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専門家目線になる漢方薬の使い分け⑥〜花粉症〜

そろそろ本格的に花粉症のシーズン到来ですね。

ドラックストアなどでも、花粉症の薬が勢ぞろい!


病院でしか処方できなかった『抗アレルギー薬』も、ドラックストアや通販で購入できるようになり、花粉症の症状コントロールもしやすくなっています。

が、抗アレルギー薬には「眠気」や「口の渇き」といった副作用も起こることが多く、花粉症よりも薬の副作用の方がつらいという方もいらっしゃるでしょう。

また、西洋薬の花粉症の薬(抗アレルギー薬)は、症状がひどくなってから飲んでも薬の効果も出にくくなってしまうことがあるので、花粉が本格的に飛び始める2週間くらい前から飲み始めると良いとされています。

飲むタイミングも大事ですね。

今回は、ドラックストアなどで買い求める方も多い、『花粉症に使われる漢方薬』について、少し専門家の目線から見てみましょう。


中医学的にみた『花粉症』


中医学的には、花粉症は、湿が体内に余分に発生して局部に偏り、また熱を伴うことで、鼻水や鼻づまり、くしゃみや目の痒みなどの症状が引き起こされると考えます。


治療は、

①水湿を除く
②余分な熱を除く
③体内の病的な気の流れを正常にする(気が上にのぼり症状が出ているので下におろして正常にする)

ことで症状を和らげます。


花粉症のタイプは、大きく、「寒証」と「熱証」に分けられます。

熱証タイプの花粉症


かゆみが強い

『熱証タイプ』では、皮膚の痒みやニキビができやすいなどの肌のトラブル、またかゆみや鼻づまりなどがひどくなることが多いのが特徴です。

中医学的に見ると、『湿熱内薀(しつねつないうん)』という状態で、
余分な熱を取り除き、炎症を抑える必要があります。


このタイプには、花粉症によく使われる『小青竜湯』があまり効果がない可能性があります。

小青竜湯との構成

小青竜湯の構成と考え方

上記の構成生薬を見ると、
『散寒』=体内の寒邪を除くはたらきのある生薬で構成されていることがわかりますね。

体を温めることで、鼻腔周りの余分な水を除き、鼻の通りを良くするのが『小青竜湯』なのです。

なので、『熱』が原因で症状が出ている『熱証タイプ』には、『小青竜湯』は向いていません。

小青竜湯は、鼻水を止める効果がある漢方薬で、一般的に花粉症に使われているのですが、基本的に体を温める漢方薬であるため、体内に熱がこもっている熱証のタイプには向いていないのです。

(ただ、2月初旬から中旬はまだ寒い時期であるので体表が冷えているため小青竜湯で効果がある場合があります)

2月下旬から、3月にかけて、花粉症のピークとなる頃には小青竜湯では効果が十分出ない可能性もありますので、『熱を冷ます』ことに特化した漢方薬に変更する必要があります。


『熱証タイプの特徴』と治療法


熱証タイプは、普段から過食気味で肥満傾向にある場合が多く、食べ過ぎ、飲み過ぎで体内に発生した「湿」と「熱」が症状の原因となっています。
このタイプでは、こもった熱が原因となっているため、熱を冷ますことが治療の原則となります。

特に、暴飲・暴食、過度の飲酒を減らし、体重を落とすことで花粉症の症状も随分と楽になるとされており、生活習慣の見直しも大切です。


『熱証タイプ』に効果的な漢方薬


『熱証タイプ』に使える漢方薬の代表は、『五虎湯』です。


 五虎湯は、麻黄・杏仁・甘草・石膏・桑白皮の五つの生薬から成る方剤で、咳に効果のある「麻杏甘石湯」に鎮咳・利水作用のある桑白皮を加えたもので、冷えがなく、鼻水は粘りがあり、鼻粘膜が腫れて赤くなっているなどの、熱証タイプの花粉症に効果的です

症状に合わせて、五虎湯と他の方剤を組み合わせるとより効果的だとされています。

五虎湯は、熱を冷ます効果が高く、短期間の服用を基本としますので、体質改善に漢方薬を服用し、症状がひどい時に五虎湯を飲むというような使い方がおすすめです。

また、越婢加朮湯は、熱証のタイプで特に目の痒みが強い時に効果が高い漢方薬です。

**越婢加朮湯・五虎湯は、麻黄が含まれるため高齢者や循環器疾患がある方、血圧が高い方には注意が必要です。


アレルギー体質の改善に役立つ漢方薬


五虎湯・越婢加朮湯を症状がひどいときに服用し、体質改善的に花粉シーズンが始まる前から、体質に合わせて漢方薬を服用しておくと症状の軽減が期待できます。

アレルギー体質改善に使われる漢方薬には以下のようなものがあります。

タイプ別

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