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日本から海外のアートフェアに出展するまでの記録(その1)

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色々とご縁あって、今年9月16日〜18日にかけてルクセンブルクで開催されたアートフェアに参加しました。

こちらの写真右端に写っている抽象画2作品が私の作品です。
(写真はギャラリーさんのInstagramストーリーズより)

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こちらのアートフェアの参加は、画家としての情報発信を今年4月に再開してわずか2ヶ月で決まりました。

今回色々と思うことあって、このアートフェア参加に至るまでの経緯やかかった費用をnoteにまとめることにしました。長くなるので何回かに分けてぼちぼち投稿しようと思います。あくまでも私自身の経験と考えを書いたものなので、作家さんそれぞれのスタイルに合わせて判断する材料にしてもらいたいと思っています。

記事を書こうと思った経緯

画家として活動する中で「あまりにも作家が判断するための情報が少なすぎる」という危機感を持ったからです。

SNSで作品や活動の宣伝をしていると、知り合いかそうでないかを問わず、また国内外問わず、色々なお誘いが来ます。でもそのお誘いの中には、お金と労力をかけてまで参加する価値が無いものが相当数紛れているのが事実です。お誘いする側は多くの場合「良かれと思って」連絡をくれるのでしょうが、冷静に見るとお客さんの開拓に繋がらないものやコストの割にはろくな収穫の無いものであることもしばしば。

そして一部には詐欺の話もあります。聞いた話ですが、海外進出したい駆け出しの画家のリストをを業者の間で回しているというケースもあるそうです。「あなたの絵は素晴らしい!」「是非うちのイベントで展示しないか」「海外のイベントだよ!」と言ってショボいイベントに参加させて参加費用をぼったくるのだろうか。そしてそういうのに引っかかる画家のリストを回してるのだろうか。・・・怖すぎる。
他にも、海外の人からInstagramで「絵を買いたい」と連絡が来たらPaypal乗っ取り詐欺だった、というケースもあります。私はそれらしい人から過去2回コンタクトを受けました。その経験はまた別途記事にしようと思います。

でももちろん、オファー中にはちゃんとした「次のチャンスに繋がるオファー」もあるわけで。

自分がどんな活動をするかは自分で判断するしかありません。でもその判断材料が、特に海外展示に関してはあまりにも少ない。

多くの駆け出しの画家は生活カッツカツです。数十万の参加費を出すのなんて命がけ。そして、孤独で、つらい日々を送っています。命がけで作っている作品が売れない日々を過ごしています。かつて同じ場所で展示したことのある画家がどんどん活躍の幅を広げているのを見て底無しの焦りを感じることなんてしょっちゅうです。そんな中「素敵な絵ですね!」なんてコメント付きで展示やイベントのお誘いが来る。判断材料が無い。特に海外の展示は全く情報が無い。どんだけハードモードなんだよ!と思うと同時に、頼むから画家からこれ以上無駄にお金を取らないでくれよ、と思うわけです。「勉強代」なんて、本来は払う必要は無いお金です。ひとりでも多くの画家が無駄な勉強代を払わずに済むといいな、と思ってい、自分の経験をそのまま書くことにしました。

全体の流れとしては

Instagramで作品情報発信
 ↓
イタリアのデジタルギャラリーさんでの展示が決まる
 ↓
デジタルギャラリーさんでの展示を見たスペインのギャラリーさんから連絡をもらってアートフェアに参加

という流れでした。

ここから、細かいところも含めて、実際どうだったかを時系列でご紹介します。

1)まずはInstagramで作品を発信

まずやったのは、Instagramでの情報発信です。

画家として活動を始めて早い時期から、自分には国内市場へのアプローチは難しいんじゃないかと思いました。
日本では
・誰が見てもわかりやすい作品
・名前をみんなが知っている作家
・見てすぐに「良い絵」とわかる風景画や良さが誰にでもわかるくらい半端ない技術力がある作品
が好かれるのに対し、私の作品はまさにその対極だったからです。・・・っていうかその筋の方々に結構辛辣なこと言われたこともあって「国内無理じゃね?」って思ったのがきっかけです、はい。

そこで、1回の投稿で1作品、1日1回、ハッシュタグを付けて自分の作品写真をInstagramアカウントにアップすることにしました。(この記事を書いている現在は更新は休んでいます)

こんなかんじです。

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Instagramではハッシュタグを30個まで付けることができます。
私が付けたハッシュタグはこちらです。30個付けています。

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アプローチを始めた頃の実績は、

国内展示実績:貸しギャラリーでの個展と、小さな公募展で入賞
作品数:合計80枚
Instagramフォロワー数:140くらい

でした。80作品を日替わりで順にアップすれば1ヶ月半くらいで1周します。それを繰り返すことにしました。今年の4月のことです。
コロナのせいで個展ができず、作品をお披露目することができずに悶々としていたので毎日「これでもか!」「作品見てくれ!」とアップし続けました。

同じ試みをTwitterやFacebookページでも並行して行いましたが、新規開拓という意味では反響はありませんでした。でも作家さんによってはTwitterから作品が拡散されて人気に火が付く方もいるようです。

アップする写真については、SNSにアップするくらいであれば、スマホで撮影したものでも十分だと思います。ただ、詳しくは後述しますが、デジタルアートギャラリーさんで展示する場合は解像度の高いちゃんとしたデータが必要になって来ます。

作品写真のアップを再開してしたところ、1ヶ月も経たずにイタリアのデジタルギャラリーさんから「展示しないか」と連絡をもらいました。

作家の作風や目指すもの、個性によって差はあると思いますが、自分の作品の良さを信じて発信し続けることが最初の一歩なのだと思います。実はこれよりもっと前にInstagramで作品写真の掲載を行っていたこともあったのですが、その時はなんの反響もありませんでした。その頃から比べたら、作品の良さが1段上がっていたのかもしれません。

2)イタリアのデジタルギャラリーさんから展示参加のお誘いが届く

連絡をくれたのはイタリアのデジタルギャラリーさん「M.A.D.S. Gallery」のキュレーターさんでした。InstagramのDMからでした。英語とGoogle翻訳したであろう日本語を併記したメッセージでした。内容は、

・作品ポートフォリオを拝見しました
・現在用意している企画展で一緒に展示しないか
・よければ詳細をメールで送りたい

という内容でした。正直、最初は「どこ?」「怪しい」と思いましたが、詳細を聞くくらいなら問題ありません。メッセージに返信して詳細を送ってもらうことにしました。

ここからのやりとりは英語のメールになってきます。海外のギャラリーさんとのやりとりは基本的どこも英語になります。そこで大活躍なのがDeepLです。

Google翻訳よりずっと制度の高い翻訳が無料でできます。M.A.D.S. Galleryさんは最初はメールに日本語も併記されていましたが、機械翻訳ぽい日本語でよく理解できず、結局はDeepLを使って英語でやりとりすることになりました。

キュレーターさんから最初に届いたメールには展示概要と詳細、参加費用、FAQの書かれたPDFが添付されていました。添付されていた文書の一部は英語だけの文書だったでここでもDeepLが大活躍です!

内容を詳しく見たところ、声をかけてもらった「Phìlo-poèm」という企画展は2021/5/21-5/31の10日間の展示で、参加費は

1作品を出す場合・・・250ユーロ(約32,000円)
3作品を出す場合・・・500ユーロ(約64,000円)

でした。
この金額は時と場合で変わってくると思いますし、もう変わっているかもしれません。デジタルギャラリーなので絵の輸送費用はかからないため、この参加費用とPaypalによる振り込み手数料が実際にかかった金額の合計になりました。

展示内容は、ただデジタルギャラリー内に作品展示をして終わりではなく、オンライン上でのプロモーションや作品カタログの作成まで含まれていました。デジタル展示を見て現物を購入したいという人が現れた場合、ギャラリーは手数料を取らない、とも書かれていました。

3)悩んだ結果展示に参加することに

詳細を見て「お値段相応なので参加したいな」と思ったのですが、やはり「大丈夫だろうか?」という不安が拭えませんでした。いろんな知り合いに聞きましたが誰もこのギャラリーさんのことを知りませんでした。

そんな中、最終的に参加を決める決め手になったのは

・企画紹介の書類がきちんとしていた
・費用がバカ高くない
・ギャラリーへのGoogleの口コミ評価が高かった

の3点でした。

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参加費用が10万超えてたら参加しなかったかもしれないですし、Googleによる口コミが星3以下なら参加しなかったかもしれません。

展示内容とギャラリーさんはきちんとしているであろうと判断したのですが、「今連絡してくれてるこのキュレーターさんがなりすましだったらどうしよう」という恐怖は展示開催の時までありました。なんせ、物理的距離が遠すぎて確認のしようがない・・・。

悩んだ末、連絡をくれたキュレーターさんに「参加したい」と返信し、展示の準備をすすめることになります。

次回の記事ではデジタルギャラリーさんの展示準備は展示内容、反響について書く予定です。

※公開後も都度読み直して加筆・修正します


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