はんなり堂薬局 店主 石津 愛子

和歌山県岩出市、高瀬付近にある国際中医専門員、薬剤師の店主が営む小さな漢方相談薬局です…

はんなり堂薬局 店主 石津 愛子

和歌山県岩出市、高瀬付近にある国際中医専門員、薬剤師の店主が営む小さな漢方相談薬局です。 漢方相談・健康相談・サプリメント相談実施中。noteでは中医学的な観点からさまざまな病気や症状についてのご説明、おすすめの漢方薬などをご紹介していきます。

マガジン

  • 中医学応用編〜症状を中医学的に考える〜

    日常で起こりやすい症状を中医学的に考え、その証にあった漢方薬をご紹介しています。

  • 専門家目線になる漢方薬の使い方

    漢方薬の知識を深めたい登録販売者の方向け。ドラックストアなどで漢方薬をスムーズにご紹介するための、それぞれの漢方薬の解説や似たような漢方薬の使い分けをご紹介しています。

  • わかりやすい!漢方薬

    漢方薬が好きな方、漢方薬に興味がある方のための知っておくと便利な漢方薬の知識をご紹介!

  • わかりやすい!中医学の基礎

    中医学を勉強してみたいけれど、難しそう・・・ 中医学初心者、本を読んでもよくわからない・・ そんな方に向けて、できるだけわかりやすく『中医学の基礎』を解説していきます。 中医学を身近に感じ、ドラックストアや通販でご自身で漢方薬を選ぶ時の知識となれば嬉しいです!

最近の記事

中医学の応用⑤症状別の考え方 頭痛

突然の頭の痛み・・・そんなときに使える漢方薬のご紹介です。 頭が急に痛くなるというのは、『外因性』のことが多く、その原因を除くと痛みがなくなるのが特徴です。 その原因になるのは、風寒・風熱・風湿・肝火など があります。 急性ではなく、慢性的に、また繰り返すような頭痛が起こる場合には、『内因性』=体の内部に原因があることが多く、外因はその頭痛を誘発する原因となりますが、誘発する原因を除いても繰り返すことがあり、体の内側から整えていく必要があります。 また、別の疾患、

    • 専門家目線になる漢方薬の使い分け⑨ 〜『桂枝湯』と『桂麻各半湯』

      春休みも終わり、新年度の始まりですね。 今回は、前回ご紹介した麻黄湯に続いて、風邪の時に使える漢方薬についてご紹介いたします。 桂枝湯桂枝湯は、多くの漢方薬のベースとなっている漢方薬です。 例えば次のような漢方薬は桂枝湯に何らかの生薬を加えて作られました。 ●葛根湯 ●桂枝加竜骨牡蛎湯 ●柴胡桂枝湯 ●桂枝加芍薬湯 ●小建中湯 ●桂枝茯苓丸 桂枝湯の適応 桂枝湯は、風邪は風邪でも虚弱者の風邪に適した漢方薬です。 適応:悪寒発熱や頭痛を感じ、汗ばむ感冒症状を訴える

      • 専門家目線になる漢方薬の使い分け⑧ 子どもの風邪・発熱に

        春になり、日差しは暖かく感じられるようになりましたが、朝夕と冷え込み、体調を崩しやすい時期でもあります。 春休み、お子様が急に体調を崩すこともありますよね。 お子様の風邪に最もよく使われるのは「麻黄湯」です。 今回は麻黄湯について少し詳しくご紹介いたします。 麻黄湯 麻黄湯は、数ある風邪薬の中でも最も『実証』タイプに使われる漢方薬です。 以前、陰陽の分類について説明ましたが、大人と子どもでは子どもの方が『陽』に分類されますよね。 ここでいう実証とは、体力の有無だ

        • 中医学の応用④症状別の考え方〜『不眠』

          『睡眠障害』とは、満足な睡眠がとれていない状態を自覚することで、睡眠時間が短くても本人が満足し日中の生活に支障がないようなら睡眠障害ではありません。 逆に、寝ている時間が長くても、睡眠が浅く日中も眠たい、夢ばかりみて寝た気がしないなど、睡眠に不満があれば対処が必要となります。 睡眠リズムと陰陽 中医学では睡眠のリズムを陰陽のリズムとしてとらえています。 睡眠リズムは、主に五臓の『心』がコントロールしていると考えられています。 太陽が昇って『陽気』が盛んなときには、心

        中医学の応用⑤症状別の考え方 頭痛

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        • 中医学応用編〜症状を中医学的に考える〜
          5本
        • 専門家目線になる漢方薬の使い方
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        • わかりやすい!漢方薬
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        • わかりやすい!中医学の基礎
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        記事

          中医学の応用③・症状別の考え方〜『疲れやすい』〜湿滞タイプ

          毎日疲れる、からだがだるい・・そう感じる時の3つ目は『湿』が原因となっているものです。 湿滞タイプ 様々な原因で体内に『湿』が多すぎるために、気の流れが悪くなっている状態で、、余分な水分をかかえるためからだが重だるく、血管を圧迫したり神経伝達を圧迫して全身のはたらきが低下する状態です。 2つの湿滞タイプ 湿滞タイプは、主に2つのタイプに分けられます ●湿阻気機タイプ :余分な湿が気の流れを滞らせてしまう状態 ●湿熱壅滞タイプ :余分な湿と熱が気の流れを滞らせて

          中医学の応用③・症状別の考え方〜『疲れやすい』〜湿滞タイプ

          中医学の応用②・症状別の考え方〜『疲れやすい』〜気滞タイプ

          今回ご紹介するのは、気の流れがスムーズでないために全身にエネルギーが行き届かず、『疲れ』として感じるタイプです。 中医学では、これを『気滞(きたい)』と言います。 『気滞タイプ』 過度の緊張・ストレス・自律神経の失調などにより、気の流れがスムーズでないためにエネルギーが全身に行き届かず、疲労・倦怠感を感じるものです。 ずっと疲れている状態というよりも、突然、あるいは疲れたり疲れなかったりする状態であることが多く、少し休めばまた回復することが多いのが気虚タイプとの違いで

          中医学の応用②・症状別の考え方〜『疲れやすい』〜気滞タイプ

          中医学の応用①・症状別の考え方〜『疲れやすい』〜気虚タイプ

          『中医学の基礎』を以前ご説明しましたが、その知識をもとに具体的に症状がある場合の、考え方、漢方薬の選び方をご紹介していきます。 今回は、『疲れ』について。 40代、50代になると、若い頃はなんともなかった日常生活が、『やけに疲れる』と感じる方も増えてきます。 コンビニやドラックストアでも、エナジードリンクや滋養強壮剤がよく売れていますよね。 エナジードリンクを利用して、カフェインと糖分でからだを一時的な興奮状態にして『元気』になったような気がしても、その効果が切れてし

          中医学の応用①・症状別の考え方〜『疲れやすい』〜気虚タイプ

          専門家目線になる漢方薬の使い分け⑦花粉症 V0.2 〜

          前回に続き、花粉症に使える漢方薬を少し専門的にみていきます。 今回は、『小青竜湯』が効果的な『寒証タイプ』についてです。 寒証タイプの花粉症 『寒証タイプ』では、『冷え』が症状の原因となっていることが多いタイプです。 この冷えは、余分な水分が体内の局部に過剰にたまったものが原因となっています。 もともと、陽虚(体を温める力が不足しているタイプ)体質の方や、胃腸の働きが低下しているが花粉症になると、この『寒証タイプ』の症状が表れやすくなります。 花粉症の症状(水っぽい

          専門家目線になる漢方薬の使い分け⑦花粉症 V0.2 〜

          専門家目線になる漢方薬の使い分け⑥〜花粉症〜

          そろそろ本格的に花粉症のシーズン到来ですね。 ドラックストアなどでも、花粉症の薬が勢ぞろい! 病院でしか処方できなかった『抗アレルギー薬』も、ドラックストアや通販で購入できるようになり、花粉症の症状コントロールもしやすくなっています。 が、抗アレルギー薬には「眠気」や「口の渇き」といった副作用も起こることが多く、花粉症よりも薬の副作用の方がつらいという方もいらっしゃるでしょう。 また、西洋薬の花粉症の薬(抗アレルギー薬)は、症状がひどくなってから飲んでも薬の効果も出に

          専門家目線になる漢方薬の使い分け⑥〜花粉症〜

          専門家目線になる漢方薬の使い分け⑤〜月経痛〜

          女性の3大漢方薬のご説明が終わったところで、今回は、『月経痛』に対しての3つの漢方薬の使い分けを詳しく見ていきましょう。 月経痛 月経痛は『毎回の月経期あるいは月経前後数日に、主に腹や腰の痛みが起こること(頭・胃・四肢など他の部位が痛むこともある)』と定義されます。 痛みが生じる時期・部位・痛みの性質は、その方の弁『証』と深く関係しています。 痛みが起こる時期 痛みが起こる時期は、大きく分けて ●月経前半(月経前〜月経期間の前半 ●月経後半(月経期間の後半~終了後

          専門家目線になる漢方薬の使い分け⑤〜月経痛〜

          専門家目線になる漢方薬の使い分け④〜桂枝茯苓丸と加味逍遙散

          今回は、桂枝茯苓丸と加味逍遙散を比較してみましょう。 この2つは、どちらも『活血』=血のめぐりをよくするはたらきが期待できますが、根本的な原因として ●加味逍遙散 :肝の気のめぐりが悪くなっている(ストレス・自律神経の乱れなどで)・精神的な症状が目立つ場合 ●桂枝茯苓丸 : 血瘀の状態がある=古血のたまり 血瘀の原因としては、若い頃に手術をした、出産、日常生活の不摂生などいろいろな原因が考えられます。 女性では、子宮筋腫などのある方も『血瘀』の傾向です。 どちら

          専門家目線になる漢方薬の使い分け④〜桂枝茯苓丸と加味逍遙散

          専門家目線になる漢方薬の使い分け③〜当帰芍薬散と桂枝茯苓丸〜

          今回は、当帰芍薬散と桂枝茯苓丸を比較してみましょう。 簡単に違いを述べると 当帰芍薬散 →  補血メインで活血もある・水滞を除く 桂枝茯苓丸 → 活血メインで少し補血・水滞を除く です。 前回は、当帰芍薬散をご説明しているので今回は桂枝茯苓丸をメインでご紹介いたします。 桂枝茯苓丸に含まれる生薬 その名の通り、桂枝と茯苓が入っているのですが、桂枝茯苓丸のメインは『桂枝』『茯苓』ではありません。 その性質を決定づけるのに重要なのは『牡丹皮』『桃仁』です。 牡丹皮

          専門家目線になる漢方薬の使い分け③〜当帰芍薬散と桂枝茯苓丸〜

          専門家目線になる漢方薬の使い分け②〜当帰芍薬散と加味逍遙散〜

          ひきづづき、女性の三大漢方薬について詳しく見ていきましょう。 今回は、『当帰芍薬散』と『加味逍遙散』を比較してみます。 大まかにいうと、 『血虚』『水滞』の症状がめだつ時には、当帰芍薬散 『気滞』の症状がめだつ場合には、加味逍遙散 となります。 当帰芍薬散の中医学的解説 『血虚』が前提にある時に用いるのが『当帰芍薬散』です。 全身性の血虚のために滋養できずに栄養失調になると、特に肝や脾の働きが悪くなります。 肝のはたらきが低下すると、さらに脾のはたらきに影響して

          専門家目線になる漢方薬の使い分け②〜当帰芍薬散と加味逍遙散〜

          専門家目線になる漢方薬の使い方①〜女性三大漢方薬の使い分け〜

          女性の3大漢方薬、『当帰芍薬散』『加味逍遙散』『桂枝茯苓丸』 この、3つの漢方薬の使い分けについて、中医学的な観点からその違いや類似点などをご紹介いたします。 まず、ざっとその違いを『適応症』と『構成生薬』から見てみましょう。 当帰芍薬散・加味逍遙散・桂枝茯苓丸の適応症と構成生薬 月経不順・月経トラブル 適応症を見ると、似たようなものが並んでいますね。 特に、 月経不順・月経異常・月経痛などの月経に関することに効果があるのは共通しています。 より詳しく月経のトラブ

          専門家目線になる漢方薬の使い方①〜女性三大漢方薬の使い分け〜

          わかりやすい!漢方薬〜くすり箱に入れておきたい漢方薬⑨安中散

          胃の痛みや、冷えが強くて痛い場合におすすめなのは「安中散」です。 以前ご紹介した、『芍薬甘草湯』もいいのですが、胃〜お腹の冷えによる痛みには安中散の方が効果的! ストレス性の胃腸症状にも使われ、特に検査をしても異常はないけれど胃の痛みや胃がもたれるといった症状がある場合にも使われています。 安中散 市販の胃薬で、漢方薬が入っているものは、ほとんどが安中散が基本として作られています。 安中散は、お腹を温めて痛みをとる働きに優れているため、冷えがある方の腹痛や生理痛にも

          わかりやすい!漢方薬〜くすり箱に入れておきたい漢方薬⑨安中散

          わかりやすい!漢方薬〜くすり箱にあると便利な漢方薬⑧加味逍遙散

          個人的にも大好きな漢方薬「加味逍遙散」のご紹介です。 特に、30代~50代の女性では、ホルモンバランスが不安定になり、自律神経が乱れがちになり様々な不調が出てきやすくなります。 精神的に不安定になるのもその一つ。月経の前後で気分にムラが出たり、イライラしたりすることもあります。 イライラは、自分でコントロールしようと思ってもなかなか難しいのが現状です。なぜなら、我慢してしまうこと、コントロールしようとすることがよりいっそうのイライラを招いてしまうから。 漢方薬の手を借

          わかりやすい!漢方薬〜くすり箱にあると便利な漢方薬⑧加味逍遙散