史上最強のロックスターhさん へ

史上最強のロックスターhさん へ

 初めまして。はのとと申します。hさんの音楽に、言葉に、何度も救われてきました。感謝の気持ちをお伝えしたく、お手紙を書かせていただきます。

 私がhさんの音楽と出会ったのは最近のことです。三年前、高校二年の春でした。英語の先生が授業で、英語の歌として流したのがきっかけです。当時は日本人でありながら英語を堪能に使って曲を作る人がいることを知らず、驚いたことを覚えています。

 正直歌詞はよく分かりませんでしたが、曲調や力強い歌い方にあっという間に惹かれていました。家に帰り曲を調べて、YouTubeにある曲を聴きました。その後すぐにCDを借りて。相変わらず歌詞の意味は分からなかったけれど、やっぱりどこかに惹かれる音楽でした。

 後にhさんが3つのバンドを牽引していると知り、他の二つのバンドについてもよく聴くようになりました。10年前に活動を休止している伝説のバンド、キーボードが綺麗な旋律を先導するバンド、そして二年前に活動を始めた、私が最初に出会ったバンド。

 どのバンドにも個性があることが驚きでした。同じ人が作っているはずなのに、場所やメンバー、楽器が変わるだけでこんなにも変わるのですね。それぞれに良さがあって、甲乙を付けられるようなものではありません。でも、あえて好みで言うなら、最初に出会ったバンドが一番好きでした。

 その年の大晦日。私は初めて、hさんの音楽を生で体感することになりました。大型のフェスで、ステージは二番目に大きな場所。そのバンドの出番の二つ前から、私の好きなバンドが続いていたのは奇跡でした。タイテに振り回されず、友だちと別行動をして私は超時間同じ場所で楽しみました。

 タイテが良かったおかげで、hさんのバンドの出番のとき、私はかなり前まで来ていました。前の2バンドでどんどん前に押されていったのです。背が極めて低い私のすねや腕は、既に傷だらけでした。でも、出来るだけ近い場所で、hさんの音楽を浴びたかったのです。

 いざ始まると、時間は一瞬でした。ある一曲に強く惹かれたことくらいしか、演奏に関しては覚えていません。ただ、目の前のhさんたちの力強い姿、真冬のステージで汗だくになる姿、子どものように笑う姿。強く焼き付いています。

 印象に残っているのはMCです。hさんは、まるで観客一人一人と対話しているように、全員に話しかけているのではなくあなた一人に話している、というような様子でお話しされていました。感情が高ぶって、私は汗以外の何かを感じました。

 それが初めてのこと。今まで想像していたように、hさんは情熱の権化と言っても過言ではありませんでした。音楽を楽しんでいるだけではなく、私たち客を取り込んで、今この場だけでなく、この後の人生もお互い頑張って生きていこう、というような姿勢。忘れられません。

 次は翌年のGWでした。これも大型フェスで、同様タイテに恵まれた私は、今度は前から二列目まで進んでいきました。同様、体中痣だらけでもありましたが、hさんのバンドが終わるまでくたばる訳にはいかなかったのです。

 この日のMC、私は恐らく一生忘れません。
 大切な人に大切だと今すぐ伝えないと、今日このフェスの帰り道に車に引かれるかもしれないんだから。
 具体的には覚えていないけど、このようなメッセージでした。この言葉は、今でも私の背中を押してくれます。家族や友人、そして恋人。いつ伝えられなくなるか分からないのだから、伝えられるときにありったけを伝えないと。そんな当たり前のことを、hさんは教えてくださいました。

 その言葉の後の曲でやっぱり汗以外の何かを感じたのは、きっと気のせいではなかったと思います。言葉と曲。MCと楽曲がこうも上手く絡み合い、その二つで私の背中を押してくれる。どちらか一方でも十分すぎる力になるというのに。

 歌詞以外の曲の感じで惹かれたバンドは、hさんのバンドが私の人生で今のところ最初で最後です。この出会いは、私は大切にしなくてはなりません。音楽は、簡単に人の心を変えるのです。

 辛くて何もかも投げ出したいとき、hさんの音楽は私にこう語りかけてくれます。「今は逃げたっていい。いつか戻ってきたら、また頑張ろうよ。」歌詞がそう言っているのではありません。私の中の曲に対するイメージが、勝手にそう受け取るのです。自己完結です。最早、自分で言っています。

 でも、hさんの音楽がなければ、この言葉に気が付くこともないのです。ずっと、暗闇の中で苦しんでいるだけでした。それを救うきっかけになったのは、紛れもなくhさんの音楽です。

 そうやって、受験も乗り越えてきました。そうして進んだ大学では、沢山の仲間に出会いました。hさんの音楽が好きだということから、部活の先輩との接点が出来ました。コミュニケーションが苦手な私が、友だち以外の誰かとストレスなく会話できたのです。

 本当にありがとうございます。このコロナ禍で、hさんはご自身のやり方で音楽活動を続けて下さっています。無料の配信ライブを拝見しました。また、私は暗闇から抜け出すことが出来ました。

 いつかまた、生でhさんの音楽を浴びられる日まで、恥じない生き方を続けていきます。自分の夢を、必ず叶えます。誇れる自分でいたいのです。hさんのように、誰かのために生きられるようになりたいのです。

 いつまであるか分からないのは、家族や友人だけではありません。hさんの音楽だって、その一つなのです。あるうちに、沢山感謝を伝えなくてはなりません。応援を届けたいのです。そのために、今を一生懸命生きていきます。


2021年3月3日 はのと

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