整形外科の主治医の先生へ

整形外科の主治医の先生へ

 こんにちは。昨日はどうもお世話になりました。一年以上ぶりでしたが、その間の変貌に驚かれてしまい、私はそのことに驚きました。

 初めて先生に見ていただいたのは、多分中学一年か二年の頃だったと思います。腰痛が酷くなってきたのが原因で、精神外科に初めて行きました。そこで担当してくださったのが先生で、以降七年間ずっとお世話になっています。

 先生は、いつ訪ねても元気で、だけど言葉はストレートでしたね。おかげさまで喝を入れられた気分になります。

 腰痛は姿勢の悪さの蓄積だ、とびしっと言われ、はは…、となったあの頃。14年間で蓄積した賜物だから、その時間かけないと治らないよ、なんて言われてしまい、空手と習字を習っていながらそんなに姿勢が悪かったなんて、と落胆しました。

 あれから何年も経ちますが、腰痛は相変わらずです。むしろ、常に痛いからそれが普通になりました。おかげで、腰が痛い、なんて言うことも減り、自分の腰を異常に感じなくなったのです。慣れというのは怖いもので、昨日も問診票に、腰痛と書くのを忘れるところでした。

 昨日訪ねたのは、オンライン授業でずっと座ってパソコン、という日々を一年続けてきた成果としての身体の変化を見ていただくためでした。足の痛さ、腕の筋肉の痛さ、肩と首のこり、そして腰痛。初めにレントゲンを沢山撮りました。おかげで会計は大変でした。

 診察室に入るなり、久々で緊張していた私をよそに先生は、「あれ、髪色どうしちゃったの」と一言。え、そこっすか…。「あはは」とその場をなんとなく流しましたが、まさか私のことをしっかり覚えていてくださっていたなんて、と驚きました。お医者さんってそういうものなんですか?カルテを見て状況把握する程度じゃないんですか?すごい、なんか、人と人、として関わっていると感じました。いかんせん、ここのところ淡泊なお医者さんにかかることが多かったので。

 「今日はどうしたの?久しぶりじゃん。」「えっと、足と腕と腰と色々痛くて。」「それはなんでか分かる?」「オンライン授業じゃないですかね…」「あ~やっぱり、大学生多いんだよね~。」

 そんな感じで問診が始まり、痛いと説明した私の左腕をがっとまくり上げ、筋肉をグイっと押しました。いや、「痛い!!!痛い!!」。痛いって言ってんでしょうが!そんな私の反応にもお構いなく、「うんうん、じゃあここは?」と次の箇所。「…痛い!!」「うんうん、張ってんね。すごい張ってる。パソコンのせいだね。一日どのくらいやるの?」「うーん、少なくとも4,5時間はやってるんじゃないですかね。」「それもう普通の仕事じゃん。」

 先生に押された腕を抑えながら、次は寝台に寝かされた私。横には先生が立ち、うーんと首を傾げながら足を持ち上げます。「これ(右足)痛い?」「いえ。」「こっちは?(左足)」「ちょっと痛い。」

 再びうんうんと頷く先生。何かに閃いたように、私の太ももをグイっと押します。「痛い!!!!!」「うん、張ってるね。」このやり取りさっきもやったな…。

 そんなこんなで寝台を降りると、今度は「てかなんで髪染めたの?まさかバンドでもやってるの?」と。何の話…と思いつつ「そうですね、バンドは、やってますね。」と答えると、「え~~やっぱそうなんだ!僕も大学生の時バンドやっててさ。パートは?」と明らかにはしゃぐ先生。「キーボードです。」「お~~一緒だ。僕こう見えてキーボードオタクなんだよね。どこの使ってるの?」なんて関係ない話でひとしきり盛り上がってしましましたね。主に先生が。

 思い返せば、いつもそうでした。大学受験のための勉強で腰痛が悪化したときも、先生は自分の受験生のときの話をして、「ずっと勉強していると精神参っちゃうでしょ。疲れたらたまには旅に出なさい。そうすればまた勉強できるから。」なんて言ってましたね。先生はもう、ただの整形外科医じゃないんです、もう、カウンセラーなんです。そのときそのときで抱えている問題をズバッと見抜いて、ズバッとアドバイスしてくれていました。もう、自分が何のために医者に来ているのか分からなくなっています。

 久しぶりに先生のそういうところを感じられて楽しかったです。それに、思わぬ欠陥も見つかり、来週MRIを撮ることになったので、本当に言ってよかったと思いました。私の話を聞きながら、「え~そうなの?まずね、それ結構まずいね、うん、MRI撮ろうか。」そんなノリでしたが、腕は確かな先生ですから、素直に従っておきます。

 人生の節目節目で、何かと小さな影響を与えてくれた先生。お医者さんも捨てたものじゃないな、と思います。人ってあったかいですね。そんなことを感じてしまうのです。

 そんなに頻繁に通うことはしたくないですが、とりあえず来週、またよろしくお願いいたします。どうか、面倒見てください。

 コロナ禍でなかなかやりづらいところもあるでしょうが、出来る範囲で頑張ってください。くれぐれも、お身体ご自愛くださいね。

2021年3月4日 はのと

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