アドリブ研 : "Summertime" (1)
曲の概要
George Gershwinの古典的名曲です。もともとは1935年の「ポーギーとベス」で作られたミュージカル用の曲。
その後ジャズでもとりあげられました。
1950-60年代にかけて400以上のバージョンが生まれたといいます。
曲の構造
ワンコーラス16小節のシンプルな構造です。たいていテーマを2コーラス演奏します。ブルースとかと同じ(いわゆる「ツー・イン、ツー・アウト」といわれるやつ)です。
コード進行は基本的にマイナー一発という構造をとっています。
以前に書いた「バップのマインドマップ」を参照ください。
基本的には調性一発でいける曲です。
具体的にKey in C/Amのダイアグラムを示します。
ほとんどが Amの調性で処理できることがおわかりかと思います。
それ以外の雰囲気としては、4段目の Cにいくところと、5小節目のDmにいく4小節目のA7でしょうか。
ここは、その辺を生かしたフレージングをするといいです。
3段目最後(12小節目)は、このiReal ProではD7 G7-9と比較的吹きにくいコードがついています。が、黒本ではDm7 G7と素直にCにいくツーファイブが記されています(なので、上のようにマーキングしました)
名演
デューク・エリントン
ダーク極まりないバージョン。1961年の"Piano in the Foreground"から。
Duke Ellingtonって紛れもない巨匠なんですけれども、なんというか、一人のミュージシャンとして向き合うと、なんともいえないカオスなテイストがありますよね。たとえば"Money Jungle"のような時。
なんならMonkばりの静かな荒々しさがある演奏でした。
エラ&ルイ
Ella FitzgeraldとLouis Armstrongという二大ボーカルのバージョン。
私もエラ&ルイは好きです。
これ、ジャズとかも抜きにして、何もしらない人に曲を紹介するのに最も適しているかもしれない。
羊羹だったら「とらや」みたいな演奏だと思います。
ジョシュア・レッドマンの五拍子のバージョン
ブラッドメルドーをリズムセクションに加えた、変拍子バージョン。
コンテンポラリーの”Summertime”としては、これが示準化石になりうるんじゃないかと思う。Amの調性一発の部分は、コンテンポラリー的にはモーダルな感じに料理しやすいんだと思いますね。
私もアナリゼしきれませんが、かっこいいですね。
チェット・ベイカー
管楽器フロント奏者の皆さんにおかれましては、このチェット・ベイカーの演奏くらいの抜けた感じを目指してください。楽譜に書かれたフレーズよりは、このフィーリングですね。とにかくジャズっぽさってこういう感じ。
音使いとかシンプルですし、フレーズもおさえめです。
まずは全力で、タイム感とかフレーズのディテールをまねてみてください。
ちなみに「ちょうせいいっぱつ」というと
高橋英樹の船長シリーズを、思い出します。昭和の僕は。
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