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雑記|VAN LIFE(父の思い出)

こんにちは Hankです 

2023年6月18日は父の日

今日は父の思い出を書いてみます
('ω')



私は車で一人旅をするのが好きだ

車に寝泊まりしながら日本国内を旅する

30代のときに始めて、今でも飽きずに、もう25年以上続いている

住み慣れた場所を離れ、自由に過ごすことで、いつも新鮮で前向きな気持ちになれる


CHEVROLET ASTRO|静岡県富士宮市 2000


私の車旅好きは父の影響が大きい

父が車旅をしていたかというと、そうではなかったが、私が子供の頃、父が買ってくる雑誌は、車旅やキャンピングカーを扱うものが多かった

私は、それらの雑誌を見て、車を中心とした生活(VAN LIFE)を楽しんでいる人たちの記事に刺激を受けた

いつか、こんな風に自由に車旅をしてみたい、と子供心にずっと思っていた


たぶん父も車旅に憧れていたのだと思う

その頃の父の所有車は小さな軽自動車だったし、実際に旅に出た事はなかったが、いつか行ってみたいと思っていることは、私にもわかった

というのも、父は「いつかやろう」と思っていることに備えて買い物をするのが好きで、旅やキャンプのための道具などを買っては自宅に保管していたからだ

実際には行くことがないのに、道具を揃えて、空想するだけで楽しかったのかもしれない


そんな父が60代後半にさしかかったあるとき、長く続けた仕事をセミリタイアし、小さなキャンピングカーを買った

私は既に30代後半になっていて、子供の頃に憧れたVAN LIFEを楽しんでいた

その話を父にもしていたので、自分も旅に出たいと思ったのかもしれない


My Father’s Car|静岡県富士宮市 2006


これは後に母に聞いた話なのだが、、、

キャンピングカーを買って間もなく、父は突然、一人で旅に出ると言い出したらしい

何十年も夢に見ていた自由な一人旅へ、いよいよ出掛けることにしたのだ

今まで買いためてきた道具たちを使う機会がようやくやってきた

準備をしている父はとても楽しそうだった、と母が語ってくれた


父は準備に時間をかけるタイプだ

地図を眺めて目的地を決め、キャンピングカーに荷物を積み込もうとしたが、持って行きたい道具が多すぎて、自分が寝るスペースを確保できない

悩んだ末になんとか荷物を減らしたが、ようやく準備が整った時には、既に出発予定時刻を大きく過ぎて、夜になっていた

予定通り出発していたら、既に最初の目的地で温泉に入り、夕食も済ませていたはず

その時間から夜道を移動するのはしんどい、ということで、父は出発予定を一日延ばし、翌日の朝出発することにした


その夜、いつも通り自宅で食事をとり、風呂に入っている父の姿を見た母は・・

「この人は本当に旅に出る気があるのだろうか」

と思ったそうである


翌日、天候も良く、旅に出るには最高の朝を迎えた

・・が、父が出発したのは、お昼過ぎになってからだった

一晩じっくり考えた結果、一度積んだ荷物の一部を下ろし、別の荷物と入れ替えることにした

その作業をやっているうちにお昼になってしまったのだ

そして、いつも通り自宅で昼食をとり、1週間くらいで帰るつもりだ、と母に伝えて、父はようやく夢の一人旅に出発した


私は旅先でたくさんのVAN LIFEを楽しむ方々と出会った

大半は仕事をリタイアしたご年配だが、皆さん目を輝かせてこう話してくれる

「ようやく夢がかなって日本中を旅している」

「こんな楽しい趣味はない」


『トム・ソーヤーの冒険』の著者として知られるマーク・トウェインは、著書『The Innocents Abroad』の中で旅についての名言を残している

Travel is fatal to prejudice, bigotry, and narrow-mindedness, and many of our people need it sorely on these accounts.

旅には、根拠のない先入観や偏見、狭い心を取り除く力があり、多くの人々がそれを切実に必要としている。

この言葉の通り、旅は発見の連続である

車の旅は、その自由度を広げてくれる

VAN LIFEを知った多くの人が、その魅力にとりつかれるのだ

母の話を聞きながら、父も60代後半にしてようやくその魅力を知ったのだな、と思った



ところが、この話には思わぬ続きがあった

ついに思い切って一人旅に出かけた父は、わずか2時間後に帰ってきた

「一人じゃつまらん」

それが帰ってきた理由だったそうだ

何十年も夢見ていたが、実際やってみるとたった2時間で、自分に一人旅は向いていないと気づいたらしい


母にこの話を聞いてから、もう十年程度が経過した

その後、父は二度と一人旅に出るとは言いださなかったそうだ

ただキャンピングカーは気に入って所有し続けた

母と二人で2~3泊の車旅にはよく出掛けていた

車旅は好きだが一人では行きたくない、というのが父の結論だったようだ

あるいは、一人旅をするには歳をとり過ぎていたのかもしれない

もし、20代、30代の情熱があるときに始めていれば、また違った結果になったのかもしれない


私はこの話を聞いて

いつかやりたいと思っている事があるなら、今すぐやった方がいい

という思いを改にした

よく聞く言葉だし、聞いたときは確かにそうだと思うが、いつの間にか忘れてしまい、日常生活に引き戻されてしまう

父は80代半ばとなった今も健在だが、一昨年大きな手術をしてからは急に体力が衰え、散歩もままならない状態になっている

もう車旅に出掛けることもないし、昔のように趣味の道具を買ってくることもない


歳をとり、身体が自由に動かなくなってからの人生も長い

そうなったとき、自分に残るのは思い出だけだ

だから、何よりもまず、情熱のあるうちに、いつかやりたいと思っていることをやってみるべきだ

やってみて、それが予想通り素晴らしい経験であっても、またそうではなかったとしても、情熱をもって取り組んだという満足感が、良い思い出として自分の中に残る

私はもう50代の半ばを過ぎてしまったので、自由に動ける時間は残り少なくなっている

やりたいことは先延ばしせず、すぐに計画化しようと強く思う今日このごろである


最後に、私は父の人生のほんの一部しか知らないが、父が多くの楽しい思い出とともに余生を穏やかに過ごせることを願っている



ここまで長文を読んでいただき、ありがとうございました
(#^ω^#)

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