目(一度目はイエロー、二度目はピンクを集めた)。
※なお、本文中にブルーではなく水色、と表現する箇所が多いのですが、それは日本の伝統色の「みずいろ」を指すのではなく、濃い青と区別するために淡い青色を示す意味で使っています。
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【前日譚】ある日の夜、コンビニで目にしたプライベートブランドのポテトチップスのパッケージの色がさわやかで、蒸し暑い季節によいわぁ、と、つい買った。
曇りや雨で室内が暗く湿っぽい日など、この袋を置いているだけでさわやかな気分になれる。いっそ部屋のファブリックもグリーンから涼やかな水色系に模様替えしたいけどそんな余裕ないので、壁面の一箇所に、水色系のものをたくさん飾ってみた(冒頭の画像参照)。

セブンイレブンのポテトチップス「うすしお味」

もっと水色をたくさん浴びたいと思った私は、仕事の指示待ちの空き時間を利用して、ある日の午後、雨靴をはいて水色探し散歩に出かけた。

【1】同じ系統でコラージュ ーシアンー

その日最初に撮ったのは、「ほんとにまぁ、いかにも水色だなぁ」と思う工事現場の色。ネットで色一覧を見ると、これはいわゆる「青」または「シアン」色になるようだ。ブルーシートをはじめ、実用的な製品に使われることの多いこの色味も、使われ方や見方によって印象が変わることを知った。ポイントは白と組み合わせて使うこと。抜け感が大切なのだ、たぶん(テキトーな感想です)。

三軒茶屋駅付近
撮影は登戸、桜新町、駒大前、三軒茶屋、用賀近辺。書籍、切手は私物。小田急線はもともとブルーがイメージカラーだけど、登戸駅から川崎市のドラえもんミュージアムへの直行バスが出ているため、駅全体が特別仕様になっている。

【2】同系統でコラージュ ーくすんだ水色-

シアンの次は、いわゆるペールトーンのブルーというか、クラシカル で上品なブルーたち。私が二日間で目にしたアジサイはやや紫っぽいものが多くて、あとは最近は白いアジサイが人気なのか、右下のような優しい水色のものを見つけることが少なかったので、実はこれは貴重な一枚。

撮影は桜新町、用賀、溝の口付近。シールや紙片、切手は私物。右上は池間由布子のアルバム「My Landscapes」の外装背表紙。上段右から2枚目画像は、駅前のビルのガラス窓に空がうつっている様子。
手元にある紙類ではこれらに近いかと。左、BALLET AT A GATHERINGのバレエ公演チラシ。
右上©️Moomin Characters™️(GAKKEN)ポストカード、右下:輸入雑貨店にて購入の紙

【3】配色バランスを楽しむ。ーかめのぞきの色?ー

山岸涼子さんの漫画短編集に「甕のぞきの色」(表題作)というのがあって、ずっとどんな色なんだろうとぼんやり思っていたけれど、今回色の名前と色見本・カラーコードなどのサイトで見つけた。そこではC(シアン)=40、M(マゼンタ)=0、Y(イエロー)=15、K(ブラック)=0と記載されていて、あるいは白群(びゃくぐんM=50、Y=20)という色もあるそうで、正確にはそれぞれが何色を指すかは不明だけど、ここにはとにかくイエローが混ざった色を集めてみた。

撮影場所は三軒茶屋、溝の口、桜新町あたり。書籍や切手は私物。

【4】落ち着いたブルー。

あくまで主観によるけれど、今、世の中に出回っているブルーは、黄色が混ざっているもの(上の【3】のような系統も)が多いようだ。
病院やお店の広告、または案内看板では黄色が混ざっていない群青色やウルトラマリンブルーなども結構見かけたけれど、「素敵な色合い」というくくりに当てはまるものとなるとなんだか難しい。ここでは黄色があまり(またはほとんど)入っていない水色と、錆びた浅葱色っぽいブルーも入れてみた。北欧のインテリアなどで見かけることの多いブルーのイメージ。

撮影は用賀、祖師谷大蔵(左から二つ目は駅ホームの壁)、駒大前付近。紙類は、左上:片山健 油絵個展(1998.11)案内DM、左下:cozyca products レターセット(AIKO FUKAWA)、など全て私物。

【5】その他、ブルーいろいろ。

その他のブルーコレクション。水色×たまご色、水色×ピンク、水色×グリーン、水色×くすんだグレー、水色×青などの相性の良さが分かるコラージュになった。

書籍、すべて私物。下段左から2つ目:韓国文学の出版社CUON「クオンブックカタログ」(2023年5月)、下段右から2つ目:「味な、きよせ#02」清瀬商工会/合同会社ハチコク社(2022年2月)
『鎌ちゃんの話』(朝山実・編)はデザインとイラストを担当した冊子。

その他のブルーコレクション、その2。左下はねんきん定期便の封筒。

左下:「鼻ふうせんの旅行」たまねぎ図書 ポストカード/BRAIN=DRAIN2007、
右下:LAURA ASHLEY カレンダー2014、ハニホ堂通信、マッチ、おにぎりポストカードなどは自作。

【6】今回のお気に入り

初日は雨が降ったり止んだりする日の撮影だったけれど、だからこそ水色の何かを目にすることは、空が白く曇っているかわりに青空を見つけたような喜びがあった。雨の日に見たお気に入りの水色の風景はこちら。特に右のアパートの二階への階段の縁(ヘリ)の水色塗装が暗い階段を明るく照らすようで素敵。
どれも色調補正を一切していないけれど、さわやかです。

左:三軒茶屋、中:瀬田(用賀〜二子玉川あたり)、右:用賀

今回のヘッダー画像は、本当はラベンダー系の色で作成したものを、上の画像(中央)の配色を意識して色調整したもの。シャッターの色、濡れたアルファルトの色と止まれの白、柱のくすんだグレー系のホワイトなどを使った。

色ハンティング散歩中は水色のシャツを着た通勤の方々や水色のランドセル+雨靴の小学生など、次々に視界に飛び込んでくるのだけれど、人物や個人宅など写真に撮れないので、逃したものの方が多かった。
水色探し散歩は二日(雨の初日の午後と、晴れた翌日の午前)にかけて行い、その中で、ある白い邸宅の玄関のドアノブに前日使ったらしき水色の傘がかけてあった光景が、今回の「ベストオブ水色」だったかもしれない。
太陽の光を浴びて水色が少し透けている配色(建物と傘)を記憶に留めるため、家にあるもので再現してみたのがこちら(今日も雨なので室内で撮ったらぼやけてしまいました)。こんな風に白い建物の一か所で、水色が発光しているような感じ。

お皿にのせているのは口臭予防のブレスケア。

【7】ブルー系の柄を描いてみる。

そんなわけで、世の中にある水色系のあれこれを眺めてきたので、最後にアウトプットを。
今回の記事のヘッダーに使ったものは、実際にはこんな色味(上の【2】と【4】のイメージ)でした。

もうひとつは、ブルー系の絵具をメインに使って車窓から見た風景を図案にしたもの。今は下書きっぽい雑さだけど、涼しげなので、こういう柄で透けるハンカチでも作って窓に吊るしたいような。

以上、梅雨こそ、ブルーコレクションでした。
ご覧になった方が私同様、少しでも涼しい気分になっていただけたら何よりです。
【おまけ】
ハニホ堂で細々と販売している「何か青いもの」のポストカード。今回様々なブルーを体験してから見ると、使っている青の種類が少なすぎるなぁ…

追伸:黄色がお好きな方にはこちらも。

ピンクがお好きな方にはこちらも。


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